詩「冬と警告」
冬の光の青いベールは
人生に対して眠たげなぼくを柔く包む
名も知らぬ人たちの愛の渦は
ぼくの視力を奪っていった
「おまえは冬のキリギリス」
そんな警告灯が明日の安穏を切り裂く
臓器をひとつひとつ失うように
銀杏は無風のこの世で散っていく
ぼくが泣きそうなくらいに白い
木蓮の花がゆっくりと開くように
今日もどこかで誰かが発狂する
それは世界があまりにも美しすぎるから
「日暮も近いから、手を繋いで帰ろっか」って
そういう一言だって啓示のように降りてくる
寝て起きたら別の日だからぼくまだ生きている
どうか死んだ眼をぼくに向けないで
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