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子育ての事

一年くらい前だったか、奥さんがお友達とお茶をして帰ってきた日の夜に、その日仕入れてきた中学校受験の話になった。

本当なのか嘘なのか、都内の小学生の結構な割合が中学校受験をするというのは聞いたことがあったけど、僕のような田舎育ちには想像もつかない訳で、そもそも自分がやったことのない事を小学校三年生になったばかりの我が子に強いるつもりもないし、情報提供することすらもどうかと思いながらも、5年生になってからの準備では遅いなんていう知り合いからの受け売り情報を真に受けて、娘に話してみた。折しも下克上受験のテレビドラマが終わった直後だったりしたものだから、娘も乗り気になった。すぐに塾に通いたいとなってあれよあれよと言う間に、娘は塾に通うことになって、中学受験準備みたいなのが始まった。とはいえ、僕は娘には基本自分のことは自分で決めさせる主義であるし、とにかく大人になったら自分一人で稼いで食べていけるようになることが子育ての最大の目標なので、勉強もやりたければやればいいし、やりたくないことは無理にやる必要はないというのがスタンス。

で、最近の娘が実は塾を辞めたがっているのである。よくよく話を聞くと、高校に進学せずにとっとと働きたいといいはじめたのである。

一瞬耳を疑ったけど、なるほどそれはそれでありだなと思った。

そもそも子育てに関しては、どういう人間に育って欲しいかというビジョンを奥さんと共有していなかったからここで一旦考えてみた。良い大学に行って、良い会社に入って、みたいなのがどういう人間になって欲しいビジョンではないはずで、その「将来子供がどんな人間になってたら自分として、まあ親としてよかったな」と思えるかを想像してみた時、今、これからの時代にはどんなプロセスが最適なルートはなのかを考えてみる必要があるかと思ったので。

・違和感を感じる感度
目にしたこと、聞いたこと、常識だと思われている事を一瞬疑ったり、なんか変だぞ?って感じる感度を持っている人間。(その違和感は常に正しい)

・知的好奇心
感じた違和感に対して、なぜ?なぜそうなっている?という回路を持っていてる人間。そして知らない事に対する学びスイッチを即オンにする人間。

・行動力
思い立ったらまず行動する。考える前に行動。そして、立ち止まって考える、そういう順番で行動して考える人間。

・考える力
問題を発見し、問題を解くための課題を設定する能力をもった人間。

・課題を解く力
設定した課題を、自分で考え、自分で解決する力。自分でできない場合、それを一緒に解決してくれる仲間のいる人間。

・ビジョンを描く力
こうなっていたらいいな、という幸せな未来のイメージを描く力のある人間。絵でも文章でもなんでもいい、描いたイメージを人につたえることができる人間。

・実行力と推進力
思い描いたイメージを実現するプロセスを構築する力を持った人間。また周囲を巻き込んで実現まで持っていく推進力をもった人間。

・愛情と優しさ
何事にも、誰にでも愛情と優しさを持って接することができる人間

・面白さ
物事を面白おかしく楽しく進めていくメンタリティをもった人間。

・ポジティブな精神
なにが起きても前向きに対処できるメンタリティをもった人間。

とまぁ、とても大変なわけだけど(笑)、これらは僕がビジネスの場面で出会う、素敵な人たちに共通する人間力である。そして今いろんな地域でビジネスを作り出す時に必要だと思う人間力でもある。こんな大人になってくれたら素敵だなと思う人間像。もちろんこんな人に育つのは容易ではない。

で、こういう人に育ってもらうためには、どう育てたらいいのか、もちろん答えを持っているわけでもない。ただ、受験して進学する中学校と高校で得られる力ではないことだけはわかっている。学校では与えられた課題を解く力を養うトレーニングなくらいかなとも思う。

要するに、学校ということでいうと、今、僕は子供に通わせたい学校がないのである。ここが今の日本社会と日本教育の最大の課題ではないかと思っている。教育を受けさせる義務があって義務教育の義務があるにも関わらず、教育が産業になってしまった時点で、本質が完全に損なわれてしまった感があることに、自分としてオルタナティブが示せないのがもどかしいのである。





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