マガジンのカバー画像

教師シマリス

108
学校の授業、教育系のアレコレ、楽しく学ぶ工夫、そんなことを書いた記事をまとめました。 現在アメリカの私立高校で歴史と科学などを教えていますが、それ以前は日米を含め6カ国で英語・コ…
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

優しいなぁ、ありがとう

もうすぐ3学期が始まろうとしているがちょっとあたふたとしている。 理由はいろいろなのだが、一番は校長先生に ”シマ先生、選択科目ひとつやってくれない?” と頼まれたからだ。大抵選択科目は一年の初めにどれをやるかを提出し、それを協議して他の授業や自分の時間割や生徒の興味なんかを加味しながら早いうちに決まる。でないと準備も追いつかないし生徒たちへのアナウンスも間に合わない。(*アメリカの私立校で教師をしています) なのに先週になって校長先生がむちゃぶりしたのだ。シマ先生、ひと

努力が報われるのは10年後の法則

高校生を教えているとプロとして悩ましい壁にぶち当たることが多い。(*アメリカの私立校で歴史を教えています) 教えていることがすぐに直接何かに役だったり、知識のおかげで得をしたり、お金が貰えたり、そんな目に見える形になってすぐに現れるわけではない。生徒たちは読むのも書くのも面倒くさがるし、授業中にどんなに楽しい講義をしても、彼らが家に帰ってからもっと調べてみようとか深く理解しようと時間や努力を割くことはまれだ。 私は生徒たちには歴史や科学や文学などの教科としての知識だけでな

”君死にたもうことなかれ”

日本から来ている生徒がいる。私のクラスにはいないのだが、時々放課後にやってきて日本語でおしゃべりしたりする。(*アメリカの高校で歴史を教えています) 11年生のFちゃんが手に握りしめて私の教室に持ってきた一枚の紙には、詩が書かれていた。 与謝野晶子の ”君死にたもうことなかれ” (日本ペンクラブ電子文藝館より) 今日の歴史(私の担当ではない)はロシアの歴史とウクライナ情勢のニュースだったらしく、カリキュラムにはない特別授業で、映像やニュース記事などと共に今、何が起こって

生まれて初めて焼いたパン

私の生徒たちはまだたった14−15歳なので、”生まれて初めて”の経験が日々たくさんあると思う。本人たちは意識せずとも、外から見ているだけでもいいことや、悪いことや、どっちでもないことの初めてがまだまだ日常で目白押しだ。なんと羨ましいことか!(*アメリカの高校で教師をしています) 彼らは時には意図して”初めて”のことをやってみることがある。 昨日はC君にとってはそんな日だった。彼は何を思い立ったか、生まれて初めてパンを焼いたのだ。大人の手を借りずに、Youtubeを見ながら