須崎 明・著『そうだったのか! CR修復』より―やりたくないのに,やらなくてはならない2級CR修復①
2017年に発刊しご好評いただいた須崎 明先生・著『そうだったのか! CR修復 増補改訂版』を先日発刊しました!
先日公開した「見て見ぬふりしたいマージンの褐線」に続き,「やりたくないのに,やらなくてはならない2級CR修復」ウェブ版として公開します.
Ⅰ エピソード症例
1に「歯に物が挟まる」を主訴に来院した30歳女性の口腔内写真を示す.
患者によると,かかりつけの歯科医院で隣接面のう蝕を指摘され,接触点の回復が容易なメタルインレー修復を提案されたとのことだった.しかし,患者はできるだけ歯を削らないCR修復を希望した.
そのため担当医は患者の希望に応えてCR修復を行ったものの,治療直後から食片圧入が気になるようになった,とのことであった.
そこで充塡済みのCRを除去したところ,MIコンセプトに基づく歯質の切削が施してあり,感染歯質の取り残しも認められなかった(2).
続いて隔壁(コンポジタイト3D:モリタ)をしたところCR修復が可能と判断された(3).上顎右側第二小臼歯にフロアブルCRおよびペーストタイプCRを積層充塡した後,再度,上顎右側第一小臼歯に隔壁して,同様にCRを充塡した(4).
CRの積層充塡後(5),形態修正,研磨をした.再修復後は食片圧入も消失し,経過良好である(6).
Ⅱ 前医の2級CR修復は問題があったのか?
CQ(Clinical Questions):臼歯隣接面(2級窩洞)の修復法として,直接コンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に違いはあるか.
推奨:臼歯隣接面(2級窩洞)に対するコンポジットレジン修復とメタルインレー修復の臨床成績に有意な差はない(エビデンスレベル「V」).
しかし,コンポジットレジン修復は,MIの理念に基づいてう蝕除去を行うため,健全歯質を可及的に保存し,審美的な修復ができる.よって,確実な接着操作とコンポジットレジンの充塡操作が可能であれば,臼歯隣接面(2級窩洞)に対して直接コンポジットレジン修復を行うことが推奨される.(推奨の強さ「C1」)(『う蝕治療ガイドライン』より)
前医は確実なCRの充塡操作を可能とする隔壁の器材と技術がなかったため,CR修復ではなくメタルインレー修復を患者に提案したと考えられる.その判断のもと,メタルインレー修復をしたとしても臨床上は問題なかったと思われる.
Ⅲ 2級修復のポイント(隔壁のポイント)
『う蝕治療ガイドライン』によると,2級CR修復の難易度は7のように示されている.すなわち,隣接面に限局した小さな窩洞では修復操作は容易であり,隅角を超えた比較的大きな窩洞では修復が難しくなる.
言い換えれば,2級修復は隔壁ができればCR修復で対応可能である.
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