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短歌五首 ⑧6/4,12,29

6/4

雨降りの障子の先に乾きしバイクの音。ツレは寂しさ
(優しい雨音が障子越しに聞こえる。湿度ある空間を切り裂くバイクの乾いた音。)

日付変更線またぐ濡れた路面と銀のあぶくはじける街
(深夜0時。たったいま、日付変更線をまたいだ。雨に濡れた路面。)

雨脚が縦なら水たまり引っ掻くノイズは横わたし揺れてる
(雨は縦で表現されることが多い。縦と横の空間で私の心は揺れるばかり。)

6/12

桜桃の数だけ思い出す太宰の一節を引用せし君
(旬のさくらんぼを何個も食べた。その度に、太宰の一節を引用して私を励ましたあなたを思い出す。)

6/29

もうずっと笑ってほしい私も笑いますから約束しましょう
(交わすことのない大事な約束。ほとんど妄想だが、あなたが笑ったのは真実で、私も笑いますという気持ちも真実だ。)

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