「会」
◇夏と言えばフェス(祭り)
人は悲しい事があるから祭りをすると、昔に聞いた事がある。確かにと思った。お祭りは祝い事ではないもんな。
◇国内最大の音楽フェスと言えば山の中で三日間連続して行われるフジロックが有名。名前ぐらいは聞いた事がある人が殆どだと思う。
今年はAmazonプライムビデオで一部視聴が出来たのでお目当てのバンド以外は流し見していたが、これが意外に結構良くて感動した。
iPadの小さな画面と音響でも伝わるものがあるって事は、ライブには何かそれ以外の要素で伝わる不可知な力があるんじゃないかと本気で思った。
こんな11インチやそこらの小さく平らの四角い世界がライブ会場になるとは思わなんだ。
◇2009年にフジロックに行った。
解散したoasisの日本最後の演奏だった気がする。山の中なので環境は過酷で雨なんてしょっちゅう降るから地面は深くぬかるむ。そんな泥をぶつけ合って遊ぶクレイジーな外国人もいた。
疲れをアドレナリンでカバーしているからか、人一倍体力がない自分はライブで盛り上がりながらも何度も寝落ちした。一瞬、膝が崩れて瞬間で起きる。
オンラインで見ているとそういう事がないのは助かる。
◇Amazonプライムビデオでは3チャンネルが用意され11時頃から21時くらいまで中継されていた。
しかし日本のバンドは数曲しか放送されなかったり、顔が映されない、という事が多々。いわゆる権利関係なんだと思う。
外国ならバンバン撮影OKで拡散希望が普通。それにより認知を沢山取るというのは広報活動の費用最小化と効果最大化。
SNSマーケティングと言えば堅いけど、自然な力でそうなるのだから、どちらかと言えばこれは追い風に乗るイメージだと思う。
一方の日本では体質と利権が絡まって解けそうにない。撮影禁止は常識。
アーティストが「日本から海外に」というのは構造上無理だから、逆輸入アーティストがチラホラいるのはそういう事だと思う。
◇「音楽フェス」の面白さの一つに「音楽との出会い」というのがある。
今では何事も「好きなものとだけ繋がる」というのが一種のトレンドになっている。これは本質的に「失敗しない」というニーズを掴んでいる現象。
音楽や映像ならサブスクで出てくる「あなたにオススメ」というビックデータとAIでパーソナライズされたリコメンド機能。使ってみれば確かに「まぁ良いなぁ」ぐらいには思う。
古くは出会い系サイトと呼ばれたマッチングサービスも「自分と合う人を探す」今やそういう機能があるらしい。やった事ないから知らないがCMを見るとその機能を推すので、仕組みは知らないが人気があるのだろう。
◇しかしながらこれら「失敗しない」変わりに「感動に出会う」という事もない。それは「想定内」にしか出会わないからだ。それを有難く思うのもその人の自由なんだけど、そんなの何が面白いの?と思う。
その点、フェスでは様々な音楽に出会える。200を越えるアーティストが集まるから当然だ。
何も調べず適当なステージを見てもいいし、どこからか聞こえてきた音楽に理由も分からず心惹かれる事もあるかもしれないし、初めて聞いた音楽から“好き”じゃなくて“嫌い”に出会えるかもしれない。
闇がなければ光という概念が存在しないのと同じで、失敗や嫌いも知らないと“好き”がどういう事かも分からない。また死を異常に避ける世の中だから「生」が良く分からないという事も起きている。
どちらにしても
今年は良いアーティストが見つかって良かったと思うって話。
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