脱税の疑いを回避する方法
はじめに
こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。
税務調査では脱税していると疑われることがあります。
単なる勘違いや計算ミスであってもです。
でも、計算ミスと脱税では結果(罰則)が全く違います。
税務調査官から脱税を疑われたけど実際は脱税をしていないのであれば、そう主張するべきです。
この記事では、脱税になってしまう場合と、そうではない場合の区別を解説した上で、脱税と疑われないための注意点をお伝えしていきます。
脱税とは?
この記事でいう脱税は、仮装・隠蔽行為があった場合を指します。
仮装・隠蔽行為とは、Aという事実をBに偽装したり、Aという事実自体を隠してしまうことです。
脱税が見つかると重加算税という、重い制裁金を支払うことになります。
具体例を挙げると、本当は現金でもらった売上が100万円あるのに、それを確定申告しないといけないと知りながら、意図的にその100万円を除外して確定申告をするケース、などです。
正しい売上の管理表と、売上の一部を除外した管理表を二種類作ってしまっていることもありますね。
あとは、売上を親族の口座に入金して隠したり、外注の事実はないのに外注したと偽装して経費を水増ししたり。
このように、意図的に税金を減らそうとした事実が見つかると、脱税だと認定されてしまいます。
ちなみに、下の記事では「脱税」の法律用語をより正確に解説しています。
「脱税」は実は脱税じゃなかったりするので、ご参考にしていただければ(応用編です)。
脱税ではない場合は?
つまり、意図的に税金を減らしていない場合は、基本的に脱税=仮装・隠蔽行為には当たりません。
電卓叩き間違いで売上を少なく申告してしまったとか、Excelの集計ミスで経費を二重計上してしまったとか。
売上を計上していたけど、間違って翌期の売上にしてしまっていたとか。
本業のシステムエンジニアの売上は申告しているけど、雑貨販売の利益は申告しなくてもいいと勘違いしていたとか。
このように、わざと税金を減らしているのではなく、うっかりミス・知識不足の場合は、脱税にはなりません。
こういう場合は、重加算税ではなく、過少申告加算税という、もう少し軽い制裁金の支払で済みます。
さらには税務調査の通知前に修正申告をしてしまえば、過少申告加算税も課されません。
脱税の疑いを避けるために
実際の税務調査では、脱税=仮装・隠蔽行為がないのにもかかわらず、脱税だと指摘されてしまうケースがあります。
税務調査官も人間ですので、少しでも「意図的」な要素が見つかると疑ってかかってしまうものです。
「意図的」だと思われないために、次のようなことはしないようにしましょう。
書類の事後修正や廃棄をしない
請求書の日付を変えたり、金額を変えたりして、事後的に書類や帳簿に手を加えるのは怪しまれるのでやめておきましょう。
また、得意先への請求書や契約書を破棄してしまうと、売上自体をなかったことにしようとしていると疑われるので、保存すべき書類はしっかりと保存することが重要です。
他人と通謀しない
他人と口裏合わせをして、不自然な取引をするのも危険です。
たとえば、全く別の事業者同士なのに、毎日昼食をお互いに奢ってあげて交際費(経費)にするとか。
あと、これは脱税になってしまいますが、外注したことにして外注費を水増しする不正はよくあります。
実際は仕事を頼んでいないのに、そう見せかけるのは、他人とはいえ簡単にできてしまいます。
ただ、他人と通謀した場合、他人への反面調査でバレます。
税務調査官が実際にその他人を調査して、売上や仕事の実態がなければ脱税だと認定されてしまいます。
ちなみに、通謀の悪質性が高く、誤魔化している税額が大きいと、「脱税犯」として強制捜査され、起訴される可能性もあります。
経理を自動化する
税務調査官が最も疑うポイントのひとつは売上隠しです。
現金売上の数え間違い(電卓間違い)、集計漏れはよくあるミスです。
また、別口座への入金分の集計漏れも注意しましょう。
特に、たまたまメインの事業用口座とは別のプライベート口座に入金があると、ミスが起こりやすくなります。
これを防ぐためにも、事業用口座への入金ルールを徹底して、会計ソフトと連携することで経理ミスが起こらないような工夫が必要です。
税務調査で曖昧な回答をしない
極端な話、税務調査官にウソの回答をすると脱税を疑われるばかりか、罰則の対象になります。
罰則は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
ただ、税務調査は過去の申告が調査対象なので、当時の記憶が曖昧なこともあるはずです。
指摘事項に限らず、通常の雑談でも税務調査官からの質問に即答できない場合は、いい加減な回答をしないでください。
記憶が曖昧なら、時間をとって資料や記録をよく確認した後に、正しい事実を回答して問題ありません。
ポイントは必ず即答する義務はないということです。
回答に自信がない場合は焦らずに確認したうえで、正しい事実を伝えましょう。
おわりに
意図的な間違いでなければ、基本的に脱税=重加算税の対象にはなりません。
今回紹介したポイントを徹底することで、脱税の疑いを回避することができます。
そして、仮に疑われても脱税になる仮装・隠蔽行為をしていない、と正しい事実をもって説得することができます。
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