戦略的出不精も辞さない
それにしても朦朧とするのは満腹のせいではなく、もう一つ確かな要因がある。現在職場内で猛烈に流行しているピクミンブルーム。歩数によってレベルが上昇し、また育てられるピクミンの種類が増える、というもの。もともとは鹿田が監査中の息抜きにこっそり始めたものだったのだが、すでに2人には歩数を圧倒的に抜かれている。因みに2人はまだ1週間ほどしか稼働していないが、ひとりは、約7万歩、所長に至ってはすでに9万6千歩、10万台間近、といったところである。因みに僕は何の不手際か、3万程度しか歩いていない。昨日は珍しく所要のついでに公園にまで寄って歩いてきたというのに、ああ、上には上がいるものだ。
あ、鹿田です、よろしくね。
そんなこんなで今日は休日出勤で、監査もひと段落したことだしと事務所内の片づけをしていた。所長が無駄にうろちょろ歩き回っているなあと思って聞いてみたら案の定、歩数を稼いでいたし、もう一人の職員は出たはいいもの中々返ってこず、これも歩数稼ぎに出ていたに違いない。鹿田も鹿田で昼は歩数稼ぎに態々、所長とともに遠くのセブンまで歩いて買い物に出た始末。
僕とて皆に負けておれぬと意気揚々と強い意志の下出かけたわけであったのが、目的のセブンにつく前にタクシーを呼びたいと真剣に願っていた。(事務所から目的のコンビニまで精々1キロ強である)しかしかわいいピクミンたちがあちらこちらから木の実をあつめてきたり、新しいピクミンが生まれるなどモチベーションは断続的に高まり、また仲間うちで協力してできるミッションなどもあり、まだまだ飽きる気配はない。
またセブンに向かうその一キロ弱の道中にも、ピクミンが知らぬ神社の写真をもって来たり、または道中今まで見つけることのなかった、これまた小さな神社を見つけては、(少し探検してみるか!)となって銀杏の落ちる参道を歩いてみたり、お参りしてみたり。と、出不精鹿田にまた新たな外出モチベーションが現れたことは大きい。
自分の街、親しい街の知らない顔を発見する。
そういった純粋な好奇心にわくわくしながら(こんな季節でも過ごせるのか)、と少し自分を俯瞰して驚いたりもしたが、それはただただ夏の消化不良をやけくそに思考転換しているだけかもしれないのであまり深くは考えまい。
しかしまあ程よく(否、万年運動不足の鹿田にしてみればかなり)運動した後に寄ったコンビニであったので、ついつい生理的欲求に素直になってしまうことが想定外の迂闊な点。それはそれは気持ちの良い程、鹿田は上司とともに籠に食品を入れた、入れた。冷凍食品のチャーハンに、たこ焼き、グラタン、諸々。そして戻り路では鹿田の右瞼に物貰いができているため、ついでだツルハに寄ろうということになり、そこではナイススティックを購入するというバッドステップな暴挙にでた。所長が言うにそれはこの地方には普段売っていない珍しいものだとか。
さてさてなんとかタクシーも拾うことなく職場、コンビニ間の大旅行を成し遂げた鹿田の、その満腹中枢はすでに機能停止(あるいはストッパーが高圧力の蒸気とともに吹っ飛び)し、すべてというすべてを平らげた。そうか、机の上の食べ物がすべてなくなるから完食することを平らげるというのか、など上辺でしか物事を考えられないほど、その時すべての鹿田の血液は胃袋に集中していて、数分後、鹿田は必然的に眠くなって、ねた。生理的現象だから仕方のないことである。鹿田だけに。
さて、この間に30分ほどの鼾の音がする空白の時間のあることを白状しよう。しかしそれによって再び我が血液は程よくめぐりだし、記事を書くことの効率を上げるのである。
と言ったところでランナーズハイで書きだしたはいいものの、今現在それは収まってしまったので再び眠気が顔を出し漸く(どうしようもない)といった、平常のペースまで戻る。戻るはいいが、どうしようもないのである。致し方がないのである。ここにビールでも一つあれば話は別だが生憎職場にそういったものは当たり前においていない。やはり今日も今日とて万事休す。
だから夏以外の季節は困るのである。「おーい夏よぅ」、撫でられた猫のような声で夏を呼んでみても、疾うに夏のやつは潔く来年へと歩んでいる。僕もそうしたいが、そのためには秋と〇という二大巨頭を倒さねばならぬ。秋に打ち勝つには紅葉を狩りに、自身の意思で秋風吹き渡る外界に出なくてはならないし、〇に打ち勝つには裸一貫で憎き真白い彼の代名詞に、だいのじになって歯向かわなければならまい。敵は手ごわい。今年はまずその戦略を立てる為自室にこもることはやむを得ん。いつしか倒してやりたいがはやる気持ちを今は無理くり抑えて、虎視眈々と先をにらむ立派な鹿田である。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。まずは敵の寝どころに侵入し、時を待つ。
ではまた。
【追記】
好き、ありがとうございました!
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