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代表たけしげの業務日誌「つつがある日々」11月後半

2023/11/16(木)
お客さんがほとんど来なくて心が死ぬ。こんな世界の誰からも求められていない店は閉めたほうがいい。お客さんが全然来ないときは、そういう気持ちになる。

しかし閉店間際に来たひとりのお客さんが、なかなかない金額の買い物をしてくれたのでなんとか生き返る。
寡黙な方で会話はほとんどできなかったので、心の中で拝み倒した。

2023/11/17(金)
東京から来てくれたお客さんがおり、「明日は太陽の塔を見に行きます」と言うので、ついでの民博行きを猛烈にすすめる。
「リトルプレスを売ってるお店は多いけど、こういう品揃えのところは東京にもあまりないですよね」と言ってもらえて嬉しい。

しかし本当にリトルプレス(あるいはZINE、同人誌)を売るお店がどんどん増えている。というか個人の書店自体もどんどん増えている。そして本を作ってイベントに参加する人も増えている。
これまではリトルプレスを売る店というだけで特異性があったけど、これからは品揃えや企画での差別化がどんどん大切になっていくだろう。日々の仕事で忙しく受け身になりがちだけど、自分からも情報を集めたり動いていかないといけない。と思って最近は情報集めや、人への連絡を頑張っている。

2023/11/21(火)
お店はお休み。
今度出版する本の紙を考えるため、心斎橋のペーパーボイスへ。

知らない方のために説明すると、ペーパーボイスは平和紙業という紙メーカーが運営している紙のお店だ。店内にある紙見本を見て、好きな銘柄を指定して1枚から購入できる。

小脇にデザインの案を印刷した紙を抱え、紙見本とデザイン案を見比べ、本の内容とあわせてイメージを膨らませる作業が好きだ。本造りの工程の中で、いや、全仕事の中でも1、2を争うくらい好きかもしれない。

1時間半ほど過ごし、候補の紙を選び終える。カバーのイメージに一番近いと思った紙は在庫がなく、取り寄せてもらうことになった。
今日見つけた紙で本を作れたらいいのだが、いいなと思う紙はたいてい高価なので、見積もりを取ったら現実を突きつけられ、どこかで妥協せざるを得ないことになる。
妥協は必要だけど苦しい作業でもあるので、好きに妄想しているときが一番楽しい。

数枚の紙を購入し、取り寄せ代金も含めてお会計は1500円ほど。
現金のみということで財布を開けたら1000円しか入っていなかった。現金を使うことが減ったため、手持ちを使い切ったのにお金を下ろすのをすっかり忘れていた。キャッシュカードも家に置いてきてしまっている。
情けない気持ちで「いま1000円しかないので取り寄せの分は引き取りの際にお支払いしてもいいでしょうか…」と頼んだところ、「本に使ってくれるなら」と取り寄せ代500円をディスカウントしてくれた。なんと優しいことか。
恩返しに、カバーか表紙か見返しか、どこかにはここのメーカーの紙を絶対に使おうと心に決めた。

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