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詩「考えごと」

いつから絶望を背負っていたんだろう
いつから絶望を抱えていたんだろう
我に帰り 振り向けば 
生きた証というものは砂浜の足跡のよう
やがて消えてしまう足跡だ

絶望は手首を走る青い血脈のよう
身体に大昔から備わっている
我々がまだ透明な鱗をまとっていた頃から
絶望の存在に気がついたとき
もう既にそれは完成形であり 
硬く 冷たく 重い

自らの心にぽっかりと空いた真っ黒い穴は
特別な人に見せたくなる
絶望は理解し合えないことを知りつつ
そういう行為が関係性を強化し
絆を深めると錯覚する
絶望を見せつけ合って
我々はただ傷つけ合う
そうしてお互いの絶望の片棒を担ぐ
喉に血の味がのぼってくるだろう

色んな人が絶望を覗かせてくれた
人々の「特別」になる嬉しさ
しかし 案の定誰の絶望も理解することができなかった
寄り添うことも、思い遣ることも
心にいっぱいかなしみを溜めて
絶望を訴えかける人と
まず理解して良いのかと逡巡し
他人の告白を尊重できない私
地獄絵図の完成だ

生が絶望の始原であるなら
死に向かうのが道理だろう
決して暗い意味はない
死ぬまで絶望と直面し
絶望を認識した途端、ヨーイドン
一生ハードル走やって
報われないのを知るのが人生だろう

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