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江戸川乱歩『日記帳』に関する考察を綴ってます。 いきなりこちらを開いた方は、先に①②からお読みください。 今回は、前回に引き続き、兄に関する考察を綴ります。 今回で、本作への考察は終わりです。 ■兄が知りたかったこと 雪枝からの葉書に貼られた切手は、最初から最後まで、ひとつの例外もなく、一貫して斜めに貼られています。 これを見たとき、兄は「雪枝も、弟に恋をしていた」ということを認めざるを得なくなります。 兄は、このとき初めて「何も知らずにいればよかった」と
江戸川乱歩『日記帳』に関する考察の続きです。 前回はこちら。先に①を読んでいただけるとありがたいです。 今回は、25日の雪枝の葉書を目にした弟の真意から、綴ります。 ■私には、弟という男は、こう見える 弟の病は、おそらく、当時の不治の病です。 診断確定後、僅か数ヶ月で死亡したことや、自室に引きこもりがちだったことから考えると、急性の感染症だったのかもしれません。 もしかしたら、葉書のやりとりをしている頃、弟には何かしらの症状が出ていたかもしれません。 し
江戸川乱歩の『日記帳』という短編小説について、考察を綴ります。 未読の方は、是非お読みください。 一読する程度なら、数十分もあれば充分な分量です。 朗読の音源を聴くのも楽しいかも知れません。 興味のある方は、聴いてみてください。 ■あらすじ 弟の初七日が済んだ頃、語り手である兄は、弟の書斎に一人訪れます。 そして、兄は、弟の日記帳を発見し、中身を読み始めます。 その記述から、恋には縁遠そうに思われた弟が、ある女性と葉書をやりとりしていたことが判明するので