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僕の体の70%は『BLEACH』でできている

※今回の記事を一瞬で要約すると「家の外とか行ってないで無料公開中の『BLEACH』読もうぜ!!!!!!」です。

中学高校と、剣道部だった。近所のお兄ちゃんが剣道をやっていて、漠然とカッコいいなあと感じていたから始めた……というのが表向きの理由だけど、今思えば真の目的は「卍解を習得するため」だったかもしれない。

高校の剣道部では、文化祭でやる時代劇の脚本・監督を務めた。「喧嘩ってのは、どっちも自分が正しいと信じてるから起こるもんでしょう」「お前には憎しみも覚悟もない。ただ八州廻りとしての責任感だけで刃を振るっている」、このあたりのセリフは『BLEACH』をパクっ……参考にした。

大学では日本文学を専攻し、ポエトリーリーディングのイベントにも出たり、バンドで作詞もやっている。日本語が好きだし、それを用いてなるべく自由に戯れたい。じゃあ「日本語って凄い」と思い始めたきっかけはというと、夏目漱石でも『源氏物語』でもない。『BLEACH』だ。

今年は『BLEACH』スタートから20周年。最終章「千年血戦篇」アニメ化だとか原画展だとか久保帯人先生の新作『BURN THE WITCH』連載&アニメ化だとか、いろんなプロジェクトが動き始めた。

おそらくその前祝い的な意味もあり、5月6日まで1巻~48巻が無料公開されている。(とても大事なURLなので無駄に目立たせつつ貼っておきます)

https://shonenjumpplus.com/episode/10833519556325021930

自分はいわゆる「推し」を人に薦めるのが苦手なほうだけど、これに関しては時間さえあるのなら本当に読んでほしい。単純に面白い。そして読むときはストーリーのみならず、世に比類ない天才・久保帯人先生のセンスを全身に浴びながら骨の髄まで愉しんでほしい。

僕の『BLEACH』との出会いは小学生の頃だった。ストーリーを一切知らないまま、映画の2作目『The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸(ひょうりんまる)』に連れて行かれた。

「黒崎一護?日番谷(ひつがや)冬獅郎??卍解???天鎖斬月????大紅蓮氷輪丸????えっ????えっ?????」

世界観、演出、キャラクター、アクションのクールさは言わずもがな、見たことも聞いたこともないワードたちが自分のなかの「世界一かっこいい固有名詞ランキング」を異常な速度で塗り替えていき脳がショート。次の日にはまんまと『BLEACH』のコミックスを読みふけっていた。

そして劇場版3作目の主題歌はポルノグラフィティ『今宵、月が見えずとも』。その後アニメ版のオープニングとして『アニマロッサ』を摂取した。まずい。まずいだろう。年頃の男子に「BLEACH×ポルノグラフィティ」を与えるのは完全にまずい。結果、どことなく根源的な厨二感が染み付いて拭えないまま今に至る。

しかしこれだけは言っておきたいけど、僕のことは嫌いでも『BLEACH』のことは嫌いにならないでください。

『BLEACH』といえば必ずコミックスの冒頭ページにポエムが載ることでも知られる。表紙イラストに選ばれたキャラクターになぞらえられていて色々な解釈ができるものだから、ファンとしては注目せざるを得ない。

今回の一気読みキャンペーンではそれらのポエムは見られないから、個人的に好きなものをいくつか載せておく。気になったらコミックスもどうぞ。

剣を握らなければ おまえを守れない
剣を握ったままでは おまえを抱き締められない
(5巻、茶渡泰虎)
美しきを愛に譬(たと)ふのは 愛の姿を知らぬ者
醜きを愛に譬ふのは 愛を知ったと驕る者
(20巻、市丸ギン)
ただ執拗に 飾り立てる
切り落とされると知りながら

ただ執拗に 磨き上げる
切り落とされると知りながら

恐ろしいのだ 恐ろしいのだ
切り落とされる その時が

切り落とされた その髪は
死んだあなたに 似てしまう
(29巻、チルッチ・サンダーウィッチ)
その疵(きず)深し、海淵の如し
その罪赤し、死して色無し
(30巻、志波海燕)
君が明日 蛇となり
人を喰らい 始めるとして
人を喰らった その口で
僕を愛すと 咆えたとして
僕は果して 今日と同じに
君を愛すと 言えるだろうか
(47巻、市丸ギン)
一緒に数えてくれるかい
君についた
僕の歯形を
(52巻、月島秀九郎)
一歩踏み出す 二度と戻れぬ
三千世界の 血の海へ
(55巻、ユーハバッハ)
罪無きあなたは 太陽のよう
罪深きあなたも 太陽のよう
(60巻、黒崎真咲)
吾子(あこ)の手かわいや さまよう手
吾(われ)をもとめて 流離(さすら)うて
寄らば離れる 手をとって
引きて歩もう 沙汰の果て
(71巻、涅ネム)

すいません、正直楽しすぎるのでこのポエムを載せ続ける作業をしたまま一生を終えたいのですが断腸の思いでこれくらいにしておきます。

……と思ったけど、「鬼道の詠唱」というヤバい代物もあるのでこちらもお気に入りをひとつだけ。ネットだと「黒棺」の詠唱が有名だけど。鬼道とはまあ呪文みたいなもので、それぞれの「詠唱」を唱えることで十全の効果を生み出せる設定です。

千手の涯(はて)
届かざる闇の御手(みて)
映らざる天の射手
光を落とす道 火種を煽る風
集いて惑うな 我が指を見よ
光弾・八身・九条・天経(てんけい)・
疾宝(しっぽう)・大輪・灰色の砲塔
弓引く彼方 皓皓(こうこう)として消ゆ

破道の九十一 "千手皓天汰炮(たいほう)"
(46巻)

いや10代前半でこんなものに出会ったらお終いだよ。

というわけで『BLEACH』について脈絡なく語るだけの記事でした。

あと、すでに『BLEACH』を知っている方向けには「Black and White」というブログを全力で紹介したいです。作品にまつわる考察が本当にすごい。

作品論6 〈千年血戦篇〉=ナチス・ドイツの世界侵略
作品論7 ~『BLEACH』における太陽、月、愛~
伏線1 ~黒崎兄妹の名前~

ネタバレ含んでしまいますが、このへんの記事とかおすすめです。世の中にはかかる人もあり。こんな風に作品の深層まで解釈できるようになりたいなあ、と感嘆させられるブログです。

それでは今日はこのへんで。


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