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Happiness Is Here! vs千葉 1-0

 堅実な戦いを続けながらも、最終盤にポテンシャルを見せつけられたヴェルディ戦。山本理仁を筆頭に、将来有望な選手が多く今後も注目したい好チームだった。試合自体は悲観する内容ではなかったが、それでもピッチに立つ選手たちから危機感を示す発信があったのは頼もしくも思うとともに、このチームにはまだ伸びしろが多くある証左。あの敗戦から何を学ぶかに問われている。

 上位に食い込むためにも連敗するわけにはいかず、白星先行を保ちたい。久々の勝利とゴールを渇望している中で挑む相手は千葉。J2の経営規模の平均を押し上げているクラブ。お得意様だったはずが、昨シーズンはまさかのシーズンダブル。3バック相手に滅法弱く、どうしても人を捕まえられなかった。
 J2生活13年目を迎える今シーズンも、流石の人件費によってなかなかな陣容となっている。開幕戦は昇格組の岩手に敗戦するも、その後は3戦負けなし。COVID-19アクシデントによって複数の離脱者が出ているが、西久保や佐々木、矢口、佐久間などの若手がメンバーに絡んできている。
 昨シーズン同様3バックかつボールサイドCBが高い位置を取ってくる特徴も継続。前線の櫻川にボールを収めてから攻撃が始まるのも分かりやすい形だが、見木だったりブワニカがその脇で虎視眈々とチャンスを窺っている。

 千葉戦はいつも事態が好転する足掛かり。何かシーズンダブルの記憶ばっかり試合前から思い出している方が多かったけど、通算対戦成績をもう1回確認していただきたい。ここをモノにして上へと駆け上がる。

メンバー

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 ウチは前節から3枚変更。ミツ→山中、山根→天笠、深堀→平松。ここまでの生命線だった左サイドをセットで替えてきたのは意外だった。山中が紅白戦でLSBやってるって情報は耳にしていたが、天笠をLSH、山中をLSBで起用なのも興味深い。平松の起用は、セットプレーの高さ対策も加味してかと。奥村と久保田が今シーズン初のメンバー入り。城和は妹がジェフレディースに在籍しているが、柏の下部組織で育っただけに負けられない相手。兄弟関係でいえば、小林亮コーチと千葉の小林慶行コーチも兄弟。

 対する千葉は勝利した金沢戦からノーチェンジ。ベンチに熊谷と小林が帰ってきた。一番やられそうなサウダーニャはベンチからも外れる。勝てばJ2通算200勝の大記録達成となる。

前半

 ボールを保持する時間が長くなる珍しい立ち上がり。予想外のスタメンだったことで千葉側が様子見している時間でもあったが、ウチは着実に前進する。山中と天笠も落ち着いて試合に入れていて、テンポよくボールが回る。

 7分、いきなり試合を動かす。敵陣浅い位置からのFKのロストから前進されるも怒涛のネガトラで回収、ここが起点だった。左サイドにボールが渡り、山中・風間・岩上・畑尾・城和で回す。千葉のプレスポイントが定まっていなかったので、岩上も風間も面白いようにブワニカと櫻川の間でボールを受けることができた。一度城和から右に展開すると思わせて千葉が左サイド(ウチにとっての右サイド)にスライドしたタイミングで、畑尾が大きく開いていた山中にパス。前方のスペースを見つけて高めの位置を取った山中は、すぐにKJへと斜めのパス。ここに小島秀仁が深追いしてきたので、後方の風間がフリーに(①)。風間は岩上とのパス交換でテンポを整えつつ、ここにも小島が喰い付いてきたので、その脇でフリーになったKJへ。KJはライン際でブワニカを軽く剥がして風間にリターン。小島が再度寄せてきたが、それによってスペースが空いた。岩上を経由してKJがスペースを使う。ここでKJは大外で幅を取った天笠を使って西久保を外へと釣り出す(②)。ここまでで千葉の重心が下がり、風間がフリー。天笠は風間へ落とすと、西久保の視界に入るようなコースで後ろにランニング。それと入れ替わるように山中が一気に駆け上がって西久保を振り切る。風間から極上のパスが供給されると、胸トラップからバウンドさせずにそのまま左足でクロス(③)。ニアに速いボールに合わせたのは平松。ここまで出場時間が短くチャンスもモノにできず苦しんでいた平松だったが、FWらしい動き出しと見事なシュートによってゴールネットを揺らす。ちょっと鳥肌が立つほどのビューティフルゴール。最初に稔也と風間がサンドして奪ってから丁度1分ボールを動かし続け、実に24本のパスを繋いでゴールまで結び付けた。

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 ①の局面。畑尾から山中へのパスに対してブワニカと小島の2枚が反応した。小島はその後KJにもチェックに行く。ここまでの後手後手の対応によって、風間の前には広くスペースが空いた。

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 ②の場面では、小島とブワニカの2枚がKJへのコースを切っているが、岩上がフリーに。結局は小島の後ろのスペースをKJが支配することとなる。

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 ③の仕上げ。風間にボールが入る局面では鈴木・小島・チャンが縦に並ぶという人員過多に。山中のクロスも素晴らしかったが、新井一耀の背後から入り込む平松の動きもGood。
 このクロス上げる際のポジショニングに既視感があると思ったら、仙台戦の前半終了間際のシーンだった。あの時は遅れて入ってきた小島がシュートまで持っていったが、今回はニアで仕留めた。稔也も福満の目線を奪っているので、画面には映っていないが大外で小島がフリーになっているはず。日頃のトレーニングで取り組んでいるであろう形が試合で完成した。

 これ以上ないほどの試合の入りをしたウチはさらに畳みかける。12分、KJが下がって櫻川・ブワニカ・小島のトライアングルの中心でボールを引き出し、風間に落とす。ブワニカが寄せてきたので、外の山中へ。前にスペースを得た山中はファーストタッチで前に押し出すと、そこからアーリークロス。DFラインの背後に落ちるボールに平松が反応するが、少しタイミングがズレて枠には飛ばず。あれだけノープレッシャーならば、山中にとってはさほど難しいキックではなかったかもしれない。思わずボールを受けた平松が笑ってしまうほどの良いクロス。山中のポテンシャル、恐るべし。

 千葉の最初のチャンスは15分。西久保が深い位置まで侵入したところを天笠がスライディングで止める。その際に天笠の後ろ脚が西久保に引っ掛かってしまいFKを与える。ボール付近には見木と西久保が立つ。見木が先に動くフェイクを入れてウチのラインが下がったタイミングで西久保がインスイングのボールを供給。ボールは直接ゴールに向かっていたが、櫛引が余裕を持ってパンチング。

 19分から20分にかけて千葉がゴールに迫る。立て続けに西久保がロングスローを放る。ターゲットの櫻川はニアポストに張り付いていて、ボールが入るタイミングでゴールエリアの角に走り込んでフリックを狙っていた。ただ、いまいち狙いが定まっておらず、2本目のロングスローは櫻川とブワニカが被ってしまい、チャンスまでは至らず(どこからどう見てもラストタッチがウチだったことには目を逸らす)。

 21分にも千葉のチャンス。櫛引からのゴールキックが中に入ってしまい鈴木が回収。鈴木→佐々木へと渡ると、福満の前へフィードを蹴り込む。ゴールキックの際にウチが左サイドにスライドしていたため、小島雅也の横にスペースが空いていた。福満は深い位置からワンタッチでクロスを供給すると、山中の上からブワニカが強引にヘディング。結構際どい場所に飛んでいたものの、櫛引が上手くバウンドを合わせてパンチング。身体が伸びきっていたためブワニカのシュートに威力はなかったが、櫻川の足元に飛んでいたので、櫛引の反応に助けられた。

 千葉とすると櫻川に当てることを第一目標としていたが、畑尾がほぼ競り勝っていたので起点ができない。櫻川が競り勝ったとしても、そこから先の手がなく詰まっていた。福満が高い位置を取るシーンは唯一怖さを感じたが、そこからのクロスにもウチは落ち着いて対応した。

 27分、ウチのビルドアップのシーン。畑尾・風間・山中・KJで小気味良くボールを回し、千葉の重心を下げる。千葉プレス隊の3人が横一列に並んで無効化されているのを尻目に畑尾から山中へ。山中はドリブルで持ち上がり敵陣に侵入。小島秀仁と櫻川が喰い付いてきたが、風間が2人の間にポジショニングしてボールを受ける。山中と風間でボールが2往復し、小島が完全に釣り出されKJがフリーになると、風間からボールから渡る。KJは4人の目線を引き付けながらも誰からもアタックされない絶妙なポジショニングを見せながら、鈴木と西久保の間を割る鋭いパス。天笠が追い付くがぎりきりのパススピードだったが、西久保に辛うじて対応されてしまう。フィニッシュまでは至らずも、崩し方はとてもきれい。

 38分、ウチのCK。岩上からのボールはクリアされるが、セカンドボールの処理を誤ったところをPAの角から右足でコントロールショット。GKの頭上を射抜きにかかったが、ここは掻き出されてしまう。

 45分のシュートシーンも左サイドのCKから。ニアへの速いボールは跳ね返されるも、こぼれ球に稔也の足元に飛んでくる。GKが飛び出していたのでシュートコースはあったものの、バウンドが合わず宇宙開発。追加点とはいかず。

 前半終了間際に千葉のFKから際どいボールが飛んでくるも、櫛引は落ち着いて見送る。ほぼ千葉に何もさせず、理想的な内容でリードを保って折り返す。

後半

 後半開始から千葉はブワニカ→風間、小島→田口の2枚替え。ブワニカと櫻川が2トップに近い形になっていて、ブワニカのカバーとして小島が出て行く悪循環を修正してきた。これによって櫻川1トップの特徴が色濃くなる。

 53分、千葉左サイドからロングスローを城和が跳ね返すが、アタッキングサード手前でチャンが回収して、千葉のターンの継続。ボールホルダーに対して稔也がプレスに行くも、チャンは右の風間宏矢へ。風間にも岩上が素早く寄せていたが、外に開いた見木にボールが渡る。見木はチャンのダイアゴナルランを囮にしてボールキープし、山中と岩上の2枚を引き付け、風間にリターン。フリーとなった風間はワンタッチでクロスを上げる。高い弾道のボールに対し、1stターゲットの櫻川を越えたポイントで西久保が合わせる。頭を振り切れなかったので勢いが伝わらず、ボールは櫛引の手中に収まったが、後半立ち上がりに1つ形を作った。

 58分も千葉のチャンス。LSBの佐々木がハーフウェー超えた辺りでボールを運ぶ。それを見た見木が岩上と天笠の間に入ってボールを引き出すと、ワンタッチで後ろの田口へ。見木にパスが出るタイミングで田口は佐々木と同じ高さになるように立ち位置を微調整したが、こうした原則通りのポジショニングは前半には見られなかった。位置的優位によってスペースを得た田口は中央へ。後方への選択肢をウチの選手たちに意識付けさせながらボールを保持し、ウチのスライドが行われたのを見て見木に戻す。ここからテンポアップし、見木→福満→見木→田口→見木→風間と流れるようにボールが繋がりバイタルに侵入。風間は田口とのワンツーで左から打開しようとするもウチが喰い付かなかったので減速。再び中央に運んで岩上・風間宏希を誘き寄せて西久保へ渡す。西久保は中央への浮き球を選択するも意図があやふやとなり城和がクリア。しかし、これをチャンが回収して風間宏矢にスイッチ。風間は西久保とのワンツーを織り交ぜてリズムを作り、見木に楔を打ち込もうと試みるが風間宏希に当たる。最後はこぼれ球に反応した田口が左足でボレーを打つがはるか彼方に外れる。

 ゴールこそ生まれないが、田口と風間宏矢の投入によって明らかにリズムは良くなった。46-60分の間の千葉のポゼッション率は70.8%となっており、文字通り主導権を握っていた。クリエイティビティを持つ選手が入ることでの効果と言えるも、田口の『個』にある程度依存する部分は否定できない(ウチもKJがいないと大分厳しそうだからあんまり人のこと言えないが)。いずれにしても、常に相手選手の間に意識的に立つ選手がいるのは面倒。

 62分、ここも千葉。ウチのクリアを左サイドで田口が拾う。隣のレーンの福満とのワンツーでフリーとなった田口はニアに速いボールを入れる。これは城和がヘッドで対応するも、ファーに流れる。何とか天笠が相手と競って前を向かせず、こぼれたところを風間がクリア。ただ、これをチャンが拾ってRWBの西久保に付ける。西久保は跨ぎ系のフェイクで山中の飛び込むタイミングを失わせ、最終的に股を抜いて突破しようとするも、山中は当たり負けなかった。しかし、チャンがフォローに入り、そのまま深い位置からマイナスのクロス。このボールに後ろから走り込んだ田口が右足を振るも、枠には飛ばない。

 ペースを握られたウチは、対抗策として平松→深堀へとチェンジ。この交代に効果が期待できるのは誰が見ても明白だが、深堀のスピードを活かすべく多少アバウトなボールを選択することが多くなった。スタートした位置的にどうやっても不利な状況にも関わらずマイボールにしてくれる深堀のスプリントによって、ウチはラインを上げられる時間を稼げた。さらに、守備の面でも二度追いは当たり前のKJの負担軽減になった。場合によっては福満のところまで深堀がチェックに行くので、稔也の立ち位置がハッキリして見木番をしやすくもなった。

 対する千葉も、疲労の色が濃い福満を下げて熊谷を入れる。チャンを本職のCBにして、鈴木がLCB、佐々木がLWBとなる。刈り取ることのできるタイプを中盤に配置してウチのパスの供給源を断ち、攻撃の時間をさらに増やす意図。ただ、ウチとすると鈴木が深堀側のCBになったので、よりスピードで優位に立てるようになった。

 77分、千葉に決定的な場面が訪れる。クリアボールをハーフウェー近くでチャンが拾う。チャン→熊谷→新井→熊谷→田口→西久保と短いパスを続けてアタッキングサードまで前進。西久保はボールを持ちながら隣のレーンに移動して天笠と岩上を近付け、間に位置した風間宏矢にパス。風間はラストパスのコースを探るも見つからず西久保にリターン。西久保は思い切ってミドルを選択するが、櫛引がセーブ。
 このこぼれを深い位置で新井が拾うと、新井→田口→熊谷とウチのブロックの外側でボールが回り、中央の見木に渡る。見木は瞬時の切り返しで前を向くと、左サイドにボールを解放。受けた佐々木は左足で上げると、西久保がペナルティスポット付近で競り勝つ。そのボールに風間宏矢が追い付くとマイナスのクロス、最後は櫻川が右足で合わせる。失点止む無しの局面だったが、城和が咄嗟の反応で左脚を出しコースを変え、ボールは右に逸れていった。城和のガッツポーズ、惚れる。

 何度もピンチに晒されながらも、耐えてきたウチはいよいよ試合をクローズする作業に入る。天笠→川上、KJ→高木の2枚替え。最終ラインは右から小島・川上・畑尾・城和・山中となる5-4-1。外側で回されることは割り切って、PA内の制空権を渡さないという選択。奪ったら、あとは深堀に走ってもらってカウンター(という名の時間消費)を打ち込む。重心を上げないので、前からの限定は深堀と高木にある程度任せる。

 87分、千葉にこの試合最大の決定機。先ずウチが小島のスローイン1本で深堀を走らせると、思いのほかキープできた。深堀はフォローがないので単騎で勝負を仕掛けてファウルを誘ったが、ファウル取ってもらえずロスト。チャン→熊谷→田口→風間宏矢と繋いで敵陣に入ると、そのまま風間はドリブルで突き進み、風間宏希の牽制を受けて田口に落とす。田口→熊谷→見木と右にボールが移動し、見木は稔也を剥がしに行く。稔也と岩上が寄ったことで見木はボールを離して熊谷に。熊谷→田口→熊谷→田口とタイミングを探り、田口からワンタッチでPA内の風間宏矢へ。風間は田口の動きを囮にして、反転しながら左足でクロス。これを櫻川が折り返すと、フリーになった見木が右足でシュート。九分九厘失点となるシーンだが、守護神が右肘に当てて窮地を救う。シュートを打たれる瞬間に櫛引が身体を大きく見せるような動きをしているし、小島・畑尾・川上が櫛引の後ろでフォローしており、兎に角ゴールを割らせないんだという気概が現れている。

 最後は千葉が3CB全部上げてくるパワープレーを仕掛けてくるが、ウチも稔也→広大によって中央を封鎖。1-0のまま試合は終了し、開幕戦以来の今季2勝目を挙げた。

雑感

 観応え十分。危なげない快勝とは言えないが、それでもこの時期にこの内容、結果も伴うのは及第点以上。

 待ちに待ったゴールがやっと来たと思ったら、いきなり年間ベストゴール級のとんでもない崩し。小島と櫛引以外の9人がボールタッチしていたし、あれだけの連動を見れば、日頃の戦術の落とし込みが花開いていることが窺える。
 ゴールシーンに関しては、相手の最終ラインの前のスペースを有効活用している。これは大外で幅を取る天笠と平松が最終ラインに張り付く(=同じ高さにいる)ことで、KJに対して安易に相手が捕まえられないようにしている。駆け上がる判断をした山中も見事だが、その動きを察知した天笠がレーン被りしないように移動していることも見逃せない。1分間の中で数多のトライアングルが形成と変形を繰り返していて、何回でも見てられる。
 ManCityや前節のヴェルディが用いる5トップとはならないものの、ボールサイドの3レーンは選手を最前線に配置している。というより、敢えて左右非対称にして左で勝負するので、右は稔也と小島の2枚でカバー。この辺りのは少し前のアタランタが参照になる気がするが、確証はない。スタイルは多少異なるも、アレハンドロ・ゴメスとKJは重なる部分もあり、最大限ポテンシャルを活かす配置になっているのではないか。
 相変わらず複数得点できないっていう課題はあるのはご愛嬌。セットプレーだったり、相手の重心が高くなったところをひっくり返すカウンターで刺したりできると楽なんだが、こればっかりは水物。何度も言うように、回数を増やして可能性を高めなければならない。

 前半の守備はパーフェクト、何もさせなかった。櫻川に当ててくるのは分かり切っていたが、城和が封殺。畑尾と城和のコンビでほぼ全て跳ね返した。中央で高さを活かせないので、次に千葉が狙ってきたのはウチの左サイドの天笠or山中。西久保を競らせて優位に立とうとしたが、山中と天笠も上手く身体を当てて飛ばせなかった。セカンドも上手く回収できたので、千葉の攻撃の時間は最小限に。
 田口と風間、さらに熊谷の投入により、後半からは大分押し込まれた。去年の対戦でも田口と熊谷のファイヤーアタックに苦しんだ記憶はあったが、今回もやや苦戦。特に、ライン間・レーン間に位置し続ける田口を捕まえるのはなかなか難しい。それでも内側を締めて外回りに限定させていたし、終盤には5レーン全てに選手を配置して進路を塞いだ。1点を守るためにできることは全部していた。終盤に深堀がスプリントしてくれたことでどれだけ救われたか。守備陣の奮闘は勿論、チーム全員で死守した。

 得点不足の解消と櫛引のセーブに依存しない守備を求める声は試合後にも多くあった。その部分に異論はないが、まだこのチームは発展途上。取り組み続けていけば徐々に課題も解決していくのではないか。

 むしろ上に行くチームというのは、こういう試合をモノにしている気がする。今までであれば、何で負けたか分からない試合を落としてきたが、粘り強く戦って3ポイント取ることができた。上を見るのは気が早く、浮かれてはならないが、やはり今シーズンは何かが違うと感じた試合。
 夢の叶う場所、蘇我。

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