オチない話Vol.3
物件探しを始めてもう1ヶ月が経過しつつある。
(見出し画像は清掃済み物件のシンクである。この機に調べたのだが、排水口の蓋は菊割れゴム、屋外の排水溝の金属カバーはグレーチングと呼ぶらしい。グレーディングは画像加工での色彩処理を指すらしい。)
ふらっと不動産屋に入った。アポ無しなんですけど、と中川家のセリフみたいな事を言いながら入った。はい、はい、はい、はい。やっぱり不動産屋さんは4回連はい挨拶がマニュアル化されている。
自己紹介タイムで少しでもアウトドアで社交的な性格を演出するため、ネットサーフィンが趣味であるのをサーファーと名乗っていいのだろうか、と不動産屋さんから名刺を頂戴しながら考えた。
不動産屋は面白い。勤務経験2ヶ月の老齢新人が最早2年以上住む地元民に擬態しつつある筆者に近所のスーパーの開店時間と閉店時間を教えてくれたりする。
可愛い。
そして、全く違う物件に車で拉致した挙句、あら、持参した鍵が合わない、あはっ!みたいな事を宣う。
あなた、最高。
使わせて頂きました。
そして写真とは全く違うバルコニーが崩れかけた物件を指さしながら、時期が時期なんで、早い者勝ちですよ、などと煽る。
筆者も、あー、そうですよね、どうしようかなーなどとノる。
書きつつ、会話の手の内を明かしていいものかと逡巡する。
いい。
手の内は使い捨てカイロみたいなものだから。発熱効果が失せても脱臭スキルが残る。
それはそれとして。
今日の徘徊について。
女性が犬の散歩をしていた。歩くのがダルくなった犬を抱き抱えようとしていた。あー、歩くの嫌いな犬いるよねー、と思って見ていたら急に人間の子供になった。初めから人間の子供がしゃがんでいたのであった。
スーパーの消毒液を手に噴霧しようとしたら出なかった。もう、スーパーの人はコロナとか飽きてきてるんだな、と思った。興味関心もエタノールと一緒に揮発するのだろうか。
エスカレーターをすぐ降りた所で筆者はスマホを開き買い物リストを確認した。丁度隣でスマホ教室の派出所のようなものが展開されており、お困りの方〜の声のタイミングで驚嘆し振り返ったためスマホ教室のサクラみたいになった。
スーパーの肉コーナーから野菜コーナーまで無意識のうちに呼び込みくんに合わせて歩いてしまい凄く恥ずかしくなった。
余程好きなのだろう、『バナメイバナメイむっき海老〜♫』と歌いながら魚介コーナーを探査している叔父様がいらしてしみじみと趣き深かった。
愛想の良い優しい店員さんに、百円均一でお釣りを貰う時に手を差し出したらトレーに置かれてしまって、そこまで甘えんじゃねえぞ、馬鹿野郎と言われている気がして謝りたくなった。犬のお手に似てるなとも思った。
今日もここのタバコ屋さん誰も居ないなと思ったら、矢先にカウンターの下で探し物をしていたタバコ屋さんと目が合い、自販機の下でコインを探している人を見ているコンポタの気持ちを考えてしまった。
兎も角、本日筆者は百円均一でコレを入手し最強になった。供覧しよう。
筆者は何を隠そう、本日からカップ麺を啜食嚥下する折、瓦斯を使わなくて良くなったのだ。レンチンでお湯が沸かせる。これ程筆者が勇気づけられたことは未だかつて無い。勿論、雪平をガス台に載せるのも有りだ。しかし、今の筆者には自炊ハードルが高すぎる。よって、これである。電気と瓦斯を秤に掛けりゃ瓦斯が重てぇ物理の世界ときたもんでぇ。
(調べたらノルマル流計とか出てきた。解んない。質量換算じゃなくて費用の話してます。義理と人情って質量じゃないじゃないですか。え、違うの、ヘルプ、菅原文太!)
fin.