ヒット曲って努力や技術ではなくて執念で書くものだよ。全身全霊でヒット曲を書きに行こうとするから書ける。
10年くらい前かな、ど偉い社長さん達に良く言われたよ。「作家はいい曲書く事に集中しろ!」って。当時は何て無責任な事をいう人達なんだ!って腹を立ててた。書いたって儲かる仕組みが見えない時代だったし、今後更に厳しくなるのは見えていたから。作家だけやってても食える道筋が見えなかったからね。
でも今は違う。「作家はいい曲書く事だけに集中するべき!」だと思う。この歳になったらわかる。若い頃は無駄に回り道したな!って。曲作り以外の事考え過ぎたな!って。当時の社長さん達はそれが見えていた!という訳だ。コンペに通ろうが何百曲リリースされようが、ヒットしなければまた次にあるのはコンペだ。でも1曲ヒットすれば違って来る。だからヒットに繋がるいい曲書かないとダメなんだ。
あの頃に比べれば仕組みは見えて来たし、ヒットするチャンスも沢山ある。だからヒット曲を書く事に集中して結果を残す。この事だけが自分を支えてくれる。
僕にとっては「つつみ込むように...」が書けた事、そしてMisiaに出会えた事が全て。一発屋と言われようが、その事実が今の僕を支えてくれている。
だから作家で生きたいなら、継続したいなら、究極の1曲を書く為に毎日を積み重ねるしかないと思う。売れなくて苦しい時間や、書けなくてもがく時間も含めてその1曲に繋がって行く。精神論みたいだけど、これが本質。
全身全霊。これに尽きる。
若い作家さんに伝えたい事は、作曲は技術を披露するものではなくて、隠すもの。技のオンパレード的な曲ではお腹いっぱいで売れない。歌い手に寄り添ってやり過ぎない。いい曲自慢みたいな曲作りをしない。
ここの塩梅が理解できる様になったら、いい曲が書ける様になる。いい曲が書ける様になってもヒットはまた別。そこにはアーティストやスタッフとの出会いが必要。それを引き寄せるくらいの執念を込めた超名曲を生み出す事に集中すべきだと思う。