チミドロ表裏

「なのかな?」の裏話 08.「ブレーカー」の話(スズキナオ)

2019年3月15日に発売になったテクノラップバンド・チミドロの2ndアルバム「なのかな?」の収録曲について、リーダーのスズキナオが思い出を綴る連載です!

今回は、

08.「ブレーカー」

のことを思い出します。

この曲の歌詞は、前に書いた04.「2パターン」の頃とほぼ同時期に作ったもので、仕事をサボりまくった挙句、罰として厳しい職場に出向することになり、かなり心身ともに疲れ果てるようなミッションを課されていた状況を、割とそのまま詰め込んだ気がします。
というか、曲の歌詞を作ろうとか考えていたわけではなく、喫煙所へ向かう階段を一歩一歩登ったり下りたりしながら、そのリズムに乗せて念仏のように言葉をつぶやき、それがだんだん固まって長くなっていって、最終的にまとまった形になりました。

会社の中でもダメの筆頭だった私がその会社の親会社の方に出向することになってやらなきゃいけなかったのが、出向先にある部署の仕事を覚え、その部署のメンバーのことを細かく知り、誰がどんな能力を持っているかを上司に報告するみたいな、なんかスパイみたいな役目で、仕事を覚える能力は自分にはなく、上司には「大丈夫です。悪い人はいなそうです」ぐらいしか報告できずに物足りない顔をされ、出向先のメンバーには不気味がられ、みたいな、誰も味方のいないような状況でした。

「昨日言いましたよね?もう忘れたんですか?」と怒られる毎日だったので、スキルが毎秒失われて昨日の記憶もすぐなくなってしまうみたいな歌い出しになっていて、仕事をやめて主夫として生きていけないだろうかと考えていたこともそのまま、昔の彼女に似てる人を町で見かけて「あの人とずっと一緒にいればよかったんじゃないか」と考えたり、とにかく暗い日々の話です。

最後の方に、部屋でインスタントラーメンができあがるのを待っているとブレーカーが落ちたというような場面が出てくるのですが、それはアユミさんという古い付き合いになる友達に連れていってもらった江古田の「ママン」というスナックで、カラオケ歌ってたら店のブレーカーが落ちたけど、常連客は平然と、店のメニューである「サッポロ一番塩ラーメン」をすすり続けていた、その場面が元になっています。

何があってもうろたえるな、ラーメンがのびるからすすらなきゃいけないっていう感じ。

トラックはいつ作ったのか記憶があやふやですが、電子音楽家のブリーフさんという方がうちに遊びに来てくれたことがあって、その時、KORGの「X-3」という古い機材のことを説明しながら作ったものが元になっています。

チミドロ2nd FULL ALBUM「なのかな?」については特設サイトをチェック!

「なのかな?」の裏話 過去の記事はこちらから!


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