見出し画像

ポーカー初学者が学ぶべき10のこと[前編] 超訳GTO Wizard [1]

はじめに

 「ポーカーは運ゲーなのか。それともスキルゲームなのか。」

 答えは、両方である。ポーカーに限らず、初心者がいきなり結果を残すことも多々あるが、ポーカーは他のスポーツと比較にならないほど運の要素が強い。それゆえ、ポーカーを運と感覚と最低限の知識だけで楽しめるならそれでいいだろうし、そのスタイルは否定されるものではない。人生において、全ての趣味を職人のように向き合う必要はないし、限られた時間でそこまでの暇はない。ただし、スキル向上のために勉強することで勝率は上がり、切磋琢磨できる仲間ができたり、勉強して強くなることの楽しさは否定することができない。ポーカー初学者とは、なんとなく感覚に頼ってきたポーカーから卒業し、ポーカーに向き合おうとする素晴らしいフェーズである。ポーカーを運ゲーム感覚で続けて楽しむことができるのに、そのフェーズを超えようとしているだけで尊い。初学者のポテンシャルは無限であり、これから世界を代表するプレイヤーになるかもしれないし、ポーカーを通じた縁が人生を変えるかもしれない。
 初学者にとって重要なのは、学ぶ環境である。最近ではYouTube、Blog、コーチングなど、様々な教材やサービスが多い。しかし、どの初学者にも必要な概念がポーカーにはある。私の最高の相棒である"GTO Wizard"は限られた時間でポーカーに向き合う私にとっては非常にありがたい存在であり、多くのプロポーカープレイヤーのが利用するツールとなっている(過去記事:GTOWizardが最高の相棒である理由)。GTO Wizardは最適解の提示や計算結果の表示だけで無く、良質なBlog記事を提供している。しかし、その記事のほとんどが英語であり、さらにそのまま翻訳するだけでは理解し難いこともあるように思う。
 そこで、GTO Wizard のコンテンツを中心に引用しながら翻訳、編集し、優良な情報を編集していくことにした。独自の解釈や研究をつらつらと書き留める方が自己満足度は高いのかもしれないが、それは追々検討していくこととする。まずはより多くの皆様に読んでいただけるようなコンテンツを中心に発信していくことを目的とし、「超訳GTO Wizard 」として、不定期に発信していく。皆様のポーカー・GTOの理解の一助になれば幸いである。

GTO Wizardはこちらのリンクから登録すると24時間無料、初回購入10%OFFで購入できます。

[1]GTO(ゲーム理論)の基本を抑える
 当たり前ではあるが、何事も基本が大切である。ポーカーの基本は、GTOである。多くのオールドスタイルのプレイヤーは感覚に頼っており、そのスタイルは現在のポーカー界ではほとんど通用しない。まずは基本用語/概念をしっかり理解する必要がある。例えば、オッズ、SPREQ(エクイティ=勝率)、EV(期待値)、MDF(Minimum Deffence Frequency)EQR(エクイティリアライゼーション)などを理解しなければGTOを体系的には理解できないし、部分的な暗記作業にとどまってしまう。数学的な計算を完璧にできるようになる必要はない。ただし、これらの用語を調べ、理解することがGTOを学ぶための近道である。まずはGTOの前提となっている上記の用語の概念は全て理解しておこう。その上で、以下に項目を学んでいきたい。

[2]アクションの割合を考える。
 ポーカーの上達に最も近道なことは、アクションの割合を考えることである。どのハンドでバリューでbet/レイズをすべきで、どのハンドでcheck/callをしたり、foldするべきか等を常に考える癖をつけておきたい。初学者のほとんどの場合はハンドの適切なアクションを誤っている。最も多い間違いは、中くらい強さのハンドで、過度なバリューbetをしてしまうことである。こういうプレイヤーはアグレッション過多で、Checkレンジが弱くなりがちである。まずは特定のハンドだけを単発で覚えるだけでなく、レンジ全体でとるべきアクションの割合を覚えることのほうが、一つ一つ覚えるよりもよっぽど効率的である。

レンジ全体でどのような割合でそれぞれのアクションが取れるかを考えよう

[3]ハンドではなく、レンジで考える。
 多くの初学者が陥りやすい罠が、個別のハンドで考え過ぎてしまうことである。このアプローチの最大の問題は、全てのスポットとハンドのアクションを暗記することは不可能であることである。それよりもよっぽど大切なのは、レンジ全体で考えることである。バリューのレンジとブラフのレンジを両方考え、Actionを決めることを癖にしておきたい。もし、そのアクションの割合を誤っていたとしても、レンジで考えることができる方がよっぽど重要である。

[4]たくさんのハンドで勝つことと、EVの最大化は別物。
 人間は心理学的に、勝った時よりも負けた時のことを気にするようにできている。これは人間がもつ心理的バイアスであり、ポーカーがメンタルスポーツの側面もあることから、心理的バイアスへの対処は侮れない。人間は心理的に、EVを最大化させることよりも、そのポットをすぐに獲得するような衝動に駆られてしまうのである。ベストプレイを心がけるのであれば、目の前の小さなポットをとり損ねることよりも、長期的に多く勝つことを追求したい。
 サイコロのゲームを例に考えてみよう。1-5の目が出たら、あなたは私に$10支払わなければならない。6の目が出たら、私があなたに$100プレゼントするとしよう。そうするとあなたは83%の確率で負けるので、実際にやってみると、心理的なバイアスであなたは負けて続けているように感じる。ただし、計算すればわかるように、このゲームのEVは非常に高い。1回あたりのEVは+$8.6である。
EV = (⅙ * $100 – ⅚ * $10) = + $8.33 per roll.
 この例からもわかるように、多くの数を勝つことよりも、高いEVを実現することが理にかなっている。もしあなたが「ドローを引かれたくない」として相手をfoldさせ過ぎているとしたら、ひょっとすると大きなEVをロスしているかもしれない。心理的バイアスに打ち勝つ努力をしていこう。

[5]強いハンドを過信しすぎない
 多くの初心者、あるいはレクレーショナルプレイヤーは強いハンドを過信し過ぎている。過信しすぎると、ポーカーにとって非常に重要なインプライドオッズを相手に実現させてしまう。特に100bbのCashゲームの場合、ナッツのドローがありえるようなハンドは、多くのチップを獲得するチャンスがある。多くの初学者が驚くことの一つに、プリフロップの3betに対してAJoのようなハンドはfoldするのに、インプライドオッズが稼げそうなスーテッドコネクターやポケットペアのようなハンドの方がCallすることが多いことがある。いわゆる投機的なハンドは、ポーカーの初学者に対しては厄介である。なぜなら、AAのようなハンドを過信してオーバーにプレイし過ぎてしまい、foldできないので、相手の2ペアや3カード、フラッシュ、ストレートに対して多くのチップを失ってしまう。ポーカーを勉強していくと、AAもKKもQQも、単なるワンペアだと、冷静になる時がいつかやってくる。

後編[6~10]はこちら

 この記事は、GTO Wizardの下記のブログを元に、わかりやすく編集して広めることを目的として作成されている。原文が気になる方は以下を参考にされたい。

[参考] The 10 Most Important Concepts for New Poker Players : 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?