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20211113-1130 徘徊記

他律労働がつらい。うつくしい風景たちをふりかえろうかな。

1113 京都(2)


退館アナウンスで目が覚める。6時から12時までぶったおれていた。お風呂入れなかったのもったいなかったな。二日酔いの不快さはないけどふつうにまだふわふわしてる。


ホテルを出て、快晴の伏見稲荷門前は、お昼時でごった返している。行くあてがないのだけど、ちょうど京大・百万遍方面行のバスをみかけたから、乗り込んでみる。

京大病院前でおりてみて吉田神社に行く。伏見稲荷や祇園の大混雑がうそのように閑散としている。

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コートを羽織ってちょうどいい冷気がある。ぼーーっと頭をひやしつつ丹塗を眺めて過ごす。社務所横でご近所さんの合気道教室が始まっている。裏手の山に登り、ちょっと息をついて、帰りました。杉がきれいな神社だ。

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この界隈は静かでいい。

吉田南キャンパスの東の塀に沿って北上する。キャンパスにもぐる。北門から出てまだぼうっと歩く。

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これは構内にいたアリス(死神坊っちゃんと黒メイド)さん。

ケニアとかいく。グレートコーヒーで豆を買う。まだとろとろ歩く。

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狸の置物が無数に転がる空き地があって背筋が冷えたり、狐面をつけた学生がいて二度見したりする。

元田中だったり、六地蔵だったり、高校の頃に片思いのように憧れていた地名たちの中を、大学生顔で歩き回っていた。でももう学生では無いんで、バレてしまったらどうしよう、結局、喫茶徘徊堂、"京大生第二の図書館です"と掲げたあの憧れのカフェに入る勇気は出ませんでした。

ぼちぼち東海道線に乗って鈍行で帰る。途中で彦根に寄ったり岐阜に寄ったりしてまたふらふら歩くなどした。

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名古屋と京都の距離感はいいな。近いわけではないけど、いざとなれば行けてしまうんだという距離感。今度大阪に行く予定もあるのだけど、またゆっくり鈍行で行ってみようかな。

帰ってからこの本をみつけた。ああ、ガイドブックに持っていけばよかった…。でもケニアだったり徘徊堂だったり北部キャンパスだったり、結局この内容をなぞって歩いていたようです。

1120 神楽酒造

朝。名古屋県立美術館で曾我蕭白展に駆け込んだ。会期終了間際だったけど、まあ午前中なのでゆっくり見れてよいですね。


とのこと。好きな絵に再会できると…驚きつつ嬉しい!

豪快な筆使いが魅力だけど、人物や動物、植物は、隔てなく丁寧な慈しむような筆で描くのですね。絵の一幅に緩急がある。構図とかの良さを言語化できないぶん、まあ呆然と眺め続けて、昼です。

見終えて、さて、お酒を買いに行こう!と思い立った。八田駅まで地下鉄、乗り換えてJR、四日市駅でたまたまみかけたレンタサイクルを借りてしまう。

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貸し出しのおじちゃんが若松区出身とのことでしばし福岡を懐かしむなどした。奇遇ですね。

閑散としたJR四日市から、巨大な近鉄四日市を抜け、あすなろう鉄道に沿って神楽酒造を目指す。中心部は特に道が広くて自転車でかっとばせるのが最高ですね。ただあすなろう鉄道にそって川を上るあたり、かなり道幅が狭い上に交通量が多いので注意。

旧室山駅界隈につくと一気に雰囲気がかわる。狭い瓦屋根がぐねぐねの道に密集する、これはかなり風格がある。

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神楽酒造の売り場はたいへんゆったりしています。囲炉裏でお茶を沸かしながら、おばあちゃんがテレビを見ている脇で、日本酒それぞれのこだわりをいろいろ教わる。純米でも熱燗にするとたまらないよ、とか。ご主人がお酒を持ってくる待ち時間、手持ち無沙汰で居合わせた他のお客さんとぽつぽつ話をした。お酒についての知識が豊富な人って良いですね。

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地ビールもあり、試飲勧められ、まあチャリなのですみませんと断って、自宅用に2本買い、うきうきでチャリを漕いで帰り…………瓶を割りました。

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つらかった。八王子線西日野駅からでも歩いてこれるので、無理にチャリこがないほうがいいかもね。

神楽酒造の近くには「穂波」の酒造もあるけど、土日休みなんですよね。とりあえずまたの機会にする。

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さておき。木曽三川を越えて三重県に入るたび、すこしくすんだ、すこし温い空気が満ちているように感じるのですね。そういえば午前に観た曾我蕭白。彼も伊勢に滞在し、豪商向けの襖絵とか描きつつ、お酒を飲みつつ、のんびりやっていたとのこと。水墨のようなとは思わないけども、なんというか肌に馴染む、いい景色のある土地だなと思います。

愛知

行楽日和なのでピクニックに行った。リニモに乗って愛・地球博記念公園へ。

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リニモの萌キャラ

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車窓がとってもいい。きりっと秋晴れで良かったです。

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2005年の未来的パビリオン群はいい感じにこなれて、長久手の丘陵によく馴染んでいる。また出店もあり、つい高めの豆を買ってしまった。熱心に説明してくれたお礼込みと思えば安いものです。実際おいしい。

愛・地球博記念館に来た。

愛・地球博はじぶんの記憶にある最初の博覧会で、まあ福岡からははるか遠隔の地だったわけだけど、この博覧会の名前とそれに紐づく「愛知」という地名、華やかなパビリオン、未来の技術、そして森林や海洋への真剣な眼差しというものはつよく印象づいているのです。自分の身の回りから一気にいろんな広めの問題に目を向けた初めてのタイミングだった気がする(いまからぼんやり思い出せば)。

21世紀めでたいね、でもさすがにそろそろ反省点が多いよね、という態度をやれたのがえらい。そして2021年、いまこの静まり返った展示館を歩くと、まああらためて反省がある。

キッコロとモリゾーを買った。ふりまわすとぷいぷい鳴いてハチャメチャにかわいい。

リニモの一日乗り放題券だったので、ついでに愛知県陶磁美術館にも行きました。一駅だけ乗って、案内板にしたがって丘をあるき続ける。公園でも思ったけど、風の吹き渡る音を久しぶりに聞いた。きんと冷えてる。

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ここから500mくらい歩く。道道に陶器パネルが置いてある。晩秋のいちょうとかもみじとかが降りかかるのがいい。

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これも陶器。
展示室では古瀬戸や常滑焼に混じってセラミクス部品やICも並んでいた。あと瓦があったのも面白い、寒冷地だと水分が凍結して割れるので、釉薬をかけたつやのある瓦が発明された、とか。

ここに来るまで知らなかったのだけど、考えれば当たり前、陶磁器をつくるには適した水分適した配合の粘土が産出する稀な土地が必要なのですね。原料の密度も大きいから、産出したその土地で焼き上げて製品にする、だから土地の名前がそれぞれ冠される、なるほど〜これレペゼンってことですね(そういうこと?)

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この解説文の密度です。それぞれのかわらけに対してこれだけしっかりオタク説明(失敬)がついている。しかも通常の県立美術館級の建物がいくつか連なって、それぞれにこれだけのコレクションが詰まっている。
海外も含めて、先史時代の出土品から現代の最新のこころみまで広く深く集まっている、これは陶磁器博士になれますね。

ますます冷える。ちょっと最近見ないくらい透明さのある夕陽のなか退館しました。

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こういう冷える風のそよぎを、前いつ感じたかな、と思い出すとき、日記が役に立つ。

同じような気候に同じような景色に遭遇して同じような感慨を抱いていたらしいね。悪い気はしません

1130 飯田線

うっかり有給を取ってしまった。一日潰さねばならない。

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特急に乗り塩尻。誰も乗っていないかも、と思ったけど、これ名古屋多治見の通勤需要がかなりあるんだな。

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名古屋ではもう朝の通勤ラッシュが始まっているのに、岐阜県内では山脈に隔てられてまだまだ朝にならず、木曽福島あたりでようやく山の間から日光が指すのだな、などの発見。
紅葉はおおむね終わっていて、枯れ落ちる前の茶色なのだけど、この地域特産の木曽桧の緑色との対比がいい感じ。

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振り子特急に揺られて山間を飛ばす。

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塩尻で乗り換え、岡谷まで特急で急ぐ。さて念願の飯田線です。

学生の頃、高校の知り合いに一度乗りつぶしに行かないかとさそわれていたのだけど、丁度都合が悪く断ってしまっていて、さて車窓大好きを標榜している割に未だに乗ったことのない路線になっていた。

最長の電車旅、6時間の行程以下の通り。

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駅の独自ブランドのファン

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飯田はいまは先端産業の集積が進んでいるとは知っていた。しかしこんな遠いところによく産業を作るものだなあ。

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運動会をぼーっと眺める

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山脈に入り、のどかな盆地の空気が一変する。

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あとから知ったのですが、このあたりの絶えて人家のない「秘境駅」たち。もとあった集落の多くはダムの底に眠っているとのことでした。

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単線すれ違いの待ち時間、わたしも車掌さん運転手さんも、貴重な野外空気を吸いに出る。凝りをほぐす。

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豊橋壺屋のいなり寿司、次の日職場で昼ごはんに成しました。醤油がしっかり染みていて美味しい。小ぶりでころっと舌に乗るのも良い。

最後に鷲津でハンバーグさわやかに行き、ほくほくになり、終了。

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新井湖西店は愛知県境に近く、もしかしたら自分みたいな名古屋方面からの客でごった返しているのではないかな、と心配したものの、待ち時間ゼロで入れてしまいました。17時台にハンバーグはそう食べないですもんね。狙い目だなあ。

今回の旅について。電池がなく、たまに電源をいれて写真を撮る以外、ずっと本を読んでいました。こうやってまとまった時間を読書に割けるのも列車旅の良さで、しかし厚い本でまだ読み終えられてないのですが、また感想を書くはずです。

身体論をちょうど読み終わって、さてここから聖性だとか祭りだとかにつながる予感がするのだけどうまくわからない。参考書はないものか、とぼやいていたところ、ひとに勧められた本です。かなりわたしの問題意識の残りピースとしてぱちぱちはまり、本当に嬉しがって読んでおります。読書のDJまで上手いのか。あのフォロワー…。



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