リリカルシュピーゲル:シーンのみ

下書き
(第1話 "Red lancer boy")


『管理局は怠らない!管理局はあきらめない!管理局は見逃さない!』
誰かが誤ってスピーカーのスイッチを入れたらしい。かつてフェイト、なのは、はやての3人が声を吹き込んだ管理局の広報用ボイスデータが大音量で通りに響いた。

『管理局は容赦しない!管理局は怒りを宥めない!管理局は見逃さない!管理局は平和を耕す使命を忘れない!なぜなら管理局は決して、すべての世界を愛することを辞めないからだ!』
思わずニヤリとするエリオ。管理局に所属することで得られる物—「自分たちが世界を護る」という強い気分=意志。

『故に管理局は敵への攻撃(Strike)を躊躇わない!故に管理局は稲妻のごとく相手に隙を与えない!故に、管理局の前に敵は無い‼』

(第2話

「さて、何が訊きたい?」

「1年前、俺の妹の目を撃ったのは誰だ?」

「お前自身だ.…..という答えは望んでいないようだが?何か根拠があるのか?」

「俺は、命令出てないのにも関わらず引き金に手をかける未熟者でもなければ、自分の妹の目を撃つような間抜けでもねぇ」


「ふん、ワシが何故、医師狙撃事件を起こしたかだと?それはなぁ、ワシにはもうライフルしか残ってなかったからだ。

******

ターン、ターン、という音が、雷鳴のように青空に響く。

狙撃合戦。

自分がヘリの隣で馬鹿面を晒している間も、命がけの仕事に取り組んでいる者たちがいる。

でも、だからといってオレは……

『シグナム副長‼︎』

エリオの悲憤に満ちた声。
『シグナム副長が撃たれた‼️』
青空という名の虚無の彼方で響くライフルの雷鳴がいきなり稲妻と化してヴァイスを直撃したかのように、今度こそ本当に彼は硬直した。

 まるで脊髄が急に凍りついて、胸から呼吸を奪い、心臓から鼓動を消し、体から熱を吸い取るようだった。

 ああ、マジかよ...…と心のどこかが声を上げた。

またあの時と同じだ。結局俺はライフルによってもたらされるがままなのか?


『ヴァイス!』

 ビクン!と軽い電気ショックを受けたように全身が反応した。
女の声だった。確かにそうだった。唐突に念話でダイレクトに自分へと繋がったあの人の声。あの人が苦痛に耐え、気力を振り絞って、ヴァイスのことを呼んでいた。
『奴をッ!キルゾーンにッ!叩き込めッ‼︎シャルフシェッツェ(狙撃手)‼︎』

カチッ/バシュッ/ズーン

 一連の衝撃/一連の作業が、凍りついて眠ったままになってしまいそうだった彼の心に/心臓に/身体に、驚くほど激しい熱をもたらした。

 胸倉に手を突っ込み相棒(ストームレイダー)を取り出す。

「行くぞ!ストームレーダー」

”All Right!”

待ってました、とばかりに相棒も答えてくれた。

「セットアップ!」/『"Set Up"!』

たちまち置換される飛行服とフライトジャケット。→緑を基調とした上衣に

(オイレン3巻1章)


「本局の無能共!もしヴィヴィオを殺してみろ‼️そん時はこの私がテメーらをぶち殺してやるからな!それが嫌ならさっさと新しい手足を転送しやがれ‼︎」

聞いた事がない電子音。自分のさっきの発言を殺害予告と思った本局の誰かが転送を中止したのかと一瞬思った。しかし、違ったらしい。

『状況をデフコン5と判断。よって現時点における奨励されうる最大武装の使用を許可、試作AEC武装AECX7E3。コードネーム《バリア・ブレーカー》の転送を実行します』
まるで聖王陛下の祝福。
四肢の付け根に現れるエメラルドに輝くベルカ式魔法陣。
 たちまち置換される鋼鉄の四肢。

設定など

 登場人物

ヴァイスとシグナム 

 常識的に考えればヴァイスが陽炎(ロッター)、シグナムがミハエル中隊長の役柄だが、交互に入れ替わる。

シグナム
 ライトニング副長。
 ヴァイスが新人だったころから面識がある。
 本作における第二話『トレッフェン(狙撃)』の一件以降、ヴァイスを異性として意識することになる。
 元々の魔力量や人間離れした身体能力(人造生命体)であることもさることながら、数百年という長きにわたるベルカ騎士としての実戦経験もあり、兵士としても一級品。
 歴戦の戦士であるが、その一方で恋愛には疎い。性的な欲求の対象にされたことは数え切れないほどあるが、純粋な異性からの好意を受けたことが無いため、ヴァイス相手に取り乱すことも多い。
 ヴァイスを「シャルフシェッツェ(ベルカ語で『スナイパー』のこと)」と呼び、謙遜する彼に対してその実力を高く評価している。これはかつての戦場で散々敵のスナイパーに辛酸をなめさせられたことによる。

 独自設定として、実は虫が苦手だったりする。

ヴァイス・グランセニック
 飄々とした性格で、ライトニング・スターズの面々の前では「余裕のある年長者」という態度を崩さないが実はまだまだ20代の若者らしく純粋で直情的、また、女性相手には初心な一面もある。

 狙撃手としての能力は原作以上に強調されており、ストームレイダーを起動すれば日頃の飄々とした態度がまるで嘘のように一変し必殺必中の一撃を叩きこむA級のスナイパーとしての側面を見せ、また歴戦の戦士としての貫禄すら見せる。

 過去もだいぶ改変されており、狙撃手や武装隊員の資格を返上する羽目になった背景も自分の意志ではなく周囲の圧力からそうさせられたもので、狙撃手としての自信も失ってはいない。
 ヴァイスが原作で武装隊を去るきっかけとなった事件は立てこもり事件で人質になっていた妹の目を誤射してしまい、そのまま失明させてしまったことによる地震の喪失と罪悪感からだが、本作ではその事件の真相や詳細や背景が異なっている。

 妹を撃ったのは彼ではなく、あの時現場にいた別の誰かだったことになっている。しかし、あの時、射撃位置についていて撃つことができたのは「彼だけだった」という分析結果が出され撃ったのは彼ということになった。

 


 用語

クラナガン機動大隊(C.R.B)
 地上本部に設立された対テロ部隊。
 任務の重要性・政治性の高さから指揮官は3佐、2佐ではなく准将が任じられている。
 ガジェットドローンの動力炉と戦闘機人の神経系統を利用した全高3mの有人戦闘ロボット「ガジェットフレーム」を装備する。
 武装の多くはCRW製でこれを運用するためにガジェットフレームが導入された。

自然人類主義
 簡単に言えば、「人間」とは人の体から「自然」に生まれた物だけを指すべきであり培養技術などで人為的に生み出された者を『人間』とみなすべきではないという考え。
 本作のテーマとなる生誕主差別の重要な要素。
 人為的に生み出されたものを人間とみなすべきではないという考えや背景も様々で宗教的な理由や説明単なる出来ない嫌悪感。従来までは少数派だったがJS事件以降から勢力を増した「人造人間がいずれ反乱を起こす」という」一種の黄禍論的脅威論による。
 主張する内容も様々で穏健派はあくまでも人造人間の製造の厳罰化や人造人間の権利を制限すべきというもので(これもかなり問題がある)、過激派は人造人間を強制収容所に入れろ、もしくは皆殺しにしろというものが多い。

 例

「奴らが俺たちによく似てるからって騙されるな!スカリエッティの例を思い出せ!あいつらは無害なふりをして俺たちを支配しようと密かに反乱の準備を進めているんだ!!」
「油断するな!誰が世界の支配者になるべきか!最終戦争の時は近い!!」


  

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