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須崎 明・著『そうだったのか! CR修復』より―見て見ぬふりしたいマージンの褐線①

2017年に発刊しご好評いただいた須崎 明先生・著『そうだったのか! CR修復』を3月に増補改訂版として発刊します!
そこで特別に! 本書Ⅰ章「CR修復のトラブルシューティング」から「見て見ぬふりしたいマージンの褐線」をウェブ版として公開します.

Ⅰ エピソード症例

症例Ⅰ:1にメインテナンスを目的に来院した34歳男性の口腔内写真を示す.メインテナンスの際,上顎前歯の変色が気になるとのことであった.
変色は CR充塡周囲の褐線が原因と診断し,カーバイドバーで形態修正後,シリコーンポイント(ダイヤモンド粒子入り)で再研磨した().患者の満足が得られたので,同部位は再修復を行わずに経過観察とした.

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症例Ⅱ:3に前歯の変色を主訴に来院した45歳男性の口腔内写真を示す.
歯頸部の変色は症例Ⅰと同様に CR充塡周囲の褐線が原因と診断し,カーバイドバーで形態修正後,シリコーンポイント(ダイヤモンド粒子入り)で再研磨した.また隣接面の変色の原因はう蝕のため,感染歯質を除去することとした().

しかし,研磨後も患者の満足が得られなかったため,隣接面部の感染歯質とともに歯頸部のCRを除去した.にCRと感染歯質除去後,外形線全周にべベル(エッチング斜面)を付与した同部位を示す.その後,セルフエッチングタイプのワンステップボンディング材を塗布,光重合し,CRを充塡した.

続いてCRのオーバーフィリング部を明瞭にするためにプラーク染色液を塗布し(),カーバイドバーにて形態修正した後,シリコーンポイント(ダイヤモンド粒子入り)で研磨した().

に1カ月後の同部位を示す.経過は良好である.

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Ⅱ 褐線に対する補修と再修復の考え方

CQ(Clinical Questions):辺縁着色または辺縁不適合が認められるコンポジットレジン修復物に対して,補修(辺縁の封鎖,形態修正・再研磨および補修修復)は再修復と同等の効果を発揮するか.

推奨:辺縁着色または辺縁不適合が認められるコンポジットレジン修復物に対して,補修(辺縁の封鎖,形態修正・再研磨および補修修復)は再修復と同等の効果を発揮する(エビデンスレベル「Ⅲ」).よって,健全歯質をより多く保存できる補修を行うよう推奨される.(推奨の強さ「B」)

(『う蝕治療ガイドライン』より)

このように『う蝕治療ガイドライン』でも健全歯質をより多く保存できる形態修正,再研磨は推奨されている.しかしながら,再研磨でも患者の満足が得られない場合は再修復の対象となる.補修と再修復のメリット・デメリットを表1に示す.

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それでは,なぜ褐線ができてしまったのだろうか.この対策として「接着への配慮」「CRの重合収縮への配慮」「形態修正・研磨への配慮」「咬合力への配慮」が必要と思われる.

次回へ続く

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