「壊」
物議を醸しているAppleのCM
第一に感じたのはカルチャーの変化だ。一言でいえば「反体制側」だった組織が「体制側」になってしまった、その象徴だと感じた。ジョブズだったら果たしてこの表現をしたか?と考えれば確実にしなかったと思う。
こんなにダサくて人の心を奮い立たせないCMなんて創るワケがない。
いやいや既存のモノを壊して新しいモノを創造する事を表現しているじゃないか!何も変わっていないぞ!そういう人もあるだろうけど自分はそう思わない。少なくとも過去に壊そうとしていた対象はクリエイティブの歴史ではなかった筈だ。
それだってそもそもは「壊そう」としたのではなく未来を「クリエイト」しようとしていた。社会という強者に立ち向かう挑戦者だった。そういう魂が宿っていた。
しかしどうだこのCMは?
何に挑戦しているのか?
何を壊そうとしているのか?
既得権益者が脅威になりうる芽を摘もうとしている様にすら感じる。強者が弱者を潰しにかかっている様に思う。全くカッコよくない。圧倒的にダサい。
大体にして、音楽とりわけロックミュージックを愛し、ボブディランやビートルズを愛聴していたジョブズが楽器を壊す表現なんてするだろうか?
いやいや!楽器を壊す燃やすはロックのお家芸だろう!そう言う人は全く分かっていない。あれはロック演者による“表現そのもの”であって溢れる激情だ。突発する衝動だ。芸術は爆発で、壊す事で生まれるんだ。そのattitudeがロックなんだ。
そのアティチュードがこのCMには宿っていない。リスペクトが無い。この動画が沢山の人々を通して作成され最後の公開まで行ってしまった現象、それこそが正に組織風土の変化を象徴している。
Think different.はもう風化してしまったのか?
アップルCM「Think Different.」(声:スティーブ・ジョブズ)[日本語字幕]
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