modified mRNAとは❓
おそらく、modified mRNAについてほとんどのひとは適切な情報を得られていないのではないでしょうか。先日、以下の記事(mRNAワクチンは意図しないタンパク質を作るかもしれない)を投稿したとき、まだ十分な情報を確認できていなかったと反省していたのですが、ちょっとネットを検索しても、簡潔にまとまった説明はほぼみつかりませんでした。Wikipediaがありますが、読みずらい印象です。
そこで、Natureなどの学術論文に記載されている内容を追ってみるとその記述からわかることがあるように思いますので、それらを参照してみます。
modified mRNAは、mmRNA、あるいは modRNAなどと略されることがあり、天然のmRNAとは区別されます。そのため、人工的に合成されたmodmRNAが使用されている場合には、上記のように明記されている必要がありますが、現状では混同されているように感じます。
日本語では”修飾(modified )mRNA”のような訳が多いようですが、”合成mRNA”などと書く方が分かりやすいと思います。
繰り返しになりますが、modified mRNAは天然のmRNAとは別の、合成された人工物です。
modified mRNAの開発、研究を探してみると、2010年に公開された論文に以下があります。
合成改変mRNAを用いたヒト細胞の多能性幹細胞への高効率リプログラミングと分化誘導 2010 Nov 5
ここでは、「生得的な抗ウイルス反応を克服するように改変された合成mRNAの投与に基づく、細胞運命(寿命)を再プログラムするための」と当時の研究、開発目的が述べられています。
ここでは自然の抗ウィルス反応を乗り越えて、すぐに壊れることなく、mod mRNAを意図したところへ到達させる、ということが研究の目標とされていたようです。
この論文には同じタイトルで別の公開バージョンがあり、そこにはPCRを利用して多くのサンプルを製造(コピー)したと書かれています。(以下)
合成改変mRNAを用いたヒト細胞の多能性幹細胞への高効率リプログラミングと分化誘導 Published online 2010 Sep 30
推測ですがおそらく、modmRNAの開発、研究の過程でPCRが多様されるうちに、PCR本来のコピー、という用途から飛躍した、「検査」という発想が生じたのではないでしょうか。
その後2011年には以下の論文が公開されます。
化学合成したmRNAをマウスに投与した後の治療用タンパク質の発現 Published: 09 January 2011
この論文には、化学合成mRNA(chemically modified mRNA)という記述があり、化学的な処理が施された合成物であることがうかがえます。
その後のmodmRNA研究、開発の経緯は別途、記事をあらためて公開したいと思います。
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