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人を見た目で判断することは悪なのか

「人を見た目で判断してはいけないよ」

おそらく人生でこのような忠告を受けたことがない人は皆無だろう。
対象となる人および物の外見ではなく、内面に目を向けるべきという論調に流れていくのが常である。
しかし果たして、いかなる場合もそのような姿勢を貫くことが善なのだろうか。本当に人を見た目で判断してはいけないのだろうか。
この文脈を取っている以上、私の結論は「NO」なのだが、そのように考えている理由を述べていきたい。

①メラビアンの法則
メラビアンの法則とは、言語と非言語が不一致のコミュニケーションにおいて「言語情報:聴覚情報:視覚情報=7:38:55」の割合で影響を与える、というものである。
竹中直人の「笑いながら怒る人」が好例だろう。「いい加減にしろ」と言いながら顔が笑っているのであれば、受け手は表情を優先して判断するだろう。
コミュニケーションにおける視覚情報の優位性を無視できない以上、見た目に由来するバイアスを排除するのは不可能に近いと思う。

②相手の内面および言語に関する情報を有していない場合
これは①の延長線上のケースだ。
前述の「笑いながら怒る人」であれば、わずかながら言語情報から怒りを感知する余地が残されている。
しかし相手の内面および言語に関する情報を有していない場合、頼るものが聴覚と視覚しか残されていない。
刃物を持った男が遠くから走ってくるのに「見た目で判断してはいけない」と石の如く鎮座するマヌケなど存在しないのだ。そんなヤツは刺されて終いである。
安全に対する欲求は人間の最も低次的な欲求であり、リスク回避と視覚情報が不可分である以上、見た目で判断せざるを得ないのだ。

③そもそも論
そりゃそうかという話だが、見た目がしっかりしている人は、往々にして内面もしっかりしている。
「見た目に気を遣うことで優位に立てる」と心得ているか否かで、知識面でも差が生じている。
ワックスできっちり髪を塗り固めている人とボサボサ頭の無精髭、どちらをビジネスパートナーに選びたいだろうか。
「一目惚れしちゃった!だってフケがいっぱい付いてるんだもん!」なんて話は聞いたことがない。つまりはそういうことだ。

後半は随分とおふざけが過ぎてしまった。
繰り返しとなるが、「人を見た目で判断することは悪なのか」という問いに対する私の結論は「NO」である。
より厳密に言うならば「見た目で判断すべき(または判断せざるを得ない)ケースが多分にあるので、悪と断定するのはいささか短絡的」といったところか。
そういう訳で、私は今後も積極的に人を見た目で判断していく所存だ。
見た目で判断するだけでは立ち行かなくなりそうな時にのみ、内面を重視する等の対策を取れば十分なのではないか。個人的にはそのように思っている。

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