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【考察】『オペラ座の怪人』

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『オペラ座の怪人』25周年記念公演版の考察の備忘録です。 備忘録というには長文で、主観の強い文章です。ネタバレあります。
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【二次創作】オペラ座の怪人異聞(追記あり)

『オペラ座の怪人』二次創作です。  オペラ座の怪人のラストで、初回はボロ泣き、何度見ても辛さが減らず、可哀相で可哀相で、個人的にパラレルを作ってしまいました。  こういうことをするのは、初めてのことです。拙い文章ですが、折角書いたので、この際、載せといてみようかと思います。  あの舞台のラストは、美しい終わり方だったと思っています。  あの物語の終わらせ方は、あれしかない、とすら思っています。  なので、あの終わり方を否定する意味の小編ではありません。  ただ、「せめてた

『オペラ座の怪人』感想

『オペラ座の怪人』の紹介と感想です。  ロンドンのアルバートホールで行われた、25周年記念公演のDVD映像です。  今回は、極力ネタバレのない範囲で書こうと思ってます。  ネタバレいやという方は、これだけ見ていただくといいと思います。  これをまず先にやればよかったですね。すみません。 ■作品概要  オペラ座の怪人というと、現在は、同名の小説を原作としたミュージカルか映画のことを指すことが多いように思います。  正確なところは調べていないのですが、まず、映画が過去数度。

「オペラ座」その後の想像と愚痴

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしております。  前回、冒頭エピローグの考察をやったんですけど、字数がかさんでしまいそうだったので、一旦切りました。  何が残ったかというと、個人的な愚痴です。  なので、あんまり抑制の効かない文章になると思います。  ネタバレは多分ありません。しかし主観だけです。 ■個人的な愚痴・ラウル  現在私は、三者のその後について、 ・ラウルとクリスは、傷つけ合いながらも必死で添い遂げて、いろいろ抱えながらも穏やかに

時は流れて

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしています。  今回は、作品冒頭の、エピローグシーンについて少々。  ネタバレあります。主観です。 ■構成の妙  舞台が、物語のエピローグから始まる、という構成がまず、素晴らしいなと、一度全編通して見ると特にそう思います。  実際は、終演後はカーテンコールが続き、振り返ることは脳内でしか出来ません。しかし、こうしてディスクで見終わると、もう一度冒頭のエピローグシーンを見て、いろいろ確かめたくなります。  そし

愛が伝わったのはいつか

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしてます。  おそらく次回辺りで、考察自体は最後になるかなと思います。  随分長いこと綴ってきましたが、次辺りで、冒頭のエピローグをさらっとと、ざっくりした全体の感想を一つあげるかどうか、後は不定期に雑文を書くことがあるかもしれません。書きたいことがあるときしか、ここには書かないと思うので。仕事ではないですから。  ネタバレあります。主観が非常に強いです。 ■ファントムの愛は終わったのか  一人になってから

クリスティーンは、二度キスをする。

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしています。  前回、ファントムが「クリスティーンから、慈愛を与えてもらった」と、『誤解』をしている、と最後に書きました。  今回は、その考察です。  ネタバレあります。主観です。 ■「教えてあげたいの」  自分がどれほど言葉を尽くして、「私の愛は偽物ではない」と訴えても、遂にファントムの心には届かなかったのを見て、クリスは呆然とします。  多分これまでクリスは、本当の愛を欲しがらない人が居るなんて、想像も

ファントムへのキス

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしてます。  今回は、クリスティーンのキスにファントムが何を思ったかです。  ネタバレあります。主観です。 ■ファントムが受け取ったもの  ファントムは、ずっと自分の顔を嫌がられてきています。  母親からこの顔を愛して貰えた記憶すらありません。  どんな動機だったにしろ、母親から「見えないように」という意図で仮面を与えられているくらいですから、当然その顔に触れてくれる人など、今までいなかったでしょう。  その

クリスティーンの最終選択冒頭

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしております。  前回、結末と真逆の内容の二次創作物を、載せてしまいました。  二つ載せております。どちらもあまり長くはないので、よろしければどうぞ。2つ目の方は少々加筆訂正して載せ直してます。18禁要素は入ってないので安心安全ですが、一次物原理主義の方にはおすすめできません。  どちらも読んで戴ければ解りますが、あの二つは、同じ一コマを描いてあります。この一コマ、事実は、 ・娘が朝起きて、広間に入ったら、男が作

本物の愛と、偽物の愛

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしています。  今回は、ラウルとファントムの比較考察を、別の視点から書きます。  ネタバレは多分それほどありませんが、主観が強めになります。  いつも長文で申し訳ない。 ■愛を知る人と知らない人  ラウルは、愛を知っています。  それが何よりも甘美な、価値のあるものだと知っています。  なので、それと「愛のふりをした別物」を並べた場合、その違いがわかります。「愛してるふりをしてる」と見抜くことができます。  

ラウルの倫理、ファントムの美

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースに綴ります。  最終的にクリスがどうしたのか、はもう少し後にするとして、今回は、ラウルとファントムについて、思ったことを、いろいろ綴ります。  多分そこまでのネタバレはありません。  ただし、主観は非常に強いです。 ■「いい人なんだけどね」vs「でもいい人よ」  あなたが誰かに、Aさんの人となりを訊かれたとします。  Aさんが「いい人である」という事実は、明らかだとします。  しかし、Aさんには、それ以外の、あ

言葉は、尽きた。

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしています。  地下のクライマックスシーン。  3者の叫びが収まり、クリスティーンが選択を迫られる辺りまでになるかなと思います。  この辺りからはもう、本当に可哀相でつらい。  つらすぎて、筆が進まない上に、個人的に、結末と真逆の二次創作を先にしてしまったくらい。  ネタバレあります。主観が強いです。 ■三者三様・続  ここまでくると、もうあれこれ策を弄してどうこうできる段階ではありませんから、それぞれが同

クリスティーンは何に怒ったのか

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースにしてます。  三つ巴でぶつかり合うシーン途中の考察です。  ネタバレあります。主観が強いです。 ■クリスティーンの反応 「私を愛すると言えば、彼の命は助けてやる。  拒むのなら、彼の命はない。選べ」  これが、ファントムの命題です。  大切な者の命を盾にして要求を通す方法は、先程ラウルに使ったら、非常に有効だったので、当然クリスにも使います。必勝パターンを使わない手加減は、もはやしません。  ラウルは驚くほ

ファントムがクリスティーンに求めたもの

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースに綴ります。  ラウルが地下に助けに現れた直後辺りから。  ネタバレあります。主観の強い長文です。 ■ファントム先制  クリスの身の安全を盾にとられた形のラウルは、それ以上強い姿勢で対峙することができなくなり、「愛しているんだ」「せめて彼女に会わせてくれ」と遂にファントムに懇願します。 「構わん好きにしろ!」と傲然と言い放たれたその瞬間、心理戦の敗北が決まります。まあこの手の土俵で、情熱だけが武器の若者が、心理

駒は出揃った

『オペラ座の怪人』考察備忘録。  25周年記念公演版をベースに綴ります。  今回は、ラウルが地下に助けに来たところから。  ネタバレあります。主観です。 ■ラウル登場  ラウルが、地下の居室に足を踏み入れます。  救出のために、単身、これといった武器を用意する間も惜しむかのように手ぶらで乗り込んでこれるあたり、なるほど「君を救い守る」と誓った気持ちに嘘はなかったのでしょう。ラウルはラウルなりに、真剣にクリスを愛していることがわかります。  「ああ、これは無上の喜びだ!