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016.映画とその周辺。「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」

有休消化に突入し、「さあ、平日に映画観るぞ!」となった時に、一番にコレ観に行こうと思ったんですよね。思ったんですけど、上映時間が206分って…。耐えられるか、ちょっと心配で「哀れなるものたち」を挟み、昨日の水曜の割引デーに行ってきました。

なぜすぐこれが選択肢の一番に上がったかというと、数年前に原作を読んで、とても読み応えがあったから。
ちょうどインディアンの服飾系の文化に興味が向いて、なのに書店やインターネットで殆ど見つからなくて。そんな時にアメリカ先住民やその暮らしが出てくる「蘇えりし者」という本をとても面白く読みまして(映画は観てない…公開されたら観ようと思ってて、忙しくて忘れてしまったよう)。

その後「花殺し月の殺人--インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」の書評を読んで、購入。ミステリ好きなので、FBI創設のきっかけになった事件というのにも興味を持った。ノンフィクションで、こちらも大変興味深く、実際にあったと想像するだに恐るべき内容であった。もっと話題になってもいいのに、タイトルがわかりにくいのではないか、と読後に思ったりもした。

私の子どもの頃は、よくTVで西部劇映画が放送され、リンリン・ランランというインディアンの格好の双子アイドルが人気であったり、お笑いのコントでも西部劇の設定が取り入れられたりして、「インディアン、嘘つかない」や、口を手のひらで叩きながらの発声、人の皮を剥ぐ、など、子どもにも(偏ってはいるけど)アイヌの文化よりもよく浸透していた。
その後、「インディアン」は差別用語で「ネイティブアメリカン」と呼ぶべき、と言う考えが広まってから、正しい(?)新しい発想でその文化を紹介するのではなく、触れると面倒くさいものとして敬遠され、紹介されなくなったのではないかと思う。
そして、この「花殺し月の殺人」が映画化されたというので、…なんか私、レオ様と気が合う、と思いながら行ってきました。


「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 監督:マーティン・スコセッシ 2023年

本を読んだのがコロナ禍前だったので、内容はうろ覚えなのでアレですが、本では捜査側からの視点で書かれており、映画は加害者側から描かれてる。
石油が出て急激にリッチになるオセージ族、群がる白人、儲けてやろうと続々と集まる白人労働者たちの活気、地域の元締めキング(ロバート・デ・ニーロ)、甥のアーネスト(レオ様)、ファミリー、殺人、結婚式、葬式、裁判…。なんだか少しデジャビュ?「ゴッドファーザー」のインディアン版みたい?
オセージ族の人々はアメリカナイズされてしまったので、期待したほどインディアン文化は出てこなかったけれど、アーネストと結婚するモーリー(リリー・グラッドストーン)が美しかった。長方形の毛布?織物?をコートのように纏っているのも素敵だし、ドロンワークの花や蝶の白糸刺繍のネグリジェもよかった。糖尿病を患っていて(シンパシー)、「白人と同じ食事をしていると糖尿病に悪い」と白人ドクターに言われていて、日本人と同じなのね(さらにシンパシー)。三つ編みの男性陣もカッコいい。オセージでは、男女とも同じ髪型ということなのかな?
レオ様は信じられない優柔不断な役で、でもまぁ人ってこれくらい弱いかもな、全てが終わった後にはなんとでも言えるけど、渦中にいたら、どんな選択がベストかなんてわからないしな、なんて思いましたよ。

アメリカの歴史に興味がある人にはおすすめ。どのように先住民から搾取したのかの一端が垣間見える。当時のアメリカ人のインディアンに対する残酷さも。原作本もおすすめです。

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