見出し画像

男も家も「理想と現実」は違う

自宅購入を考え始めたことは前回書いた。

最初のうちは世間の平均レベルにばかり意識が向いてたせいか、今にして思えば「私サイズ」ではない物件ばかりにフラグが立っていた。

「買うならマンションかな」
ここは横浜。東京から見れば(場所によっては)カントリーだが、全国レベルでは「そこそこ都会」で住みやすい街である。

住みやすい街は人気も高い。交通アクセスのよさだったり、ショッピングモールの便利さだったり、富士山の見える景観だったり、横浜は東京に引けを取らないばかりか、むしろ全国有数の「住みたい街」だ。

絵空事ならば、いくらでも理想を思い描ける。
金に糸目をつけない前提で最初に「住みたいな」と思ったのは、高層階マンション──いゆるタワマンだ。

タワマンに憧れた理由

普通のマンションとは違い、タワマンは共有設備が充実している。ホテル並みのコンシェルジュがいるフロント、ゴージャスなロビー、ノマドもできるライブラリー、住民なら自由に利用できるバーカウンターやスポーツジム、格安でレンタルできる会議室やパーティールームやゲストルームまであれば、来客対応から仕事利用まで利用価値大だ。
それだけサービスが充実していても、膨大な世帯数のおかげで管理費が比較的リーズナブルなのもメリットだ。

共用設備のよさだけではない。景観もタワマンならではのよさである。ただしそれは方向や階数に左右される。販売価格にも直結する要素だ。
高層階、東京湾や富士山ビューの部屋は高く、低層階は(高層階に比べたら)リーズナブルだ。中には低層階は賃貸のみで販売していないマンションもある。

しかし横浜のタワマンは、市内でも特に都会なエリア(そして駅近)ばかりに建っている。つまり、庶民に手が出せるような金額じゃない。

横浜エリアではないが、私の友人にも数名タワマンに住んでいる人がいる。彼らは当然ながら、わかりやすい「勝ち組」だ。彼らとは違い、販売価格を見て秒で「無理」と思う庶民な私には、どだいタワマンは憧れの域を出ない。

買えないことを悔しいとも思わないくらい、タワマンは私にとって現実から剥離していた。理想なのかといえば、それも違うように感じる。
「タワマンとか住めたらいいよなー」というのは「タワマンに住める=他人から『勝ち組』と思われる存在」への憧れみたいなものだ。
よく考えてみれば、私は勝ち組への憧れすらなかった。すごい奴になりたい気持ちはあれど、その「すごい」に他人からの承認欲求は含まれない。

ここから先は

1,316字

¥ 600

サポート大歓迎です。いただいたサポートは、愛犬アンジュの故郷(保護施設)に寄付させていただきます。