スマホでオシャレな写真の撮り方
IPHONE、スマートフォンを使って、オシャレな写真の撮り方を解説していきます。今回は、その中で、誰でも簡単に今すぐに始められる「窓」(フレーム構図)についてお話ししていきます。もしかしたら、「知っている。窓枠構図のことでしょう」という方もいらっしゃるかもしれません。そうです。額縁構図、トンネル構図とも言われ、みなさんどこかで目にしたことがあると思います。
基本は窓越しに撮影することですが、大切なことは、「あえて〇〇越しに撮影する」ことです。簡単なように見えて実はかなり深いです。有名写真家さんや、世界の葛飾北斎までもが使う手法です。
ここから、『スマホ一眼レフ共通 オシャレ写真の撮り方「窓鏡影の法則」: 千利休に学ぶ美的感覚』の内容に沿って説明していきます。
目次
1 はじめに
2 窓
3 鏡
4 影
5 おわりに
1 はじめに
本を開いていただきありがとうございます。
こちらでは、オシャレな写真を撮ることを目指して、初心者の方でも、スマホでも、誰でも簡単に撮影できるように、わかりやすく説明していこうと思います。
ウェブサイトや本などで、様々な写真の撮り方が解説されています。カメラのセンサーサイズから始まり、ホワイトバランス、絞り、シャッタースピード、ISO感度、レンズの種類、編集ソフト、カメラを始めたばかりの人にとっては、意味不明だと思います。しかも、「一眼レフを買って、マニュアル設定で撮影するのが、上級者への近道」とか言われると、もう面倒くさくて嫌になってします。コツコツ真面目に一つ一つ覚えたとしても、「で、結局何をどう撮ればいいかわからない」という現象に陥ってしまう可能性があります。
ここからは、そんな難しい話は一切抜きにして、手っ取り早く、たった3つの法則に従うだけで、オシャレな写真を撮れるようお話ししていきます。
最初に結論から申し上げますと、オシャレ写真のコツとしてお勧めするのは、被写体を直接撮らずに間接的に撮る方法です。
その方法として、「窓鏡影の法則」を使います。
「窓」「鏡」「影」は簡単に説明すると、
「窓越しに撮る」
「鏡越しに撮る」
「影を撮る」
ということです。
本書で説明するのは、これが全てです。
なぜ、間接的に撮るとオシャレなのか、それは茶人である千利休の美的感覚に通じるものがあります。われわれ日本人の心の中にある美的感覚を知っていただくことによって、理解納得してオシャレ写真を身につけていただきたいと思っています。これがわかると、写真を撮る上で、きっと考え方や視点が変わるでしょう。
風景、ポートレート、街歩きスナップなど、撮影するとき、視点が3つだけ増えます。
そう、たった3つです。でも、この3つ視点をマスターすると、組み合わせたり、応用したり、バリエーションは無限に広がります。
誰でも簡単にできるように、カメラの使い方や設定の方法、編集の方法については、いっさい触れていません。全てオート撮影で可能となっています。
なぜなら、写真を撮る上で大切なことは、カメラのことより、どう撮るかという視点の方が大切だと思っているからです。一度感覚を身につけると、スマホや一眼レフ、フィルムカメラなど、機材に依存することはありません。さらに、一度頭に入ったものは、壊れる心配も盗まれる心配もなく、一生使うことができます。
それでは、オシャレ写真について、順を追って説明していきます。
間接的に撮る意味
写真は、直接撮るのではなく、間接的に撮ることで、オシャレ度がアップします。それがどういうことか説明するために、千利休の逸話をご紹介します。それを知ることによって、ここから先のお話がスムーズに理解できると思います。
「利休の朝顔」という逸話です。
利休の茶室の庭に、当時珍しかった朝顔が大量に咲き乱れていました。その噂を聞きつけた秀吉は、一目見ようと利休の茶室を訪れることにしました。しかし、利休は秀吉が訪れる前の日、庭の朝顔をすべて摘み取ってしまいました。当日、秀吉は朝顔が全くないことに怒りを覚えました。しかし、茶室に入ると一輪の大きな朝顔が生けられていることに大いに感動しました。
おわかりいただけましたでしょうか。これが利休の美的センスです。
見せたいものを全て見せるのではなく、ワンポイントで見せることによって、より一層感動を与えています。演出を施した利休の才能は素晴らしいですが、「利休の朝顔」に感動する秀吉にも美的センスがあります。これが直接撮るのではなく、間接的に撮ることの意味です。
もう少し、わかりやすく説明すると、
例えば、ピンクが好きだからと言って、全身ピンクの衣装にしてしまうと、着こなすのが難しくなります。好きなピンクを生かすためには、あえて黒のファッションにして、ワンポイントでピンクのアクセサリーを付けると、ピンクがより一層際立ちます。そういった感覚です。
これを写真に置き換えてみると、どうでしょう。
夕焼け空がきれいだから、そのまま夕焼け空を撮ることはありがちなことです。別に悪いことではありません。説明写真には適しています。ただ、見る人の心を動かす写真にはなりにくいです。
さっきの「利休の朝顔」の話を知ってしまった後では、違和感を覚えることでしょう。違和感を感じた方は、ここまでで確実に美的センスがアップしています。
そう、何かが違うのです。ただ、撮っただけになっているのです。そのまま全てを見せるのではなく、もっと際立たせるように見せたいのです。
それでは、どうやって「利休の朝顔」に近づけていくか、それが今回お話しする間接的に撮る方法であり、「窓」「鏡」「影」を使った写真になります。
ここまでおわかりいただけましたでしょうか。
それでは、具体的な方法に迫っていきます。
2 「窓」
「窓」の撮り方は、窓越しに撮ることです。
フレーム構図、額縁構図、窓枠構図、トンネル構図とも言われています。窓を使って、見せたい被写体を凝縮させ、「利休の朝顔」のイメージに近づけていきます。
下の写真はたくさんの鯉のぼりの風景です。
これは状況説明にはいいのですが、「ただ撮っただけ」という感じでインパクトに欠けます。このとき近くに大きな窓を見つけ、窓越しに撮ったのが次の写真です。
鯉のぼりの数は減りましたが、散漫になった鯉のぼりを一か所に凝縮して、「利休の朝顔」のイメージに近づけています。
この撮り方は、旅行雑誌や旅行番組でもよく使われています。窓越しに風景を撮影することで、ホテルの部屋から見える景色を見せています。単に、外の風景を撮ったのでは伝わらない臨場感を伝えることができます。桜は人気の被写体ですが、単に撮っただけでは、美しさがなかなか伝わりにくいものです。桜を引き立てるための工夫が必要になります。
ここでは、桜をフレームに入れて凝縮してみました。
下の写真は、空港の写真です。
窓際で飛行機を大きく写すこともできましたが、ただ撮っただけになってしまいます。あえて窓枠を入れて、オシャレな写真を心がけています。一歩二歩、引いて撮る感覚で、被写体は小さくなりますが、フレームに飾られたようになります。
わかりやすくするため、「窓」は、窓越しに撮ると説明しましたが、大切なことは、実は窓そのものではなく、写真の中に、その場にあるもを使ってフレームを作ることです。
本当に見せたいものの手前に、一枚フィルターを入れる感覚です。どんなフィルターを入れるかは、その場にあるものを使って、臨機応変に対応するのが面白いところであり、センスが問われるところでもあります。
一般的な考え方では邪魔になるものを、あえて主役を引き立てるための脇役、フィルターとして使います。
あえて○○越しに撮る。
あえて手前のものと一緒に撮る。
という感覚です。
美しい空も、窓や屋根など周囲のものを使って凝縮すると、空がより一層引き立ちます。
それと同じように、水族館では、お客さんも一緒に撮ると、ジンベイザメが一層際立ちます。
船を撮っただけではつまらないと判断して、樹木越しに船を撮りました。
「窓越し」「〇〇越し」という手法を使った作品をご紹介します。
近年話題のソールライターは、水滴のついたガラス越しに人物を撮影しています。発想、センスが素晴らしいです。普通なら邪魔になるものをあえて撮影することで、オリジナルの作品が生まれます。
葛飾北斎は多くの富士山の作品を残しています。1998年に米誌『ライフ』が企画した「この1000年間に偉大な業績をあげた世界の人物100人」に、日本人では唯一江戸の浮世絵師・葛飾北斎だけが選出されています。最も有名な「神奈川沖浪裏」や「富士と笛吹童図」「尾州不二見原」「五百らかん寺さゞゐどう」など、多くは「〇〇越し」に富士山を描いています。
荒木経惟氏は、「クルマド・トーキョー」という車内から東京を撮影した作品があります。車の窓越しに撮影することによって、東京の街並みや人々の生活に臨場感があふれています。三脚を使って完璧を求めようとする写真とは、撮り方も考え方も正反対になります。
「窓」の撮影方法は、日本の美意識「侘び」に通じるものがあります。
「侘び」とは、一般的に不完全、粗末、自然に基づいた状態、お詫びという意味があり、禅宗と結びついて、「不完全なものは味わい深く美しい」と、美を表す概念として使用されるようになっていきました。
これを「窓」の写真に言い換えると、
全てを写していない不完全な写真であり、
今、ここにいる場所から撮れる自然な写真であり、
部屋の中からしか撮ることができないというお詫びの気持ちが入った写真でもあります。
今回は、「窓」について詳しく説明しましたが、さらに「鏡」、「影」があります。この3つをマスターすることによって、オシャレな写真、考え方に近づくと思います。もし気になる方がいらっしゃいましたら、下記からご覧ください。
Kindle Unlimited 会員の方は、0円でご覧になれます。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?