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僕がやっている、10分で嫌な記憶を思い出させなくする方法【CBTセルフリフレーミング】

「失恋の記憶」「恥ずかしかった記憶」「誰かに嫌われた記憶」など、辛い記憶は誰にでもあると思います。

そんな嫌な記憶ほどよく思い出してしまうもの。そして思い出して辛くなっている以上、その記憶はどんどん強固なものになってしまいます。

今日は僕が行っている、嫌な記憶を思い出させなくする手法を紹介したいと思います。番人に効き目があるかはわからないのですが、1人でも多くの人が辛い想いから脱却できればと思い、この記事を書いています。

そもそも長期記憶の消去は無理

手法をお伝えする前に、嫌な記憶を思い出す脳の仕組みを理解しましょう。

記憶は、大きく2種類あります。
詳しくはこちらの記事を参考にしてもらえればいいのですが、ざっくり「短期記憶」「長期記憶」というものが存在していて、短期記憶はスカンと消せるのですが、長期記憶は徐々に弱めていくしかありません。

多くの人を悩ませる嫌な記憶は、既に「長期記憶」になっているものがほとんどでしょう。
短期記憶の保持期間は2〜4週間と言われているので、少なくともそれより前の記憶は長期記憶です。嫌なことがあった今その時に「短期記憶」から消去する方法はまた別の機会に話そうと思います。

長期記憶は残念ながら、すぐに無くすことができません。「思い出さないこと」によって、どんどん弱体化や潜在化させていくことしかできません。つまり逆を言えば、思い出すことによってどんどん強化されていってしまうということ。それが僕も含めて皆を困らせている、嫌な記憶がずっと付きまとう理由なのです。

この意識せずに思い出してしまうのを「自動思考」といいます。


どうしたら思い出さなくできるのか

ではこの自動思考で強化され続けてしまった長期記憶はどうすればいいのでしょうか。
僕が注目しているのが「認知行動療法(CBT)」です。

CBTは本来、精神疾患などで主に使われるものです。
ざっくり説明すると「現実の受け取り方」や「ものの見方」を認知といいますが、この認知と行動に働きかけてストレスを感じにくくしていきましょうという治療法。
これが行えると、まず嫌な記憶を思い出しても辛さが和らぎます。また、辛さが和らぐため自動思考の回数も減り、結果的に思い出しにくい記憶となります。

CBTは基本的に、カウンセリングベースで行います。カウンセリングの中で、医師やカウンセラーが人それぞれに対して質問内容を変え、適切な治療方法を選択しているのです。

ただしカウンセリングなんて、気軽には行けませんよね。あとカウンセリングは精神疾患用に寄ってはいるので、もっと日常的な嫌な記憶も思い出しにくくしたい。

そこで僕が行っているのが「CBTセルフリフレーミング」です。
CBTのアプローチを一部自分自身でできるようにし、自分自身に合った質問内容に変えていき、更に一般的なリフレーミング手法も取り入れています。

つまり「自分の記憶や思考回路や今後の行動を、自分だけで書き換える」ということです。


【CBTセルフリフレーミング】概要

僕はGoogleフォームを使って行っていますが、メモ帳アプリで十分です。
多分実例で示した方が早いので、僕の使っているフォームをご紹介します。

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嫌なことを思い出した時には、この項目に沿って文字化していくのです。だいたい10分くらいで終わり、気分が変わったことも自覚できます。


【CBTセルフリフレーミング】具体例

では例を書きますね。
失恋パターンと仕事パターンの2つを書きます。
※ちょっと長いので、必要な方だけ読んでみてください。

◆ケース1 : 失恋
状況

好きだった同僚のAさんに告白して振られて、1ヶ月経った。
Aさんはその日から冷たくなり、余り話しかけてくれなくなった。多分仲のいいBさんには相談しているし、Bさんは口が軽いから社内に広がっていると思う。居場所がなく、毎日行くと苦しくなる。

今の気分(落ち込み : 80%)
苦しさ : 90%、恥ずかしさ : 70%、怒り : 40%

自動思考(根拠なく推測していること)
・Aさんがその日から冷たくなった
・Bさんに相談している
・Bさんは社内の人に話している

自動思考の根拠
◆Aさんがその日から冷たくなった
振られた日から一度すれ違ったが、目を合わせてくれなかったから。

◆Bさんに相談している
Aさんは、Bさんに自分と遊びに行ったことなどよく話していたので、自分と別れたことを話さないと不自然。

◆Bさんは社内の人に話している
Bさんは交友関係が多い。そしていつも明るくよく場を盛り上げる話をしているため、ふざけてみんなに言っているかもしれない。

根拠の反証(理屈として成り立つ別の可能性)
◆ Aさんがその日から冷たくなった
・たまたま目が合わなかっただけかもしれない。
・Aさんも僕と同様、今後どう接していったらいいかわからず困っていて目を合わせてくれなかったのかもしれない。

◆ Bさんに相談している
・まだどう伝えていいのかわからず、何も伝えていないかもしれない。

◆ Bさんは社内の人に話している
・BさんもAさんに気を使い、周りにはなにも言わないかもしれない。

昔の類似事象について、今どう思っているか?
昔の失恋がなければ、Aさんと付き合うこともなかったと思うので、よかったと思っている。またあの時のような子供な態度でAさんに接していたら、もっと早く別れていたと思う。

逆の立場や第三者だった時、どう思ったか?
逆の立場だったら、気まずさを早く無くしたいと思う。第三者だったら、数日しか関心がないと思う。

もし尊敬する人だったらどう考えるか?
人生の1ステップと思い、くよくよしないで今後どうするかを考えていると思う。

もしそれが叶わなかったらどうして欲しい、どうしたいか?
会社で普通に話せる関係に戻りたい。

適応的思考、適応的行動
・相手も気まずいと思い、どう接すればいいかを悩んでいる。
・自分が思っているほど、皆他人の恋愛に関心はない。あって数日。
・明日電話してみて、普通に戻ろうと自分から切り出す。

今の気分(落ち込み : 80%等)
苦しさ : 40%、恥ずかしさ : 30%、怒り : 10%
◆ケース2 : 仕事
状況

頑張って作った提案資料を使い、顧客に提案したが失注した。
上司に言ったら「提案の本質がわかっていない」とみんなの前で怒られた。時間がないから何も考えずみんなの前で怒ったのかもしれないが、先に言ってくれれば受注できたかもしれないのにと思い、ムカついた。
皆もあいつはできないやつだと思ったかもしれなく、恥ずかしい。

今の気分(落ち込み : 80%)
怒り : 70%、恥ずかしさ : 60%、落ち込み : 30%

自動思考(根拠なく推測していること)
・時間がないから何も考えずみんなの前で怒った
・皆もあいつはできないやつだと思った

自動思考の根拠
◆ 時間がないから何も考えずみんなの前で怒った
普段から忙しそうにしているため。

◆ 皆もあいつはできないやつだと思った
特になし。

根拠の反証(理屈として成り立つ別の可能性)
◆ 時間がないから何も考えずみんなの前で怒った
周りにも同じ失敗をしてほしくないと思い、皆の前で言った。

◆ 皆もあいつはできないやつだと思った
特に自分には関心がなく、自分も怒られないようにしなきゃと思っている。

昔の類似事象について、今どう思っているか?
いい失敗経験だったと思ったと思っている。部下を持つようになりわかったが、失敗経験がないとあまり言葉が響かないし、行動が変わらない。

逆の立場や第三者だった時、どう思ったか?
逆の立場だったら、どう注意したらいいかを考えて結局言い出せない気がする。相手のためにならない。
第三者だったら、いい話が聞けたと思って自分の教訓にする。

もし尊敬する人だったらどう考えるか?
次同じ失敗をしない姿を見せれば、上長にとってはできる人になったと思われるはず。むしろ成長する人だと思われる。

もしそれが叶わなかったらどうして欲しい、どうしたいか?

適応的思考、適応的行動
・失敗経験を詰ませてもらったと思い、次の教訓にできるようになった。
・類似機会を積極的に探し、変わった姿を見せる。

今の気分(落ち込み : 80%等)
怒り : 20%、恥ずかしさ : 20%、落ち込み : 10%

こんな感じでリフレーミングしていき、記憶や自動思考の悪さを暴いていくわけです。最後の「今の気分」は、書き終わった後の気分についてです。ここが最初より減っていれば、リフレーミング成功です。


【CBTセルフリフレーミング】留意点

今回紹介したのは、あくまで僕の性格に合った項目リストです。
「認知行動療法」「リフレーミング」などで調べると、一般的な項目は多く見つかるので、自分自身でカスタムしていってください。

また、すべてを埋める必要もありません。
起こった事象によって効果的な項目も変わるはずですから、書いても意味のない項目を飛ばし「書く面倒臭さ」を極力自分の中で抑えることが重要です。極度に面倒臭がりな人は「状況」だけでも書いてみてください。それだけでも自分が自動思考していることに気付けるはずです。

お悩みの方は是非実践してみてください。ではでは

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