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「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ」観てきました

注:この記事はファイナルファンタジーⅩ(以下FFX)を未プレイの方、FFX歌舞伎をご覧になっていない方にはネタバレを含みます。

4月7日にIHI STAGE AROUND TOKYOで開催中の「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ」を観てきました。

あの大人気タイトルのFFXが歌舞伎でどう表現されるのか、制作発表当時からものすごく興味があったのですが、結論からいうと想像していた以上に良かったです。

もともとFFXはビジュアル面で和の要素を多く取り入れていたので、歌舞伎との親和性は高いだろうなとは思っていました。
条件分岐の少ない一本道ストーリーも舞台化には向いてますしね。

それに加えて企画・演出・主演の尾上菊之助さんご自身がFFXのファンということで、オリジナルの世界観やストーリーを最大限尊重しつつ歌舞伎のエッセンスを大胆に盛り込んだ、という印象を受けました。

まず、キャラクターのビジュアル再現度がなかなかにすごい。
しかもそのまんまじゃなく、歌舞伎らしくちゃんと和装になってるんです。

さすがに舞台ではわかりませんでしたけど、上の動画や公式Photoではユウナがオリジナル通りちゃんとオッドアイになってますね😲

あと、本公演に使用されている劇場のウリである「ステージアラウンド」により場面転換がシームレスになり、また演出にはCGが多用されていますが、巨大スクリーンと音響システムのおかげでスケールの大きな映像体験ができるようになっています。

開演前および休憩中にスクリーン投影されていた映像。カメラのフレームに収まりきらないほどのスクリーンの大きさがわかりますね。
こちらはFFXでキャラクターデザインを担当された野村哲也さんがこの公演のために書き下ろしたビジュアルだそうで、「来場記念にどうぞ撮影してください」と場内アナウンスされていました。
劇場の外観(前編 昼公演)
劇場の外観(後編 夜公演)

客層は学生と思しき若者からご年配の方まで幅広く、男女比も半々ぐらいでしょうか。一人で来られている同世代の女性も沢山いましたし、いかにもオタクっぽい人もいれば、外国人客もちらほらと。

そう言えば、さすがにコスプレまでしている人は私の周りでは見かけませんでしたが、ルールーの髪型をしてる若い女性がおられました。
めちゃリアルに再現されてて、お願いして写真撮らせてもらえば良かったな〜。

このように客層の広さからも改めてFFXの人気の高さを実感します。
発売から既に20年以上が経過しているにもかかわらず、今だに売れ続け若いファンを獲得してるんですもんね。しかし当時20代だった人でも40代か。。😅

ちなみに私のFFXと歌舞伎の経験値はというと、

  • FFXは発売当時にプレイ。

  • 初回クリア後たぶん5周はやり込みした。(X-2は3周ぐらいだったかな)

  • プロの舞台演劇は大昔に吉本新喜劇(笑)とCATSをそれぞれ1回観たっきり。

  • 歌舞伎は全くの未体験。

  • 歌舞伎役者さんは大河ドラマに出演されている方ぐらいは知っている。

という程度。

開演時のオオアカ屋の口上で「歌舞伎が初めての人は?」という問いに、ざっと見た感じですが7割ぐらいの方が挙手。「FFX未プレイの人は?」では2割ぐらいでしたから、私はおそらくその日の来場者の平均値ではなかったかと思います。

公演を見る前、YouTubeに上がっていた動画でストーリーをおさらいしたのですが、ムービー&主要イベントのみの動画でも10時間超。まともにプレイすれば速い人でも初回クリアに5〜60時間はかかるRPGを(初心者だった私は100時間以上かかったっけ。。)、6時間あまりの舞台にするとなるとかなりストーリーを端折る必要がありますが、そこはうまくまとめられたなと思いました。

物語上重要なシーンのセリフがほぼオリジナル通りだったのも、原作へのリスペクトが感じられて好感が持てましたね。

とはいえ、他の方の感想などを読んでみると、やはりFFX未プレイの方はストーリーを追いかけるのが大変だったようです。

ファイガ、ウォタガといった黒魔法やポーションやエリクサーなどのアイテムは、FFシリーズをはじめRPG系ではお馴染みの概念ですが、プレイしたことのない人にはいまひとつ??だったかもしれません。

公演タイムテーブル

プログラムで脚本家の方が触れられているように、ゲーム版ではあまり深く描かれていなかったジスカルとシーモアの確執について、本公演独自のエピソードを追加して観客がシーモアの心理を理解しやすくしているのは良かったです。

シーモア役の尾上松也さんは大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では後鳥羽上皇を演じられましたが、高貴な悪役がハマる方ですね。

余談ですがグアドサラムの屋敷のシーン。シーモアの肖像画がちゃんと松也さんになってたので思わず笑ってしまいました😆

あ、「鎌倉殿〜」といえば梶原景時役の中村獅童さんが本公演ではアーロンを、北条時政役で出演された坂東彌十郎さんがジェクトを演じられていますが、ゲームでジェクトの声を担当された天田さんが昨日劇場に来られていたようで、彌十郎さんとの素敵な写真がツイートされてました。

物語のクライマックスであるティーダとジェクトの悲しい再会、そしてラストでの仲間との別れは、何度プレイしても涙腺が緩んだものですが(初回は崩壊レベル)、今回の舞台でもかなり危なくて、いつでも取り出せるようにハンカチ準備してました(笑)
周りでも結構泣いてる人いたなあ。

もちろん個人的には
「あのセリフは飛ばして欲しくなかった」
「ここのバトルシーンはこの曲じゃない」<意外と気になった
「テテテーテッテーテッテテー♪の勝利のファンファーレがない」
「あれだけプレイ中に苦労したジェクト戦が歌舞伎版ではあっさりしすぎてて、むしろシーモアの方がラスボスっぽい」
「チョコボが出てこない」
等々、細かいところでは違和感や不満を感じる部分もありましたけどね。

でもCGゲームの世界を歌舞伎で表現するというチャレンジは、物理的に制約がある中でも新鮮で面白かったです。

ルールーやシーモアの黒魔法とか、ユウナレスカの第二変態とか、「ほうほう、歌舞伎的にはそういう風に表現するのね」なんて思いながら見てました。

キーリカでのユウナの異界送りのシーンは鳥肌ものですね。

公演終了後の公式撮影タイム
公演プログラムとS席購入特典のポスター

実は公演期間の大部分が繁忙期に重なるのと、チケット代+交通宿泊費でなかなかの金額になってしまうので、行くかどうか正直ものすごく迷ってました。

しかしながらこの公演が行われている劇場"IHI STAGE AROUND TOKYO"が今シーズンで閉館することを知り、「今後再演になったとしてもこのシステムを使用した演出では観られへんやん!」ってことで決断したのが10日ほど前でしょうか。実際観に行かれた知り合いの方の評価が高かったのも大きかったですね。
結果、思い切って行ってみて良かったです。

あと数日で閉幕なので「是非行ってみてください」とはなかなか言いにくいですが、体験してみて損はないと思いますよ。

しかし来月のクレカの請求が怖い😅

おまけ。FFシリーズおなじみのトンベリ、モーグリ、サボテンダーのぬいぐるみ

4月13日追記:
10月までの期間限定で映像配信(有料)が決まったそうです。
興味あれど劇場に足を運べなかったという方は配信で体験するのも良いかもしれません。


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