チョコチョコ鉄道デス

まもなく22番線に月一岳行きが到着いたします。
白線の内側までお待ちください。

僕はホームで電車を待っている。
なんだかなぁ
人がたくさんいる。
鉄ヲタか??
そんなことを思いながら
電車の中に入っていく。

ドアが閉まります。ご注意ください。

ゆっくり電車が動き出した。
えっ、鉄ヲタのみなさんこっちをみてる。
暖かい表情で、頷いている人もいる。
えっ、なに? 僕はびっくりした。

お待たせしました。
本日は「㉒姫号チョコチョコ鉄道」をご利用
いただきまして誠にありがとうございます。
この電車は月一岳行きワンマン電車です。
次はキブン～キブン～ お出口は左側です。
通常線はお乗り換えです。

なんなんだよ。いつも乗ってる電車じゃない
のかよぉ。くそぉ昨日から楽しみにしてた
パン屋にたどり着かないのかよぉ。

コツコツコツコツ
······▸なにこの長い爪で携帯打ってる音。

ジャラジャラジャラ
······▸なにこの携帯ストラップが数珠玉な感じ

コツコツ、
㉒姫号······▸
はぁ～、あっ、あのさ、次の駅じゃなくて
次の次の駅寄ってくんない?

僕······▸はぁ?何呟いてんの?   怒りの声に出た。

すると一瞬で車内の空気が重くなった。
乗車している人が見て見ぬふりをしている。
こわっ。

コツコツ、コツコツ
㉒姫号······▸
あっ、わかったぁ。もういいよ。

なんなんだよ、このサメサメ反応。空気重いし、
㉒姫号こっち見ないで真っ直ぐ走ってるし。
こっちがいても立ってもいられないじゃん！

僕······▸
じゃぁ、行ってもらっていいです。(強め)

㉒姫号······▸
いいっていいって ×3 (流す感じで)

僕······▸行けよ(弱め)

㉒姫号······▸
そんな言い方されて行けるわけないだろ。(キツめ)

こわっ。
その後僕はこのなんとも言えんないどっしりした
ふてぶてしい空気に気持ちを持ってかれ、
㉒姫号にその駅に行ってくれ
僕も行くとまで告げたが
・・・・・
聞こえるのは コツコツとジャラジャラだけ。
ときどき、ため息、はぁ～

わぁ～リアル無視?
こわっ。

㉒姫号······▸ごめん、今度から前もって言うわ。

うえからっ。

ご乗車ありがとうございます。
まもなくキブン、キブンに止まります。
お出口は左側です。
"通常線" はお乗換えです。
キブンを出ますと次はカンジョウに止まります。

こわすぎるわ、はやく電車から出たい。