まだ、お守り必要ですか?
一番大事にしている指輪をなくしてしまったかもしれない。まだなくしたとは認めたくない。そのくらいには心を預けていた。
誰からもらったわけでもない、単に私が一人で惚れ込んで購入し大事にしていただけのシルバーリング。会社にも毎日つけていた。
少し重くて、その重さが碇のようで、心地よく安定させてくれるようで。まちがいなく私のお守りだった。
大事にしているお守りをなくすのは初めてではない。私がそそっかしいからか。あるいはお守りが去っていくのか。
もういらないでしょって。考えすぎかな。
人にも、モノにも、仕事にも、音楽にも。なにかと私は依存してしまう。当たり前にそこにあったものがすっといなくなったとき、ぞっとするほど心細い。
それでも不思議なもので、ないならないで、慣れてしまうのだ。お守りなんかなくたって、気づけば一人で普通に立っている。
お守り、私の何を守っていたんだろう。
結局、気休め、幻、プラシーボである。
それでもやっぱりお守りがほしくなって、何か代わりになるものを身につけてしまう。この体一つでは浮いてしまうから、誰かにつなぎとめていてほしい。
だいぶ癒されてきたけど、この穴はきっとずっと埋まらない。今までだってうめた振りをしてきただけ。これからも埋まらない。いっきには埋まらない。時間をかけて砂が落ちていくように、ほんのすこしずつしか埋まらない。
もう誰も、何も、この穴を即席的にふさぐことに使いたくはない。
吹き抜けていく風が寒くても、がまんしろよと言いたい。
お守りなんて虚しいよ。
今日の私はちょっと悲しい気分になっているだけだ。
きっと明日になったら忘れている。
忘れて、かわいいお守りでも作り出すのだ。
虚しくて、愛しいな。
ずっとなくならないお守りがあったらな。
noteはアカウントを持っていなくても「♡」押せるので、いいなと思っていただけたらぜひお願いします。私の記事が読まれる後押しになります。 サポートも大歓迎です!未払の健康保険費用に充てさせていただきます。m(_ _)m