見出し画像

MochiはMochi屋

日本ではお正月が近づくとご家庭でお餅をついたり、スーパーで切り餅や鏡餅が売られる。私たち日本人にとっての おもち は餅米をつき、丸く丸めたりのしたりしてあるもので、焼いたり煮たりして食べるものだが、ここでは違う(*アメリカ東海岸在住です)。

私が10年住んだアメリカを出たのは2000年初頭で、そのころは Mochi は世間には存在しなかったと思う。モチはアジアスーパーや日本食材店などで さとうの切り餅 や韓国のトッポギみたいなものを買っていた。それを自家製のお汁粉やお雑煮に入れたりしていた。

月日は流れ、2010年ごろにまた私はアメリカに戻ってきた。するとあちこちで Mochi を目にすることになる。スーパーに行くと Mochiアイスが売ってある。寿司屋に行くと Mochi アイスがメニューにある。チャイナタウンに行くと Mochiが箱詰めされて売られている。

あまりにも Mochi Mochi Mochi Mochi なので、ある日近所のスーパーでMochiアイスを買ってみた。同じかどうかわからないが、こんな感じのパックだった。箱のフォントからオリエンタルな雰囲気をバンバン出しているが、果たしてこの Mikawaya が日系なのかはわからない。

画像1

ひとまわり小さい雪見だいふく、という感じだが雪見だいふくの方が100倍美味しい。皮も硬めでガッチガチに硬いのでしばらくテーブルでほったらかしにしないと美味しくない。

だが、これがアメリカでの世間様がいう Mochi であり、Mochi というと90%でこのアイスクリームのことだった。

最近は Mochi は箱に入った一口サイズの求肥の大福のことを指す。 Daifukuとは呼ばれない。これも Mochi であり、もうアメリカで Mochi というと求肥だと100%決まっている。ちなみに私は大福や苺大福を手作りするが、それもMochiである。生徒たちは Japanese Mochi~~!と喜ぶし、友人は You made your own Mochi?? と驚く。

なので日本人の私が これはGyu-hiでありDaifukuでありMochiではない、と主張しても意味がない。彼らにとってはこのぷにぷになものは全てMochiなのだ。

先日同僚にクリスマスプレゼントをもらった。”日本人だからMochiが好きだと思って” とわざわざMochiを贈ってくれた。

”見て、ちゃんと日本語も書いてあるし、本物のMochiだと思うわ。3種類どれも美味しいわよ〜” と頂いたMochi。

画像2

中国語だし(だいたいどれもMochiは中華系)、ブランド名は日本ではあり得ない”皇族” だし、もちろんこれはちんまい求肥の大福なのだが、食べてみてちょっと笑った。

中身は小豆のあんこ、ゴマあん、ともう1つはピーナッツバターだった。ピーナッツあんではない、ピーナッツバターそのまま。パンに塗るやつ。

食べながら、”こりゃないわ” とねっちゃねちゃのMochiを恨めしく思っていたが、かつて日本に住んでいて日本語も堪能なアメリカ人の夫でも ”ピーナッツが一番美味しい” と言っていたので Mochi はちゃんとアメリカ人に愛されるようなMochiになっている。ちなみに同僚もピーナッツがいちばん美味しいと言っていた。

以前もらったMochiにはいちごジャムやラズベリークリームもあったし、アイスの方のMochiも青やら紫やら緑やらピンクやらのレインボー展開している。

Mochi は Mochi屋。 日本人の私が何と反論しようが、アメリカのMochi屋はどんなMochiが愛されるのか、よくわかってる。

シマフィー 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?