見出し画像

011.映画とその周辺。広場恐怖症と「哀れなるものたち」

久しぶりに映画館で映画を見た。無職になったら「平日の料金サービスデーに映画を見にいくぞ!」と思っていたのだ。コロナ禍以来で、4年以上ぶり?最後に見たのが何だったのかも忘れた。チケットをネットで取って、低糖質のおやつと飴、美味しい紅茶を持って、万全の体制で出かけた。

最初にアレ?と思ったのは、席を押さえた時はガラガラだったので真ん中の席にしたのに、ほぼ満席だった。コートを脱いで膝に抱えて、割と薄着のハズなのに暖房で少し暑く感じる。場内が暗くなって、まずはコマーシャルでその後、長〜い予告。その予告を見ている間に気分が悪くなった。

うまく言葉にできないけど、何かモヤモヤする、全身だるく感じる、脚がむずむずする、何かイヤだ、、という感じ。そのまま突き詰めるとパニックを起こしてしまいそうなカラダの内側の雰囲気。なので気を紛らわせようと一生懸命、予告の映画のことを考えていた。もうダメかも…という二歩手前くらいでやっと本編が始まった(やれやれ)。

2022年のジャイガ(夏フェス)のシャトルバスでも同様の症状が起きた。補助椅子も全部満席で、周りがガタイの良い男子に取り巻かれて若干汗臭く、身動き取れない中で、「ここから出られない」と思ったら、気分が悪くなりパニックを起こしそうになって、ラジオDJさんの車内放送で気を紛らわせてました。3回くらい危機があって、渋滞の中やっと着いてバスを降りた時は本当にホッとした。帰りは一番前の席に座って帰ってきた。

さらに思い出すと、コロナ禍中の2021年ごろ、美容院で白髪染めの時にも気分が悪くなった。マスクしてるし、染料が耳につかないように耳にラップ巻かれて、シャンプーの時に顔に白い不織布みたいなのを乗せられると、「見ざる、言わざる、聞かざる」状態で、シャンプー台の上で全身が沈み込むような錯覚と違和感を覚えて、その時は美容師さんにギブアップをお知らせして、顔の布とマスクを取ってもらって回復したのだった。

これって閉所恐怖症なんかな、と思って検索してると、どうも「広場恐怖症」と言うみたい。起こりやすい場所に、「バス」「映画館」「美容室」が入ってた。今のところ、気を散らしていれば不愉快なだけで耐えられてるから軽症なのかな。新幹線や地下鉄、市バスなんかは平気。無職の間に治療した方がいいのか…しばらく経過観察とする。


「哀れなるものたち」R18+ /監督:ヨルゴス・ランティモス 2023年

見てきたのは「哀れなるものたち」。先週の「ワイドナショー」で紹介されていて、面白そうだな、と思って。同じように思った人がたくさんいて、なのに小さいスクリーンで1回だけの上映だったから満席になってたのかも(観客の98%が女性だった)。1月下旬から公開されていたから、もう終了寸前なんだと思う。

それで感想なんですが、大人向け悪趣味ファンタジーで、7割良かったけど3割はゲンナリしてしまった。
良かったのは美術と衣装。
セットがとても素敵で(存分にCG加工されているのだろうけど)それでも細部まで凝った、1シーン、1シーンが絵のような美しさ。1930年代の雰囲気を出しているのだとか。オープニングは主人公ベラの部屋の壁にしつらえてある光沢のある白い生地でできたブティ(綿を入れて膨らませた無地のキルト)みたいなのでモノトーンはじまり。縫い糸のステッチで街の風景が表現されている。エンドロールはカラフル。いつもはすぐに席を立ちたい派だけど、大道具小道具や壁紙の絵の細部などが次々紹介されるので最後まで楽しく見た。フィレレースのカーテンもあったんじゃないかな。
ロンドンのゴッドの家も素敵だし、別世界(?)のリスボン、パリなどの街やレストラン、豪華客船やロープウェイ(?)も細部まで工夫されていて良かったですね。

衣装についてインタビューで「ビクトリア時代」と言われていたけど、女性はみんな袖が大きく膨らんでいてロマンチック。私もパフスリーブは大好き。赤毛のアンも喜んでこの映画を見たかな?ベラのたどたどしい歩き方を際立たせるためなのか、ベラの衣装はミニのフレアーパンツやそれにシースルーのオーバースカートを合わせたり、バッスルスタイルの後ろ部分だけ(?)、など脚をよく見せるものも多かった。
男性の衣装、雇い人や水兵さんの衣装もどれも良かった。パリの娼館のマダムの全身刺青も面白かった。

ファッションが楽しい映画でした

全編素敵!と思えなかったのは、一つは手術系の悪趣味過多。面白いと思える度を超えてた様に思う。動物ネタは笑えなかった。ベラの夫の結末は好きではない。あとセックスシーンが多くて長い。あんなに必要?美人のベラとおぞましい娼館の客たちの対比は面白味もあったけど…。この二つから来ることかもだけど、登場人物が皆人間ぽくなくてアニメか漫画みたい。人ってもっと複雑だと思う。どこかに共感ポイントが欲しかったかな。ベラの成長譚と言うより、見世物小屋みたい。

文系女子BBAとしての感想は、全体的には映像の美しさ・面白さで一見の価値はアリ。ストーリー的には物足りなく感じ、映画としての満足度は低かった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?