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底辺メンヘラがコミティアに出た

サムネは適当です。
自分が忘れないために書いているので、散文、乱文です。

きっかけ

「コミティア出てみようかな」とおもったのはすごく些細なことがきっかけだった。
もともと「同人誌」というものを出した経験は1回しかなかったし、それも何年も前に、中綴じの簡易的な本を出したに過ぎなかった。「うちの子が一番カワイイ!」という小さなイベントに、サークル側として本を出した。内容は裁縫だ。ダッフィーという東京ディズニーシーのテディベアをご存じだろうか。わたしはそれが好きでたまらず、ずっとグッズを買い続けている。
そのダッフィーに服を縫って着せるのが、長年の趣味であり、せっかくだから一次創作女たちの衣装を作ってそれを写真に撮り、本にしてみようという試みだった。
入稿のしかたなどは何もわからなかったので、当時中野にあった「おたクラブ」さんに行き、その場で中綴じ本を作ってもらった。そのころからおたクラブさんにはお世話になりっぱなしである。
その時は内容は裁縫だったため、自分がイラストの本を出すことになるなんて思ってもみなかった。
絵は描くのは好きだけど、発表するほどでもない。そのくらいの趣味だったのだが、身の回りにいたフォロワーたちが、2022年くらいからなぜか同人誌制作の沼に落ち、コミックマーケットで本を頒布し始めた。
蚊帳の外から見守っているだけで、「なんだかおもしろそうじゃん」と思った。実際、コミケでは売り子もした。目の前でフォロワーの本が売れていくのはものすごくうれしかった。「本作ってみたら楽しいかもな」と思ったきっかけだった。

少し脱線するが、創作Vtuber「さいのめしき」の話をする。
ダイスの目を司る女神としてキャラクターをデザインした。いわば私は「原案」である。私自身はさいのめ本人ではない。
また、この話を始めると長いのだが、原案の原案として、時宮時見も片棒を担いでいる。
そんな感じの、身内だけの楽しいお遊戯。フォロワーが楽しんでくれればいいと思い、キャラクターを作った。
実際、フォロワーにはすごくウケた。可愛いと言ってもらい、自分だけでは思いつかなかった衣装のアイデアやデザインも担ってくれた。
自分でもこの子はかわいいなと思っていたため、積極的にskebでイラストを頼みたいと思い、衣装の一覧や、わかりやすい二面図を制作することにしたのだ。

ここで話が合流する。その「二面図」「リファレンスシート」を制作していた時に、「これを本にしてまとめれば、世界観設定本になるよ」と悪魔のささやきが聞こえた。最初はグーグルドライブにまとめ、skeb資料用として置いておくだけの用途のはずだったが、冗談のつもりで「これ、本にしたらおもしろいんじゃないのか」と、その売り子をしたサークル主(コミティアで売り子をしてくれた犬吠埼犬太のことだ)に聞いてみると、「出せ」と返信が来た。

犬吠埼先生、いつもありがとうございます。

そういう流れで「公式設定資料集」として本を出すことにはなったが、この時点ではまだコンビニコピー本か、よくても中綴じ本くらいのノリだった。
適当にイラストをまとめて、本の形になっていればいいや。そう思い、エイプリルフールに「本を出します」と宣言した。その時はまだこんなことになるなんて思っていなかった。

原稿をやっているうちに、「これはちゃんと無線綴じ本にしたほうがいいんじゃないか」と思ってきた。なぜなら、調子に乗って自分の絵だけでなく、フォロワーに寄稿をお願いしてしまったからだ。寄稿してもらった人たちにも満足してもらえるように、とおもったら、中綴じやコピー本ではなく、いわいる同人誌として一般的な無線綴じで本にするべきではないかと。
それなら表紙は自分の絵ではなく目を引くようにイラストレーターさんを捕まえたい。せっかくならお世話になっている方にと思い、ダメ元で声をかけたら意外にもご快諾いただけた。
もう引き返すことは出来ない。

そうしていくうちに、「せっかく本にするのなら、手に取ってもらいたい」という欲が出た。
「私たちの可愛い女神の本が、知らないだれかにもらっていかれたらものすごい楽しいんじゃないか?」と思った。
実際、前述した「うちカワ」では、拙作が数冊もらわれていき、すごく楽しかったという記憶がある。
出せそうな同人イベントを検索したが、Vtuberのオンリーイベントというのは「にじさんじ」や「ホロライブ」レベルの二次創作イベントが多く、個人勢の本を出すような場所ではなかった。
そこでコミティアの存在を思い出した。一次創作に限った同人イベントで、そこにいるサークルの誰もが自分の脳内作品を出力し、誰かの手元に届けている。
コミックマーケットでもよかったが、自分がより持ち込みたいイベントと思うと、やっぱり一次創作に限った土俵というのに立ってみたくて、コミティアに参加してみることに決めた。
これがまたタイミングよく、女神の二周年の付近にコミティア146の日付があり、神の思し召しだと思い、145が終わってすぐに、ウキウキで参加申請をした。そう。この時までは。

原稿の管理

「頭割りだヨ!ヒカセン集合!5」というFF14webオンリーイベントに参加したことがある。女神本の前に、FF14の二次創作イラスト本を頒布した。
自分にとって初めてのイラスト本で、オンリーに出るのは1月くらいから決まっていたものの、イラストを本腰入れて描き始めたのは4月で、1か月程度で12枚近くのイラストを描いた。
「自分は締め切りが近くならないとイラストを描き始められない生き物なんだ」と理解することができたため、かなり勉強になった。
また、イラストを描いている時点で、「こんな本だれが欲しいんだ…」とかなり精神を病むことが分かり、入稿が終わると抜け殻のようになり何もできない日々が続いた。
頭割りは会場を貸し切って行うオフラインイベントではなく、オンライン即売会のサービスを利用して行うオンラインwebイベントで、少々勝手が違ったが、本を制作するにあたっての流れや、紙選び、入稿の仕方など様々なことを学んだ。
このイベントでは結局、身内のフォロワーに手にとってもらうだけで、他の人の手には渡ることはなかったが、その後「ヒカセンバザール」という同じFF14の今度はオフラインイベントに参加した時、数冊手に取っていただく経験ができた。「オンラインイベント」と「オフラインイベント」の差を感じ、「もしかしたらコミティアでも、数冊は手に取ってもらえるかもしれない」と希望を感じていた。

コミティア用の本を制作するにあたって、まずは「ギリギリにならないとできないんだから、だいたい一か月くらいで制作しよう」というスケジュールを立てた。9月くらいから作業自体は進めていたが、本格的にイラストを描きこんだり、文章を作ったりするのはかなり後回しにした。
これは「終わらないかもしれない」という恐怖との戦いであったが、結果的には成功だった気はする。その恐怖がないとなにもできないダメ人間だからだ。
それと、「楽しみに待っていてくれる人を観測する」ことも大切にした。
頭割りの本とは違い、女神にはファン層が存在する。ファンボックスを開設してもらい、進捗を女神のほうから投げてもらった。そうすると、読んだよという意味であろういいねや、コメントが来た。また、支援プランに加入してくださる方も数名いて、「誰かが楽しみに待っているんだから、その人のために頑張ろう」という気持ちになれた。
ここまではよかったことの振り返りだ。

悪かったこと。それはとにかく、「大きなオフラインイベントの会場に持ち込む」というプレッシャーだった。
本づくり自体は反省点を生かし特につつがなく終了したが、とにかく「これを持ち込まないといけない」という面での不安が大きかった。
何部刷るかというのは、おそらく本やグッズを刷った経験のある人にとっては、悩むところだというのは分かってもらえる気がする。
コミティアに参加するにあたって、会場に持ち込む本の最小単位は10部と決められていたため、10冊は確保していた。それに加えて、boothで売れ残った分と、献本を頼まれていたが連絡がつかなくなってしまった方がいたので、その分を合わせて16冊が在庫になった。
1冊も売れないってことはないだろうとは思っていたが、16冊の厚みを見ると、やっぱり怖気づいた。これ、全部持って帰ることになったらどうしよう。赤字が出るとか、売り上げがないとか、そんなことはどうでもよかったが、「ここまできて、全部持って帰ることになったら惨めだな」とずっと病んでいた。
また、近隣に配置されていたVさんやイラストレーターさんを見ると、どの方も素晴らしいグッズや本を持ち込んでいたため、自分のサークルだけ人が来なかったらどう思われるだろう…という不安も渦巻いていた。
なまじ表紙をイラストレーターさんに依頼してしまったばかりに、内容が自分のイラストなので、「表紙詐欺じゃん」と思われるんじゃないかとずっと不安に思っていた。
犬吠埼さんと話すためのdiscordチャット「発狂」では文字通りずっと私が発狂しており、「もうだめ」「なんで出るとか言ったんだろう」という弱音を吐き続けていた。表では「楽しみです!」と言い続けていたため、どこかに漏らさないと気が狂いそうだった。

24時間ずっとこのテンション

楽しい面しか見せたくなかったので、努めて「楽しみです」と振舞って、自分に暗示をかけようとしていた。
そんなこんなで、入稿してから1か月程度、本番が近づくにつれて「憂鬱」は増していき、このままで大丈夫だろうか…と不安なまま当日を迎えた。

コミティア前日~当日

前日の午前までは労働があったため、労働に集中していた。むしろ、労働が終わってからが本番だった。
とにかく細かいことが気になり、「これ本当にいるか?」「これ合っているか?」と本の中身を何度も見返した。特に一番最後のクレジットの部分は、寄稿してくださった方の名前が書いてあるので、間違っていないかを必死で確認していた。何度見ても間違っていないのに。強迫的だった。
持ち物は何日も前から忘れ物をしないようにダンボールに詰めていた。でも最終チェックはしてから封をしよう、と思っていたが、もう荷物を見るだけで発狂しそうで、もうこれ以上考えたくないという一心で、確認もせず布テープを貼り、封をした。こういうところにメンヘラが滲み出ているな、と思う。
タイムラインを見ないようにした。情報確認のためにフォローしているコミティアの公式アカウントが、前日設営をしているだとかなんとかというポストをするたびに、心臓を握りつぶされるようで、コミティアの文字すら見たくなくてタイムラインを封じた。
あたたかいおでんを食べて、湯につかり、現実逃避のために大好きな劇団四季の「ロボット・イン・ザ・ガーデン」を観た。3時間もあるのに。大きなイベントの前で、確認しないといけないことがたくさんあっただろうに、頭を空にしたくて、ミュージカルを観た。大好きな劇を見ているときは心がすごく安らいでいた。
カーテンコールまで見終わると時間は0時だった。翌朝は6時に起きなくてはいけなかったので、寝る支度をして床についたが、この精神状態で寝れるはずもなく、デエビゴを倍量飲んで無理やり気絶した。大体1時半だった気がする。

朝は寝坊せず起き、朝日に照らされながら国際展示場へ向かった。
途中ポスターを刷るためにキンコーズに寄ったが、茫然としすぎていたせいか、お金を払わずに出てきてしまい、途中で気づいてキンコーズに戻り支払いをした。誰も止めてくれなかったのが今でも面白い。がばがばすぎる
国際展示場のドトールでフォロワーと合流し、売り子をやってくれる犬吠埼さんと、サークルチケットが一枚余っていたので、サブカルで煮詰まってきたフォロワーにあげた。よろこんでいたのでよかった。
正直設営のことはパニック状態で何も覚えていないが、写真を見返すと綺麗に出来ていたので、犬吠埼さんが綺麗に飾り付けてくれたんだと思う。
ゆっくりめに会場についたので、設営終了から開幕までは短かったと思う。開場の拍手が鳴り響き、「終わったな」と思った。メンタルは今までで一番苦しかった。
両隣のサークルさんにどんどん人が舞い込んでくる。しかも近所のサークルさんの一つに行列ができて、自分の目の前に人が壁が出来て、誰も足を止める人はいなくなった。結構絶望していた。
正直もう早く帰りたい!!と思っており、「この本は1月にどんど焼きに持ち込む」「早めに撤収する」と口に出し売り子の犬吠埼さんを困らせていたと思う。
apple watchをふと確認したら、座っているのにもかかわらず、脈拍が90を超えていた。
開始から30分くらいで、初めてのお客さんが来た。うれしすぎて立ち上がった。膝の上に置いていた500円玉のおつりのことを忘れていたので、500円玉が床中にこぼれ、隣のサークルさんが拾ってくれた。すごく恥ずかしかった。
最初のお客さんは、misskey.ioのフォロワーさんだった。丁寧に名乗ってくれた。この人だとすぐわかるくらい、普段リアクションを飛ばし合っている人だった。一冊売れたので、ものすごく肩の荷が降りて、そこからは1時間に1~2冊が人の手に渡っていった。

途中、自分も会場を見たくて、30分くらい離脱して、同じくmisskey.ioのフォロワーさんがやっているサークルに行き、会いに行った。ああ!あの人か!という顔をされたが、名刺も受け取ってもらえてうれしかった。
そうやって会場を楽しめるようになったのは、開幕から2時間半が経ったころだった。それまで「サークルは任せて、ちょっと行ってきなよ」と言ってくれていたが、まったく動こうという気になれず、怖くて座っていたからだった。
会場は広く、誰もが思い思いの本を出していた。
自分の世界観を表現した漫画や、同じような設定資料集、アートブック、アクリルや布のグッズ、評論、旅行記、R18も、たくさんの作品が並べられていた。
貴賤はないように感じた。例えばどこかを歩いているとき「この本はつまらなさそうだな」と思うことはなかった。誰もが自分の世界を全力で表現しているから、このたくさんの本のなかから選別して気に入ったものだけを買っていかないとキリがないのだと気づいた。

それに気づいて、スペースに帰ってからは少しおちついていた。
今までに来た、表紙だけ見て即決で、中身を確認せずに買っていったお兄さんたちに、中身がこんなんで申し訳ないとずっと思っていたが、そんなことを思う必要はないんだな、と思ったし、本を焚き上げようと思う瞬間は減っていた。(それでも思うときはあった。)
隣のサークルさんとも少しおしゃべりができた。光栄なことに、フォローまでしていただけた。
途中、女神のリスナーさんが来た。初めてこういうイベントに来ましたと言われ、こんなところまで来てもらって申し訳ないな、と少し思ったけど、それなら少しでも楽しんでもらいたいなと思い、ポスターを押し付けた。
初めてイベントで差し入れというものをもらった。可愛い6面ダイスで、色も女神の服のような絶妙な色味で、すごく気に入った。手紙をもらったのも初めての経験だった。
閉場が近くなり、フリー入場となってからは、お客さんの足もまばらで、撤収するサークルさんも多かったため、その時間はサークルの片づけがてら、ふらふらと会場を歩いた。売り上げで好みのイラスト本を買ってみた。
終わるころにはすっかり心拍も平常に戻り、笑顔で片付けをした。本は10冊、だれかの手に渡っていた。

そうしてコミティアは終わった。自分が朝からろくに食べていないことに気づいて、「なんか食べたい」と提案した。かなり疲弊しきっており、なぜそういう流れになったのかは覚えていないが、なぜか大井町のバーミヤンに行くことになった。誰が言い出したのか、さっぱり覚えていない。
大井町のバーミヤンで私たちはいろいろなことを話した。次のイベントで何がしたいか。コミケになにを持っていくか。いま自分がどんなことをしているのか。コミティアってこういうところだったよね。ゲゲゲの謎が面白かった。すごく他愛もない話だったと思う。ファミレスの中華をバカ食いしながら血糖値を上げ、しょうもない話をするのは楽しかった。餃子がおいしかった。
正直、「また出たいな」と思ってしまった。

終わってからのこと

コミティアが終わり、女神がありがとう配信をつけた。遠くから見守っていたが、普段から過疎配信なのに、いままでに見たことがないくらい人が来ていた。愛されているなと思ってうれしかった。コメントも止まらなかった。
女神を可愛がってくれている人がこんなにいるんだと思うと、原案として誇らしかったし、女神を生み出してあげてよかったと思った。
「コミティア 戦利品」でパブサをして、自分の本が写ったものがポストされているのを見かけた。綺麗に並べられていて、名刺ももらってくれていた。可愛い絵を描くイラストレーターさんのアカウントだった。何人あの会場にいたかはわからないけれど、きっと膨大な数の人が来ていたんだし、みんな目当てのサークルがあるだろうから、自分の本はないだろうと踏んでいたので、あまりにも意外でびっくりした、すぐにブックマークした。正直涙が出てしまった。娘がお嫁にいった気分だった。娘はいないが。
本を出しフォロワーとファンに配るだけの予定が、いろいろな人の手に渡り、知らない人に女神の存在が知れた。
この本が登録者につながるとか、視聴者がとかはあまり思っていなくて、物理本が誰かの家で大切にされているという事実だけがうれしかった。

まとめ

楽しみにしてくれている人がいるというのは、心の支えになる。
東京ビッグサイトに自分の本が並んでうれしかった。
そんなに気負わず、次からもイベントに出てみたい。
これがまとめです。
入稿してからの1か月間、人生の暗黒期かと思うくらいずっと落ち込んでいたし、精神が疲弊しすぎるから頻繁には出れないなと思っていたが、喉元過ぎれば楽しかった思い出である。人間はバカなので苦しみを忘れる。
次の本はこういうのにしようかな、とか、どれにでようかな、とか、いろいろなことは考えているけれど、次のことはまだ未定。
でも本を出して頒布するということの楽しさを覚えてしまったので、今後もなにか印刷がしたいなと思っている。
今回は初めての大きなイベントだったので、不安で仕方なかったけど、次は最初から最後まで、笑顔で参加したい。そのためにも、女神には頑張って活動を続けてもらわないと困る。
次のイベントも、よろしくお願いします。


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