見出し画像

信頼は耳を傾けること

こんにちは、さくらです。


19歳、わたしは結婚式のプランナーとして働き始めました。

当たり前ですが、19歳のわたしより新郎新婦はみんな年上。
(わたしのプランナー人生4年で1度も年下の方の担当はしたことありません。)

正直、新郎新婦からしたらこんな小娘に大金払って結婚式をお願いするなんて相当な勇気のいることだったと思います。


プランナーとしても人間としても経験値が浅かったあの頃は、新郎新婦に気の利いた言葉もかけてあげられなかったし、相談にも適切に応えられていたか疑問です。


でも一つだけ心がけていたことがありました。


それは相手の話を聞くこと。

答えられないからとにかく聞くに徹していたのはあるんですが、それが功を奏したのかとくに新婦様とは姉妹のように仲良くなることが多く、式後もごはんに誘っていただいたりずいぶん可愛がってもらいました。


ある結婚式当日、わたしのプランナー人生最大の大事件が起きます。

お色直し(途中でドレスチェンジに行くやつです)に行った新婦がいつまで経っても部屋から出てこないのです。

ヘアメイクさんが言うには、ヘアメイクが気に入らないからもう披露宴に戻りたくないと言っているとのこと。

担当のヘアメイクさんに平謝りされたのですが、朝はとても幸せそうに笑っていた様子からヘアメイクが原因ではないような気がしました。


部屋に入り、新婦に

「ヘアメイクが嫌だったらやり直しますか?せっかくの晴れの日ですから納得していただきたいので、全てやり直してもいいですよ、その間披露宴はどうにか繋いでおきますので」

と伝えましたが、首を横に振られました。


そのときふと打ち合わせの時に新婦が話していたことを思い出しました。


幼少期から仕事が忙しく、あまり構ってくれなかったお父さん。

お父さんに話をすることが昔から苦手で、大人になってもなんとなく避けて生きてきた。

婚約の報告もお母さん伝いに報告した。

お父さんはお堅い職業のお偉い方だったので、普通のサラリーマンの旦那様を気に入っていないし、結婚にも反対されたけど押し切った、式も乗り気ではないと聞いていました。


予定ではこのお色直しの後、お父さんと入場することになっていたのですが、もしかしたらと思いもう一つ問いかけてみました。

「お父様とちゃんとお話しできましたか?」

そう問いかけると、首を横に振って泣き出してしまいました。


言葉だけが真実じゃないことがある。

彼女がどんな人なのか、どんな悩みを抱えているのか、どんなことが嬉しいのか、たくさん聞いておいたからこそ導けた本当の真実。


すぐにわたしはお父さんのところへ行き、一緒に入場してもらえるように頼みました。

お母さんからの説得もあり、やっとのことで了承してくれたお父さん。

新婦にお父さんが入場してくれる旨伝えると、部屋から出てきてくれました。


入場準備でお父さんと腕を組んだ新婦様には笑顔が戻っていて、朝からずっと怖い顔をしていたお父さんの目はウルウルしていました。


新婦の1時間いない披露宴会場はもはや酔っ払いだらけのカオス状態でしたが、新婦の入場により再びお祝いムードに戻り、無事にお開きにすることが出来ました。



式後、新婦に

「さくらさんが担当でよかったです。自分の父親と話せないなんて恥ずかしくて言えなくて…。でもさくらさんが察してくださったから本当にいい結婚式になりました。ありがとうございました。」

そう言っていただけたのです。


あの頃のわたしは気の利いたアドバイスなんてできなかった。

だけど適切なアドバイスができるから信頼してもらえるんじゃない。

話をよく聞いて、相手を知ろうとする、それだけで信頼は生まれるんだということをその事件を通して学ぶことができました。


そんなエピソードを10年以上も経って今思い出したのは、何か意味があるのだと思います。


傾聴、少し忘れ気味になっていたので意識していきたいですね。



お読みいただきありがとうございました^^

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?