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消えゆく遺産iPodにお世話になり続けて14年経った

 先日、ついにipodの生産が終了するという個人的に悲しいニュースを見た。スマホで音楽をストリーミング再生することが主流となった現代にはiPodは需要に見合わなくなってしまったのだろう。感謝しきれないこの機器のことをつらつらと記述する。
 
初めてipodを手にしたのは小学校6年生の時に誕生日かクリスマス。ipod shuffleの1Gを買ってもらい、ブルーの滑らかな機器に当時は興奮したのを覚えている。父は自分ももっていないのに、とぼやきながら、隣で母がこれくらいの年齢で音楽に興味を持つのは当たり前だ。そう言ってくれて買ってくれたことを覚えている。それからCDショップに行って5枚レンタルすると1000円になる地元のCDレンタルショップで音楽を漁っていた。家にあったspeedや宇多田ヒカル、安室奈美恵の音楽に出会ったのもこの辺り。車で流れていたコブクロ、b’zもCDショップにいってから知ることになったので、音楽について本当に何も知らなかった。popsだったりアニメソングを聴いていた。

 2代目はiPod nano8G。これも誕生日に買ってもらった。中学生が終わる頃のどこかのタイミングだった。当時周りの友達はPSPに音楽を入れて持ち歩いていたが、一度もPSPには音楽を入れることはなかった。(そう考えると宝の持ち腐れだった。)結局高校を卒業するまで使っていたので、1番長く愛用した機器だと思う。中学生の終わり頃からバンドサウンド、いわゆるロックというジャンルを中心に聴くようになった。アニメから知ったアジカン、バンド名の響きが良くて聴き始めたチャットモンチー、を筆頭に当時流行っていたRADなどを持ち歩いて通学中に聴いていた。当時明るい色を持ち歩くことがかっこいいと思っており、オレンジのイヤホンとオレンジのスマホカバーを使っていた。今思うと恥ずかしい。

 大学に入る頃、nanoに寿命が見えた。3度に渡る洗濯事件を乗り越え、それでも不死鳥のように再起動する勇敢な戦士の幕切れだった。携帯機器としての役目を終えたiphoneが音楽機器に変貌して、大学時代を支えることとなる。Podcastを利用できることを知ってからは、自宅でダウンロードしたものを通学中に聴くようになった。語学関係のものが多かったように思える。洋楽を聴き始めたのもこの頃。前までただかっこつけて聴いている偏見を持っていたけど、大学の授業で洋楽と洋画を流し、歌詞やセリフについて考える授業を受けたことがあり、そこから興味を持つようになった。Carly Rae JepsenやSam Smith, Adele, Ed Sheeran等、皆知っているという(当時自分は知らなかった)音楽に手を出し始めた。携帯として使っていた期間も含めると、4年程使っていたのでnanoにも劣らない活躍である。電池がいよいよ1日持たなくなり解雇となった。そしてまたiPod nanoへと返り咲く。

 2代目iPod nanoiPhoneに比べるとコンパクトな形状となっていて、ランニングに音楽を持ち運ぶようになる。イヤホンが邪魔だった覚えがあり、コードレスのイヤホンがあればいいのにと思っていた。現代はそれが安価で実現しているので、素晴らしく発達したなあと感じる。fifth harmony等ランニングに合うテンポの良い曲を良く聴いていた。1Gを利用していた身からすると16Gなんてとんでもない世界だが、それでもこの容量に満足できなくなっていた。アニメが好きなのにアニメソングはかっこ悪いと思うようにしていた。今思うと恥ずかしい。

 社会人になって初めてのボーナスで32GのiPod touchを購入した。これが今の実用機にあたる。会社の上司がヒップホップ、ラップを好んで聴いていたこともあり(当時はダサいと思っていた)今まで聞くことのなかったジャンルに足を踏み入れる。Chill musicと呼ばれる独特のテンポの曲はお洒落だと思い始める。これまで聴き続けている宇多田ヒカルのジャンルがpopsというよりR&Bに近いことからこのジャンルにも手を伸ばす。「音楽は何聴くんですか?」の質問に 「R&Bやブラックミュージックが多いですね」と答えるようになっていた。恥ずかしい。Vaundy、sirup、king gnu、青葉市子等ジャンルに絞られない音楽に触れる。眉村ちあきなど、まだメジャーになっていないようなマイナーミュージックを聴くことがかっこいいと思っている。恥ずかしい。

 最近はテレワークの影響で、歌詞のない音楽を聴くようになる。海外に行けないこともあり、ボサノヴァやjazz music、アフリカンなどワールドワイドな音楽は自宅にいながら気分が高揚する。一人で暮らし始めてテレビもあまり見ない一方でラジオを聞くようになった。オールナイトニッポンを週のどこかで聞いている。オードリー・菅田将暉率が高い。ただ、爆発的な通信料の増加により、32Gのうち半分をOSに取られてしまって16Gと変わらない量しか持ち歩けないという現状に陥っている。近いうちにまた買い替えに走ることになりそうだ。次は64Gを買えば30台代になるまでは使えるだろうか。

 iPodを利用し続けるのは、携帯の電池容量を使いたくないから、大量の好きな音楽を持ち歩いていたいからという2点が大きい。もっぱらサブスクリプションで音楽を聴くことが増えた。サブスクリプションyouyubeは独自のプレイリストからインディーズ等良い音楽に出会う偶然性があることが魅力的だ。知らない世界へといつのまにか自分を連れて行ってくれる。時代の影響でnanoも販売していないので、今後音楽の聴き方は変わるかもしれないが、iPodへの敬意は忘れない。


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