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目の前で人がブッ倒れてたら助けてやってくれ日記

自分は病気を持っていて、しかも当初、処方されていた薬が全っっっく効き目がないものだったので(ヤブ大学病院!)、中学から高校1年の夏までの4年くらい、よく学校や街中でブッ倒れてたんですわ。
今は薬も効くモノに替えてもらって、もう20年以上、そういうことは起きてないんでYAT安心!宇宙旅行なんですけど、やっぱり意識を失ってブッ倒れる可能性があった時期は、普通に生活していても頭の片隅にそのことが浮かんで、恐ろしい日々を過ごしていたものでした……。まだ中高生だったしね。

で、先日も薬を処方してもらうため、隣町の病院に行って(効かない薬を延々と出し続けた大学病院に行かなくなった経緯は、また別の話……)、帰りに駅前のフードコート内にある築地銀だこで、夕飯として九条ねぎマヨ特製ソースたこ焼きを食べてたんですよ。期間限定で九条ねぎ2倍だったんですけど。
で、そこのフードコート、冷水機がないから、アチチアチチとGOLDFINGER '99みたいな感じになりつつも、美味しいたこ焼きを味わっていたんですけど。

銀だこ 九条ねぎマヨ特製ソース

銀だこの目の前にあるコンビニを見てたら、50~60代くらいのおじさんが、すごいフラフラとしながら歩いていて。「なんか変だな?」と思って見ていたら、ものすごい勢いで、おじさんがブッ倒れて。
「えっ!????」と思って、地面に這いつくばってるおじさんに「だ、だ、大丈夫ですか????」って声をかけて駆け寄ったら、おじさんが「すいません、すいません、大丈夫です」って言うんだけども。自分で立とうとしてるのに立ててないんだよね。タモリさんの産まれたての子鹿のモノマネみたいに、足がガクガクしちゃっていて。
いや、それ、大丈夫じゃないやつだから!!!!

「あー、じゃあ手伝いますんで、手を握ってください、起こしますんで」と言っても、おじさんは「大丈夫大丈夫……」の連呼で、全然こっちの手を握ってくれない。
これは強硬手段かしらんと思って「あ、じゃあ肩を貸しますんで、それで起き上がりましょう」と、無理やりおじさんの片側の肩を組んで持ち上げようとしたんだけど、やはり成人男性は重くてひとりじゃ持ち上げられない!

おじさんがブッ倒れた時は注目していた周囲の人たち、たぶん酔っ払いだと思って足を止めてくれないんだけど、まったく酒の匂いはしないんで、たぶん病気の発作か何かなんですよね。それこそ、中高生の時の自分みたいなやつ? で、さらに自分が手伝っていることで「なんとかなるのかな……」と思って、気になってる人も駆けつけはしない。
「これが『ウォッチメン』のコミックで、ロールシャッハがクライムファイターになるキッカケとなったことでお馴染み、キティ・ジェノヴィーズ事件で発生していたという、心理学で言うところの傍観者効果か……」と絶望しかけていたところ、ここ冷凍都市・神奈川に、暖かな助けの声が!

主要キャラクターのひとりであるロールシャッハが語った過去のひとつ、キティ・ジェノヴィーズ事件は、米国で実際に起きた婦女暴行殺害事件である

「あの……手伝います!」

それは、まるで無垢な少女のように可憐な女性の声……。
感動して振り向くと、そこにはなんと……小学3年生くらいの背丈の、可愛らしい女の子の姿が!!!!

いや、本当に無垢で可憐な少女が来ちゃったよ!

足をガクガクとし続けるおじさんの、私とは反対側の肩を持ち上げようとするランドセルを背負った女の子でしたが、当たり前のように、この年齢の女の子では力が足りない。もうこれ、どうすれば良いんだ!? 助けてロールシャッハさん!

と、そこで、足がガクガクしたおじさんの両肩を組んで、薔薇と眼球と血痕があしらわれたヴィジュアル系バンドの物販Tシャツを着たオッサンと、ランドセルを背負った女の子という、異色の2人組が必死に持ち上げるという光景に、ようやく事態の深刻さを受け止めてくれた、成人男性2人が「手伝います」と駆けつけてくださった。
ロールシャッハさん……まだ世界に絶望するのは早かったようですよ……。

「ウォッチメン」、コミックは敷居が高くて……という人は、実写映画からでも良いかも。まあ、映画では確か、キティ・ジェノヴィーズ事件についてはカットされてたけど……

「これ、寝かせた方が良いのでは????」という男性たちの案に、当のおじさんが「いや、一度、立ってしまった方が安全だと思うので……」とコメントしたこともあり、4人でエンヤーコラサとおじさんを持ち上げ立たせると、なるほど、少しは安定したような……?
「ありがとうございます、ちょっと壁に背をかけて休憩したら、もう大丈夫だと思いますので……」というおじさんの言葉を信じて、4人は解散したのでありました。

帰りの小田急線を待っている間、「ああいう場合、おじさんが嫌がったとしても、救急車を呼ぶべきだったのかなぁ……」と「もしかして当初、人が集まらなかったのは、この自分が着ている薔薇と眼球と血痕があしらわれたヴィジュアル系バンドTシャツを、みんなが訝しんで……?」という、2つの答えの出ない問いが、頭のなかで浮かんでは消えたりしていたのでした。

いやまあ、でも目の前で人がブッ倒れてたら、ちょっとは心配して集まろうよ、マジで! あと最近の小学生、すごく偉いね! という主張をしたい日記でした。完。


※この先には、文章も画像も何もありませんが……私の病院代に、なります!

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