ローマ数字を読めますか?
ビジネスに使えないデザインの話
ビジネスに役立つデザインの話をメインに紹介していますが、ときどき「これはそんなにビジネスには使えないだろうなぁ」というマニアックな話にも及びます。今回の話は、あまりビジネスには使えなさそうな話です。noteは、毎日午前7時に更新しています。
ローマ数字って?
ローマ数字(Roman numerals)とは、古代ローマで生まれた数字表記法で、中世後期までヨーロッパで一般的な数字表記法でした。数字はアルファベットの組み合わせで表されます。現代では、7つの記号を使って表します。時計に使われるのをときどき目にしているはずです。
だから時計くらいの数字まではまだ読めるんですけど、それ以上になると見知らぬ文字が出現してきます。
まずは1から10までのローマ数字を見てみましょう。
1=I
2= II
3=III
4=IV
5=V
6=VI
7=VII
8=VIII
9=IX
10=X
ローマ字の「I」(アイ)と「V」(ブイ)と「X」(エックス)を使って表現します。「I」は「1」を、「V」は「5」を、「X」は「10」を表しています。さらに上の数字も含めての表記法は以下の通り。ちなみに「ゼロ」はありません。
I =1
V =5
X =10
L =50
C =100
D =500
M=1000
減算則
位の小さい数を大きい数字の左に書くことで、右の数字から左を引いた数を表すことができます。これを減算則と言います。しかしこれを使うのは「4」がつくものか「9」がつくもののみ。
IV=4
IX=9
XL=40
XC=90
CD=400
CM=900
しかし時計の場合、「4」はIIIIと表記することが多くあります。これはIVだとVIと識別が難しくなるから(※1)。
ローマ数字↔アラビア数字
さてこれはアラビア数字にするとどうなるでしょうか?
最初のMは「1000」。
次の「M」の前に「C」が来ているのでこれは減算則を使って「1000-100」で「900」。
「L」は「50」で「X」は「10」でこれが2つなので「70」。
最後に「VII」は「7」。
よってこれは……
逆に2022(年)をローマ数字をつかって表現するとどうなるでしょうか?これはけっこう簡単だと思います。1000が2つなので「MM」、10が2つなの「XX」あとは「2」なので「II」。というわけで……
となります。ではこちらの写真はどう読めますか?
ADは、Anno Domini(アンノドミニ )の略で、「主(イエス・キリスト)の年」という意味です。建物の建設年がローマ数字を使って記されているわけです。それにしてもややこしいですよね(笑)。
ローマ数字の読み方
『ルパン三世』は誰も知る漫画・アニメですが、この「ルパン三世」を英語で読むとどうなるのかご存知でしょうか? ルパン三世のテーマ曲がヒントです。イントロでコーラスが入るからです。その内容がこちら。
というわけで「III」は「Third(サード)」と読み、その前には「the」をつけるんです。しかしややこしいことに第二次世界大戦は、「World War II」と表記するのに「the」はつきません。「World War Two」と読みます。または「the Second World War」となります。これに関しては、英語を話しているときにわたしは今でもときどき間違えます。
アラビア数字
アラビア数字(英: Arabic numerals: 通常は、digitとかfigureという表現をします)は、皆さんが普段使っている数字「 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9」です。起源は、インド数字。しかしヨーロッパにはアラビアを経由して伝わったため、アラビア数字と名付けられました。日本にもその名前で伝わったため、日本でも「アラビア数字」と呼びます。そのもとの起源は紀元前にまでさかのぼりますが、7世紀になって「0」が発見(または発明)され、現在の形になるのは、16世紀に入ってから。そしてヨーロッパでこのアラビア数字を広めたのは、あの「フィボナッチ数列」で有名なイタリアの数学者、レオナルド・フィボナッチです。
フィボナッチ数列とは、前の数字を足し続けてできる数列です。
前後の数字の比率は、徐々に黄金率に近づいてきます。またこの数列をつかって螺旋を作ることができます。これをフィボナッチスパイラルと言います。この螺旋はひまわりの種の配列など、自然界の至るところに存在しています。
フィボナッチとその後に発明された印刷技術(1450年頃)により、アラビア数字はヨーロッパに広がりました。そして計算のしやすさは格段に向上しました。
ローマ数字の起源
ローマ数字は古代ローマ帝国と密接な関係にあるシステムですが、その起源は不明です。いくつかの説があるものの、すべて推測にすぎません。そのうちのひとつはこのようなものです。
古代ローマ人は元々農耕民族でした。羊の数を数えるのに木の棒に刻み目を入れていきました。柵から1匹ずつヤギが出て行くたびに刻み目を1つずつ増やしていきました。3匹目のヤギが出て行くと「III」と表し、4匹目のヤギが出て行くと3本の刻み目の横にもう1本刻み目を増やして「IIII」としました。5匹目のヤギが出て行くと、4本目の刻み目の右にこのときだけ「V」と刻みました。このときの棒についた刻み目は「IIIIV」となります。6匹目のヤギが出て行くと、刻み目の模様は「IIIIVI」、7匹目が出て行くと「IIIIVII」となります。9匹目の次のヤギが出て行くと「IIIIVIIII」の右に「X」という印を刻んみました。そして棒の模様は「IIIIVIIIIX」となります。
31匹のヤギは
と表します。このように刻んでおくと、夕方になってヤギが1匹ずつ戻ってきたときに記号の1つ1つがヤギ1匹ずつに対応していて照合しやく、便利でした。ヤギが戻ると、記号を指で端から1個1個たどっていき、最後のヤギが戻るときに指先が最後の記号にふれていれば、ヤギは全部無事に戻ったことになります。
Excelでローマ数字に変換できる関数
おそらく使う機会はあまりないかもしれませんが、Excelの関数には、アラビア数字をローマ数字に変換するものがあります。
この関数の()のなかにアラビア数字を入れるとその数字に対応したローマ数字を返してくれます。
現代のヨーロッパでの使われ方
ヨーロッパでは、ローマ数字を見かける機会がけっこう多くあります。そして独特な使われ方をしています。こちらの写真はリトアニアにあるあるお店の営業時間を示したものです。「I」から「VII」は曜日を表しており、キリスト教圏ですので、始まりは「月曜日」です。日曜日は「休み」。
ということで「VII」が休みの日曜日です。
その他にもローマ数字が建物の階数を示すことがあります。「138-III」と表示されていたら、3階の「138号室」というわけです。
まとめ
モールス信号ほどじゃないのにしろ、この知識を獲得したことで活かされる場面に遭遇することはそれほどないことでしょう。しかしヨーロッパを頻繁に訪れたり、ヨーロッパの文献にふれる機会が多い場合なら、この知識を使える場面も少なくないかもしれません。
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参照
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