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教師シマリス

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学校の授業、教育系のアレコレ、楽しく学ぶ工夫、そんなことを書いた記事をまとめました。 現在アメリカの私立高校で歴史と科学などを教えていますが、それ以前は日米を含め6カ国で英語・コ…
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#エッセイ部門

君が留学決める前に言っておきたい:関白宣言

君が留学 決める前に 言っておきたいことがある かなりきびしい話もするが シマリスの本音を聴いておけ 英語ばかりを 学んではいけない 英語だけ出来ても 何にもならない 読書の時間作れ 歴史・数学・美術史 どれも全部やれ 日本語でいいから 忘れてくれるな 国語の読解も出来ない生徒は 英語で読解、分析、論文、何にも出来ないってことを 発音よくても、教養不足で 落第ってこともあるから 英語以外も今のうちから 黙ってたくさん勉強してこい 今時の若い人、さだまさしさんの ”関白宣言”

アルフィーの軌跡から学ぶ、みんなに教えたい豊かな人生のヒント

The ALFEEの高見沢さんが単独で20年以上続けている(すごいな)ラジオ番組”ロックばん”のRoots of Takamiyはご自身とアルフィーの軌跡を振り返るというコーナー。 へーそうだったんだー!と何となく聞いていることが多いけれど高見沢さんの言葉には色んな学びが詰まっている(贔屓目とかではなくw)。 今回のRoots of Takamiyでは、ご本人は意図していないだろうけれど(そういうことが高見沢さんには多々ある)、年齢・性別・国籍など関係なく、人類全ての人生を

5ドルで買う夢

帰宅途中、ハイウェイをひとつ手前で降りると小さな中華料理の店を通る道に出る。(アメリカ東で教師をしています) ゴミを極力出さない生活を徹底し始めてからは、もう外食もテイクアウトもしていないが、この学校で働き始めた当時は何ヶ月かに一度、学校の帰りに中華をテイクアウトすることがあった。 包丁も握りたくない、電子レンジでチンするのもめんどい、パンをトーストするのもだるい、それほどに遅く疲れて帰宅することが多かった頃だ。 その小さな中華は、アメリカではどんなに辺鄙な街にでも必ずあ

手を繋ごう

”先生、カフェテリアまで手を繋いでくれない?” 何年か前のことーーーそう真顔でお願いしてきたのはかつて私のクラスにいた12年生の男子生徒だった。(*アメリカの私立校で教師をしています) 私はちょっとだけ戸惑った、というのも我が校は生徒にハグをしたりすることは禁止されていないけれど(一般的には教師は生徒を触らない、という決まりがあります)、手を繋いで歩くことはまずない。 私の困惑が表情に出ていたのだろう、彼は”今日だけ、お願い”とにっこりする。 普段はそんなこと言わない

努力が報われるのは10年後の法則

高校生を教えているとプロとして悩ましい壁にぶち当たることが多い。(*アメリカの私立校で歴史を教えています) 教えていることがすぐに直接何かに役だったり、知識のおかげで得をしたり、お金が貰えたり、そんな目に見える形になってすぐに現れるわけではない。生徒たちは読むのも書くのも面倒くさがるし、授業中にどんなに楽しい講義をしても、彼らが家に帰ってからもっと調べてみようとか深く理解しようと時間や努力を割くことはまれだ。 私は生徒たちには歴史や科学や文学などの教科としての知識だけでな

先生が泣いた日:We're Not Good Enough

学生だった頃は先生が泣く姿を見たことは一度もなかった。 単にそんな機会がなかっただけなのかもしれないが、今、自分が高校教師をしていて思うのは、あの先生たちも職員室で、帰りの車中で、家で、生徒の見えないところで、泣いていたのだろう。 私が教師になろうと決めたのはいつだったのか思い出せないが、やる限りは一生懸命にやろうと決めた出来事はあった。こちらに書いている。 結婚してアメリカに戻って来て以来、私立高校で歴史と科学を主に教えているが、小さい学校なので教師各自が穿くワラジは何

”正しい英語”は誰の英語か

12年生の英文学の先生と話をする機会があった(*アメリカの私立高校で教師をしています)。留学生の2−3人が文学の授業をパス出来ないかもしれない、という内容で、その会話の中で聞き捨てならないことを言われた。 彼らは正しい英語を喋れないからな〜 もう何年も、何年も、我が校の職員や教師に言い続けているけれど、彼らは一向に考えを改めてくれない。 正しい英語、というものはない。発音でも文法でも、英語には色々と種類があり、これだけが正当で正解、というものはない。 シンガポールもイン

教育者・指導者(それ以外のみんなも)必見!:アルフィーキッチンを教育者の視点から解く

お腹が痛くなるほど笑うので、何度も見たくなるのですが、何度も見るうちにThe ALFEEの3人のコミュニケーションや行動が、教育現場での理想の姿だなぁ、と長年学校の先生をしている私は思うのです。 (*アメリカで教師をしています) *2023年6月に再編集・加筆しています。 The ALFEEというバンドをご存知の人は多いと思いますが、その3人がかわいくて、面白くて、中毒性の高い料理番組をしていることを知る人は(一般の方は)少ないのではないでしょうか? 毎年の夏のイベントで

教師を続ける理由:透明のエンジニアと春巻に思う

どうして先生になったの?と聞かれることが多いのですが、コレだ!という理由は見つかりません。 学校は特に好きではなかったし、覚えている先生もほとんどいません。 ただ先生を続けるきっかけとなった出来事はありました。それは自分の人生で一番に後悔がいっぱいの、思い出すたびにぎゅっと胸が締め付けられる出来事です。 アメリカの大学3年、4年時にボランティア活動をすると就職に有利だと大学に言われ、ボランティアをいくつかしたことがあります。 留学生で労働ビザもありませんし、ボランティアし