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遠回り×窓のない部屋×のろし~忘れたころに叶う夢~


今年最初の記事として、2月に本を出すことをご報告させていただいたところ、多くの方に記事を読んでいただき、また、SNSではコメントなども多くいただき誠にありがとうございました。


今日は、この本と私があきらめていた夢のことを書かせていただきます。


実は私、学生時代に自分でホームページをつくって、気に入った楽曲(主に邦楽)の感想やライブレポートを一所懸命書いていた時期がありました。その後、その対象はお笑いにまで広がります。

平日の夜に音楽ライター養成講座に通ったり、高田馬場のメディア関係の専門学校を見学したり。大学院に進学せず専門学校に行くと言い出すも、母親に説得されてしぶしぶ進学するのですが、結局大学院は肌に合わずやめてしまいます。

就職しなくちゃいけないのですが、工学部卒の一般的な就職先であるメーカーではなく、出版社などを受けまくります。結果は就職氷河期を言い訳にするまでもなく、自分探し迷子、やりたいこと迷子で全滅

そして、母親に安心してもらうために公務員試験を受けて、運よく拾ってくれたさいたま市役所に化学技師として入職したのが、2005年です。


学生時代の私は、常に心のどこかで「書く」ことの周辺で生きていく方法を探しながら、でも、どこかの編集部にバイトで潜り込むことを大学卒業後の最初のキャリアにするほど「覚悟」がない中途半端で薄っぺらいやつでした。

そんな私が市役所に入ったのは、9時17時勤務で土日が休みなら「書くこと」も続けられるかもしれないという不純な動機があったからです。

でも、実際に働き始めると素晴らしい上司や先輩に恵まれ、仕事にやりがいを覚え、毎日の仕事が楽しかったのです。それは幸せな想定外でした。

いつしか書くことが夢だったことなんて忘れて、仕事に没頭する日々を送っていました。


再び「書く」こととの距離が縮まったのは、内閣府/内閣官房に実務研修で派遣された最初の年にブログを書き始めたときです。


ブログでは日々の仕事のこと、家族とのこと、2枚目の名刺で取り組む地域や公務員のキャリアに関する活動のことなどを書き、10年ぶりに「書く」ことと向き合うようになりました。ブログを多くの方に読んでいただけるようになって、「書く」ことがかつて私の夢だったことも思い出しました。

10年間、忘れていた「書く」という夢のこと。


今年の2月中旬(予定)に『仕事の楽しさは自分でつくる!公務員の働き方デザイン』という本を株式会社学陽書房様から出させていただくことになったのも、そのブログがきっかけです。


本を書き始めた時は、そんなことは意識していなかったのですが、こうして発売の予定まで決まってくると、徐々に「これは夢が叶うということなのでは?」と思えてきます。まだあまり実感はわきません。


書くことと離れて市役所で過ごした10年間は遠回りでした。でも、それは必要な遠回りでした

市役所で働いているから、自分の技師としてのキャリアに悩み、公務員のキャリアのことを真剣に考えられます。それがブログを書くキッカケになり、日々書く内容も市役所で働きながら経験したり考えたりすることです。

それに入職してからの10年間で、私にとって市役所で働くことは夢と正反対のものではなく、私自身にとって必要な場となりました。生活の糧を得るという狭い意味だけではなくて、ライフワークとして。

真っ白な壁の窓がない部屋に閉じこもっていたら、きっとブログも書けないし、本を書くことにもならなかったはずです。
働いている、つまりは日々の経験がある、だから書くことがある。働くことは、とても大きなインプットだと気付くことができました。

そして、インプットを得て、ブログというアウトプットの機会で継続的に発信し続けることが、狼煙(のろし)となって私の存在を多くの人に知らせてくれました。その中の一人が、学陽書房の編集者のNさん。


「書く」という夢がありながら、市役所で働くという遠回りをした10年間。その遠回りは書くためのインプットとして必要な遠回りでした。窓がない部屋に閉じこもってひたすら書いていていいと言われたって、何もインプットがなければ、何も書くことができません。
その遠回りの旅程でインプットしたものをアウトプットするブログという場は、いつしか狼煙(のろし)となって私の存在を知らせ、これらの結果がつながりあって一冊の本を書かせていただけることになりました。

結果として、夢が叶う


『夢』は『職業』と紐づけて考えられがちですが、まったく関係ない職業に就いたのに、一度手放した夢が叶うこともある。それを示す生きた実例になれたら嬉しいな。
学生時代の夢はフリーライターのような仕事だったので、「書く」という共通点はあるものの、今の状況は思っていたものとだいぶ異なります。でも、形を変えて「書く」ことと関われていることは確か。

新しく出す本の影響で、今後「書く」こととのかかわり方がどのように変化するのか楽しみです。




年末に焼肉屋で母親に「今度、本を出すんだ」と報告しました。

あのとき、専門学校に行くのを止めて大学院への進学を薦め、就活で出版社ばかり受けていたことを心配した母親は、驚くと同時にとても喜んでくれました。
おいしい焼肉をごちそうしたから喜んでいたのか、私の本が出ることを喜んでいたのか、見た目にはよく分かりませんでした。焼肉を喜んでくれたのなら、またごちそうしようと思います。



(SNSでは以下のとおり投稿しています。この記事に直接でもSNSでもコメントなどいただけると嬉しいです)

#note で新しい記事を書きました。 先日、本を出すことを発表させていただきましたが、その外伝のような記事です。 遠回りして夢が叶った、そう受け止めることもできるよねというお話です。

Posted by 島田 正樹 on Friday, January 8, 2021



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