3バック怖い vs千葉 0-1

 前節はカウンター1本で仕留め、あとはひたすら中を締める展開で勝利。心臓には悪かったが、敵地で上位相手に3ポイント持って帰ってこれたのは大きい。

 連勝目指して挑むのは千葉。昨シーズンまではお得意様だったが、今シーズンはフクアリでまさかの0-2。前監督更迭のトドメになった。3バックに変更して戦っているため、「お犬様ジンクス<3バックジンクス」という上下関係が明らかになった。
 経営規模は2部でも上位に位置するが、今年も安定して中位をキープ。相模原に6ポイントをプレゼントする愚行も見られるが、尹スタイルのウノゼロも多い。

 どちらも大量得点を取る気がないので、勝負所を見極めて攻勢に出る必要がある。

画像1

  ウチは前節からノーチェンジ。勝った試合の後はいじらないのが鉄則。少ないチャンスを狙っていく。

 対する千葉は1枚変更。矢田ではなく、前回対戦時に報復で1発退場した成田の漢船山がスタメン。愛媛ウチと続く残留争い組連戦での取りこぼしは許されない(と思う)。

前半

 序盤はインテンシティを高くして圧力を掛けた。千葉の最終ラインとCHのビルドアップに難があり、比較的高い位置で引っ掛けて攻撃に転じる機会を作っていた印象。

 10分、GKのミスキックが彰人に当たり、翔大が拾う。彰人の離れる動きに合わせて翔大がパスするが、惜しくも繋がらず。

 ウチはできる限りボールを持つ時間を短くしたいという思惑通りに千葉がボール保持する時間が長くなるが、噛み合わせが悪い3バックだと時間を与えることは必ずしも最善手ではなくなってしまう。特に、千葉はボールサイドのCBが高い位置まで上がってボールを引き出していたので面倒。

 22分、千葉のCK。船山の鋭いボールにニアで新井一耀が合わせるも枠に飛ばず。ゾーンのミスマッチを突かれるのは織り込み済みとはいえ、ニアストーンの岩上のところで競られると厳しい。

 ウォーターブレイク前後からウチのプレスが落ち着いたことも相俟って千葉ペースの時間が続く。千葉は基本的にはポジションをセットしてからプレスに来ていたが、ボールが大武に入ったタイミングをトリガーにして限定してきた。大武がそこでロストすることはなかったが、どうしても前進する機会は減ってしまう。

 28分、千葉に決定機。櫻川のキープから福満がスイッチ。大武と小島を引き付けて外の船山へ渡す。船山は難しい体勢からワンタッチでクロスを上げると遅れて入ってきた櫻川がヘッド。ボール自体には勢いがなく、慶記が防ごうとしたところに見木が反応。ハンドにも見えたが、ボールを奪ってクロス。これはジャスに当たるも、跳ね返りを末吉がクロス。櫻川が高い打点で合わせるも、再び慶記が防ぐ。ゴールががら空き状態の中でよく防いだ。

 31分、千葉のビルドアップの局面。福満がワンフェイクで久保田を剥がして中央の田口へ。田口は左サイドを向きながらもDFの間を刺す楔を入れる。これを受けた見木がターンして右足を振り抜くが、大武が何とかコースを変えてCK。
 更にそのCKから。船山のボールは大武がクリアするも、末吉→福満と繋いでアーリー気味のクロス。これに櫻川が合わせたが、これも慶記がキャッチ。

 ウチの唯一のチャンスは37分。中央で中山がカットすると、裏に抜け出した久保田へパス。久保田はPA前まで運んで、斜めに走り込んだ彰人にラストパス。彰人はワンタッチで左足を振り抜くが、力み過ぎて上手くミートせず。中に翔大もいたし選択肢は複数あったが、チャンスを生かし切れない。

 結局0-0のまま折り返す。

後半

 後半はスタート早々から千葉が押し込む時間が長かった。ウチの重心がどうしても下がってしまい、田口と熊谷にある程度のスペースを与えてしまい、自由に展開を許していた。

 55分、彰人が足を押さえて倒れるアクシデント。よく見ると、右足の太腿にテーピングがぐるぐる巻きにされており、試合前からトラブルを抱えていたと推測される。彰人に替えて大前を投入。

 65分、再び千葉に決定機。チャンミンギュのアバウトなボールを大武が跳ね返すも田口が回収。左サイドの安田に預けて田口は駆け上がる。安田→船山→田口とテンポ良くつながり、田口はコースを狙ったシュート。しかし、これを慶記がスーパーセーブ。危機から救う。

 その後もただただ攻めこまれる展開が続くが、のらりくらりと立ち回って何とか守る。

 そして迎えた86分、翔大がハンドを取られて与えたFK。このタイミングで千葉は櫻川に替えて高橋を投入。ウチも同じタイミングで久保田→広大の交代を行った。セットプレーの直前に選手交代するのは嫌な雰囲気がした。
 田口と安田はボールを一度動かして角度を変えてクロスを上げる。これを広大がクリアするも、福満が拾う。ここでクロッサーへのアプローチがわずかに遅れ、質の良いボールを入れられる。慶記が辛うじてパンチングするが、そのボールを高橋がボレー。低い弾道のボールは慶記の脇をすり抜けてゴールに吸い込まれ、千葉が土壇場で先制。映像で見るとサウダーニャが慶記をプッシュしているようにも見えるが、少なくともVARのない環境下ではファウルとは言いかねる。

 交代回数を使い切ってDFを投入した直後の失点。そこから追いつけという要求は不可能に近い。攻めようという姿勢は見せたが、ゴールを脅かすことなく0-1で終了。

雑感

 この戦い方を選択している以上、今日みたいな虚無の試合も起こり得る。

 守ろうとする意識が強まっているのは良いことだが、リスクを避けるあまり重心が90分通して低くなってしまう。熊谷と田口が2枚揃ってバイタルに入るファイヤーアタックに面食らった感もあったとはいえ、ラインがずるずる下がる→CHが最終ラインに吸収される→中央のスペースを割譲っていうパターンは悪癖。
 前述の通り、相手CBが高い位置取りをすることでウチが数的不利になっていたが、正直対応策がない。これまでの3バックの相手との対戦よりかは崩されなかった。中央から斜めに入る3人目の動きで裏に抜けるのではなく(ex.甲府:長谷川、大分:渡邉etc)、同サイドの選手が上がってくる千葉に対してはウチのサイドのマークの受け渡し自体はしやすかったのではないだろうか。とはいえ、単純に枚数の問題で後手に回るのは仕方ない。
 失点直前の交代は恐らく多くの意見があるだろうが、結果論としてはワンプレー待っても良かったことになる。前線と数的同数でミスマッチをなくす+ハイボール対策という意図を持っての広大投入だったが、同じタイミングで千葉は櫻川を下げていた。替わって入った高橋は最前線の選手ではないし、サウダーニャはハイボールに活路を見出すタイプではなく、高さの脅威は減った。仮に櫻川が残っていたとしても、85分間櫻川には畑尾大武で対応していた中で、セットプレーのタイミングで交代してマークが不明瞭になるのは勿体なかった。去年の開幕新潟戦の二の舞となったことは否めない。セットプレーの高さをケアするなら、後ろいじるよりも、彰人が負傷した場面で北川入れるのも1つの手だった。
 結局どれも「たら、れば」に終止してしまうので、割り切るしかない。そもそも、慶記が今日も再三セーブを見せてくれたことで拮抗した試合になったわけで、早い段階で試合が壊れる可能性もあった。

 ボール保持の場面でも、基本的にカウンターだけっていうのがバレてて攻めにくい。大武から岩上orジャスに繋げようとする場面で千葉が嵌めにきているのは明らかであったが、その局面をひっくり返す手段が限られていた。大武に入るまではノープレッシャーなので、相手に合わせて全体的にパススピードが上がらず陣形を整える時間を与えてしまった。右で作って小島を走らせて左で仕留める形が影を潜めており、多分小島が敵陣でスピードを伴って突破する場面はほぼなかった。
 船山と見木によって小島とジャスをピン止めする狙いを持っていたが、ウチのCHを監視する役割を担ったのは櫻川だった。予想以上にプレスバックして前を向かせない意思を見せており、敵ながら好印象。本来のタスクである限定をするだけで手一杯になってはいたが、今後経験を積み、あのまま自分で刈り取れるようになれば、より守備でも脅威を持つ選手になりそう。

 残留争いを強いられている以上、こういう試合は必ずある。だが、残留するためには正直これを貫くしか道がない。どこまで愚直に固めることができるかが全て。下手にリスクを負って攻撃に出たとしてもたかが知れている。ハイリスクローリターンのロマンを追い求めるのではなく、手堅くポイントを拾っていくことを8月の時点でクラブは決断した。残り11試合、このスタイルを保ったまま、堅実にポイントを獲得した先に、来シーズンのステージが見えてくるだろう。
 次節が苦手北Qとの6ポインターっていう痺れる試合だが、相手に惑わされることなく己を貫き、勝点を持ち帰ってきてほしい。

 取り敢えず、3バックとはもう試合したくないし、3バック相手に勝つことを過度に期待するのはやめましょう(ヤケクソ)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?