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圧倒的なアップデート力「2年間でアプリの改修は60回以上」/teamLab取締役 堺大輔さん

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論第6回堺大輔さん

堺大輔さんについて

東京大学工学部機械情報工学科卒業、東京大学大学院学際情報学府修了。大学時代の研究テーマは、ヒューマノイドロボットのウェアラブル遠隔操作システム。大学院在学中にチームラボ創業に携わり、現在は取締役。社内では「カタリスト」として、プロジェクトに「化学反応」を起こす役割を担っている。
https://www.allow-web.com/flab-net/2016/teamLab.html



まずはオンラインでのオフィスツアーを行っていただきました。


team Labオフィスの特徴

・軽量でカラフルな椅子:色が統一されていないことで、社内のどこに置いても違和感がない。すぐに運んで移動できる。どこでも集まってアイデアが出しやすい。
・クッション製のテーブル:さまざまな体勢で取り組める
・マッサージボールが敷き詰められた机や砂:身体的な刺激を得たり、遊ぶことができる。頭の切り替えや脳の活性化により創造性を発揮する。
・大きなメモパッドでできている机:一人一人が自分のスペースに自由に書くことができる。もしホワイトボードを使うと、誰か1人が前に出て答えを書き、説明する形式になる。それは「正しいことを書かなければいけない」というプレッシャーにつながる。答えのないことを探ることの多いteamLabでは、誰もが参加しやすく発言しやすい環境や、書きながら考えられる状態を作ることが大切。だからこそ気軽に書けたり、自分のプライベートゾーンを確保できる大きな紙を用意した。

全てが新鮮で面白いオフィスでしたが、特にホワイトボードではなく「大きなメモパッドの机」は秀逸だと感じました。一見些細なことに思えますが、実はアウトプットに大きく影響する「ホワイトボードに書く」という心理的障壁に気がつかれているのは、さすがとしか言えません。実際に私も、会議中にホワイトボードへ書くことにすごく緊張した経験があります。。特に新人のころは…。
ただそのときは「自分が図解が苦手なせいだ」「論理的な説明が下手なせいだ」と思い、ひたすら家で図解とロジカルシンキングの練習をしていました🤯 でも今思い返せば、自分が感じることはきっと他の人も感じていること。その気付きを生かして、みんなが気軽に書ける環境を本気で考え、提案してみればよかった!と思います。クリエイティブを加速させる方法を徹底的に考え抜き、ベストな環境を作り上げる、ここにteamLabの本気度を感じました。


「他者の存在」により変化するアート

これまでの物質的なアート、例えばモナリザの絵画などは、作品対鑑賞者が1対nの関係性であり、周囲の鑑賞者は不要(邪魔)な存在でした。一方で、チームラボの作品は鑑賞時に他者がいることを前提としており、人やモノに反応して作品が変化します。他者がいることで、作品は常に変化し、より美しい表情を見せる。だからこそ、他者の存在が歓迎され、全ての存在がポジティブに感じられるのです。
「共創」や「協力」という言葉は、とても耳障りが良いです。ただ人間はどうしても、目の前の自己利益を最優先してしまい、他者が邪魔に感じられることも往々にしてあります。(実際わたしも、美術館でずっと作品の前に立ちはだかり写真を撮っている人がいると、早く退いてくれないかな〜〜と思ってしまいます)
その他者が「邪魔」だという考え方に対して、正論を説いたり啓蒙するのではなく、楽しい体験を通じて、いつの間にか「共創」している状態を生み出す。それがteamLabの凄さであり、比類のないアートだと言われる由縁なのだと思いました。


常にアップデートする

teamLabは、常に新しいものを生み出しているイメージが強くありませんか?
しかし実は、0→1だけでなく、1から2、2から3への積み重ねも大切にしている組織なのです。例えば、一度リリースしたアプリでも、2年間で60回くらいアップデートしているとのことでした。ユーザー調査ももちろん大切ですが、そこに固執するのではなく、一旦作り込んで修正を重ねることを大切にしているようです。その柔軟性、素早さがあるからこそteamLabの強いサービス/作品が生まれているんだな、と感動しました。

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