西部戦線異状なし
アカデミー賞にもノミネートされた「西部戦線異状なし」をNetflixで観た。
第一次世界大戦中の若いドイツ兵が主人公。西部戦線というのは、ドイツとフランスがぶつかる戦場の最前線なことで、泥沼の戦いが展開される。
映画が始まってすぐに映像の美しさに困惑する。こんなに綺麗で清潔感あふれる映像で戦争を表現できるのだろうか?戦争映画のイメージはもっとドロドログチャグチャなんだが…(例えば地獄の黙示録やプラトーン)。
違和感を抱えたまま見ていると、あえて美しく撮ることで対比を強調していることが徐々にわかってきた。
幻想的な森林と雪原、そこに横たわる死体の山。塹壕で泥水をすすりパンのかけらを貪り食う兵士と、屋敷で豪華な食事とワインをたらふく喰らう将校。ピアノの優しい調べから一転、不協和音が頭に響く不穏なBGM。
停戦協定が発効される直前にやぶれかぶれの突撃を命じる上官と、すでに戦う意欲を失くしてしぶしぶ従う兵士。
戦争映画の主人公はぎりぎり生き延びて帰還するか、英雄的な死を遂げるかのどちらかの場合が多いけど、この作品の主人公は違う。まったく意味のないタイミングで無駄死にをして終わる。
戦争は本当に愚かでバカバカしいことを、これでもかというほど見せつけてくれる「西部戦線異状なし」、Netflixに加入している人はぜひ見てみよう。
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