沈思黙考 vs新潟 0-2

 ボール保持される時間が長い中でも焦れることなく対応していたが、終盤の一撃に沈んだ前節。勝点1積めていてもおかしくなかったが、あと一歩のところででやられるのがもどかしい。着実に積み上げてきているものはあるわけで、それをどう表現するかの問題。

 そろそろトンネルを抜け出すべく迎える相手は新潟。試合前の時点で2位に付ける昇格候補。そりゃあれだけの戦力いれば、上の順位にいないとおかしい。アウェイでの対戦を思い出すと、伊藤・高木・本間のトリデンテにガンガン剥がされ、谷口に仕上げられたり、堀米・長谷川に高い位置を取られて枚数足りなくなったり、実力差を痛感した記憶。ただし、前目の選手に気を取られがちだが、後ろでの組み立てにどこまで圧力を掛けられるかが鍵となる。昇格争いも団子状態であり、新潟もフルスロットルで来ることは想像に難くない。

 前節とはゲームスピードが一気に変わってくるが、やるべきことは変わらず。臆することなく仕掛けることが大事。

メンバー

 ウチは前節から2枚変更。広大→川上、平松→深堀。川上はリーグだと岩手戦以来となるスタメン。栃木戦のアクシデントにより欠場が続いていた畑尾がベンチ入り。

 対する新潟はフリエとの直接対決に敗れた前節から6枚変更。舞行龍→田上、島田→秋山、星→高、松田→三戸、高木→伊藤、鈴木→谷口。がっつり手を加えてきたが、個々のクオリティは遜色ない。落とし込みもできているので、脅威であることに変わりない。

前半

 試合の入りも確認することなく先制点を与える。
 2分、自陣深い位置で城和がボールを回収し、久保田に付ける。ワンタッチで前に叩けず相手に背中を向けた瞬間に4枚に囲まれ、秋山に突かれてロスト。三戸が拾い、谷口に流すと、谷口は思い切って狙う。ここは城和が滑ってブロック。
 それによって新潟が得たCK。伊藤からのインスイングのボールは小島が弾き返すが、PA角で堀米が回収してワンタッチで藤原を走らせる。藤原からの柔らかいボールはゴール前を横切り、谷口の元へ。足を伸ばしてのシュートは櫛引が驚異的な反応を見せて防いだが、予めこぼれることが見えていたかのように本間が詰めており、難なく先制。
 CKに至るまでのプレーも勿体なかったが、CKをクリアした後の藤原のマークの受け渡しはハッキリさせたかった。スクリーンされて難しくはなったものの、ステイするのかボールにチャレンジして後ろを任せるのかが定まっていれば…。藤原のクロスの質と、谷口の点で合わせる動きに関してはどうにもならない。DFとGKの間にクロスを上げられると安易に触れないし、城和と風間の間に走り込む谷口も流石。クロス対応してラインが下がった後の手前のスペースにボールがこぼれたのも歯痒いし、誰より早く本間が反応していたのも成す術なし。

 いきなり先制されてしまい、浮足立つウチと拍車の掛かる新潟。3月末にも見たような展開。

 なかなか反撃の糸口も掴めないまま、16分にまたも失点。ビルドアップの局面で千葉にボールが渡ると、お手本のようなコンドゥクシオン。ウチの1stプレス隊を難なく超えると、伊藤に楔を刺す。上手く久保田と風間の間に落ちてボールを引き出した伊藤は、右の藤原に展開。藤原は前方でサイドに張っていた松田に付ける。松田は秋山に落として前に走り出す。秋山がワンタッチで伊藤に繋ぐと、ウチのプレスの緩さを察知し、ワンタッチで藤原に流す。ボールを持つ藤原の前を松田が斜めに動いたことでスペースが空き、そこに伊藤が侵入。藤原からのパスを受けると、1stタッチで城和の前に入り、最後はしっかりと右足を振ってサイドネットに突き刺した。
 これを防げと言っても難しいが、相手の思惑通りにウチがプレーしてしまった感は否めない。伊藤にボールが渡るタイミングで3回ともプレッシャーがほぼかかっていないのは、伊藤のポテンシャルは勿論だが、取りどころが定められなかったことも大きい。パワーを割くポイントがなかった。

 ウチも攻める時間を増やしたかったが、如何せんボール奪取の位置が低く、新潟の即時奪回の格好の餌食となった。CHがCBからボールを受けようと顔を出すが、そのラインでは新潟のCH2枚+伊藤が構えており囲まれる。また、どうしても前の選手との距離が遠くなってしまうので、パスが通った後に彰人だったり天笠だったりが孤立してロストするシーンもあった。

 ウチがほぼ初めてPA内に近づいたのは34分。ボールを保持する時間が長く、全体が押し上げられていた。川上・城和・勇利也でタイミングを窺い、城和が1列前の風間に付ける。ターンして前を向いた風間は、左に張る天笠へ。天笠はタイミングよくインナーラップしてきた勇利也を使い、再度ボールを受ける。後ろに戻す体勢から足裏を使って進行方向を急転換させ縦に仕掛ける。しかしここでは新潟DF陣が対応してきており、勇利也にリターン。勇利也→城和→風間と繋ぎ、勇利也がハーフスペースで上手く受けてターン。さらにDFの間を通して彰人へ。PA角でキープした彰人はタメを作って天笠へ。天笠は得意の低い弾道の高速クロスを供給。しかし、ニアに飛び込んだ深堀は間に合わず。
 陣形が整えられていれば押し込むこともできることを示した。あとは、プレッシャーを感じながらもパステンポを早めることが必要。

 41分にもゴールに近づく。新潟最終ラインのパスに対して彰人がコースを限定。松田が落ちてきたところにも風間がチェックして前を向かせない。連動して圧力を掛けたことで、松田からのパスがズレて深堀がインターセプト。そのまま自分のスピードを生かしてCB間を切り裂くが、最後のシュートの場面では千葉に対応されてしまう。
 それによって得たCK。ニアへのボールはパンチングされるも、こぼれを久保田がボレー。さらには稔也がアウトサイドでコースを変えたが、いずれもゴールには飛ばず。

 立ち上がりの圧力をまともに受けてしまい、2点のビハインドを負って折り返す。

後半

 HTを経て、少しずつ嵌め方が整理され始める。とはいえ、個々の能力で上回る新潟がタイミングを外して縦パスを打ち込まれて回避されることもしばしば。

 57分、2枚替えを敢行。深堀→山根、天笠→シラ。それぞれそのままのポジションに入る。推進力を持つ2人の投入により、有無を言わさず前向きにプレーする機会は出てきた(そもそも2人を含めて前目の選手が前を向いてボールに触れる場面自体が少ないけど)。

 67分、敵陣で嵌めようと全体で押し上げたところで引っかけられず、フリーとなった高からDFラインの背後に落とすボールが送られると、抜け出した谷口が1stタッチで勢いを殺すことなくPA内に侵入しフィニッシュ。崩してはいたが、シュートは左に逸れて事なきを得る。

 その後、稔也→奥村、久保田→平松、小島→岡本といった交代によって打開を試みるも、後ろに人数が揃っている相手を崩すのは簡単ではない。

 ウチの最大のチャンスは90分。川上からピッチ中央で山根が受け、右の岡本に展開。岡本はリズミカルな動きを交えてボールを運び、山根へ戻す。山根も緩急を付けたドリブルを見せ、抜き切らずに強引にクロスを入れる。ファーサイドに流れたボールにシラがドンピシャのボレーで合わせる。決まったかに思えたが新潟GK小島がファインセーブ。
 山根の相手のタイミングを外す動きは良かったし、逆サイドの選手が中に入ってきているのもゴールの確率が上がる。

 90+3分、川上→城和→勇利也→風間と右から左、更には前へとボールが推移。風間は左サイドに張ったシラへの浮き球のパスを選択。シラは一瞬のスピードで相手を剥がして左足でクロス。ニアで平松が相手を釣り、一番美味しいスペースに後ろから奥村が飛び込む。形としては理想的だったが、シュートは宇宙へ。

 結局最後まで取り返すことができず、0-2で終了。

雑感

 新潟さんにはさっさと上がってもらおう(極論)。

 疑心暗鬼になっているタイミングで対戦すべきチームではなかったのは確か。そんなことは言い訳にすらならないが、これだけ差を見せられると堪える。

 3分の失点でプランが諸々崩れたとはいえ、過去の新潟との対戦時は15分以内に先制されることが多い。立ち上がりはアラートに入ることが必要不可欠。
 あとは、4-2-3-1の「3-1」の部分が前に残っているので注意がそちらに向きがちだが、その前のビルドアップ隊に圧力を掛けられるかが全てだとこの試合でも感じた。マークを捨てたら捨てたで引っ繰り返されるのも分かっているが、後ろで回してる間に全体を押し上げていかないと、思い通りにプレーされる。HTに指示が出ており、後半はFWから限定でき、全体もコンパクトに保てるようにも多少なった(相手がダレたことには触れない)。破壊力をリスペクトすることは大切だが、基本の部分は譲ってはならぬ。

 オフェンスも回数が少なかったし、ゴールを脅かすシュートは片手で数えられるほど。ただ、ゴールに近づいていたシーンはどれも陣形がコンパクトに保てていた。コンパクトであれば選手間の距離も適正になるので、ボールロストが減る。
 あとは、どこでリスクを背負うか。ワンタッチで出せば入れ替われる場面でトラップしたり、サイドに展開する位置が低かったり、相手にとっては怖さを感じないプレーの選択も見られた。自陣PA内などであれば無理せずクリアでも良いが、基本的にはチャレンジしなければ打開はできない。ロストのリスクを背負いながらも仕掛けなければ何も変わらん。
 作り直そうとして最終ラインにボールが渡ると溜息するなど以ての外。リスク負わず蹴るだけだったら永遠にサンドバック状態。何とか局面を変えようと試行錯誤するしかない。

 試合内容としても結果としてもピッチ上の選手たちは難しかったはずだが、それでも最後まで切れることなく戦い続けた姿は頼もしかった。どんな状況でも走り抜く選手へのリスペクトは何よりも求められること。

 ここでミッドウィークに試合が入り、天皇杯含めて5連戦。この暗闇の先に光が差すことをことを期待したい。

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