自分史的なクリッピング史料

自分が大学に入った理由は何か?など考えたこともなかった。基本エスカレーター入学だったし、高校から始めたホッケーを体育会でずっと続けていて、授業なるものはほとんど出席していない、語学以外は。それでも大学3年時には必要単位の取得は終わっていて4年時には就職戦線のみ。今では後悔というものとは違い、その時に二刀流ができていればなぁ~とついつい思う。でももう遅い。大学の役割は多様化の時代に色々な可能性があると思う一方で、社会人へのステップをシームレスで繋いでいこうという試みもより現実的で具体的だ。それがよいのかどうなのかは時間が経過しないとわからないと思う。

2024年3月6日 日経 大学 UPDATE  知の現場 京都先端科学大学
企業の技術開発 学生挑む

この記事は見出しを読んで、おっと目を向けた記事。同大の工学部が企業の即戦力人材になる学生を育てている、というリードで始まる。学生が社会課題解決や企業の課題解決に向けてプロジェクトに取り組む様子はどこの大学でも同じなのだろうけど。何せ、大学の目的として背景には企業に評価される学生を育てていきたいというものが明確にあると思う。

同大の2年目となる2023年度には200人が参加し、工作機械の改良などに挑んだそう。結構な人数をかけている。学生側はプロジェクトの参加によって自身をみつめ、自らの適性を判断し就職に役立てていきたいという自発的な動機がある。

同大の「キャップストーンプロジェクト」では、同大と連携する企業が学生に課題を出し、それを4人チームの学生がその解決に取り組むとある。ここでは工作機械に用いるモーターの冷却システムの改良に取り組んだことが紹介されていて、モーター冷却用の油が通る溝を最適な形状にするためのアイデアを出し合い、モーターの電力消費量を抑えるために、効率よく油が流れる構造を探ったとの学生のコメントが。このあたりは専門ではないのでよくわからないけど省電力は誰もが望むところかと。

最初のステップはメーカー工場に赴き、工作機械を知るところから始まり実施計画を策定すること。CADで溝のモデルを設計し、シミュレーションソフトで解析。解析した回数は100回以上にも及んだとある。後に配賦された40万円という予算で試作機を製作。その後改良を重ね企業側に発表。そこではチームへの投票が実施された。

プロトタイプを企業の論理に縛られない学生のプレーンで自由なアイデアを組み込むというのは手法としてはいいなぁと思う。この記事では触れられていないが、イベントで終わらせることなくその後課題提供企業はそれをどう汲み取ったのか?その後はどうなったのだろうか?が少々気になる。未だ始まったばかりで企業側の態度も確固としたものではないかもしれない。

2023年度のプログラムでは著名な企業を始めとして27社が協力し、3、4年生で50チーム、200人が参加したという実績(事実)も関心が向く。50チームのアイデアはどんなものだったのだろうか。学長さんは、実際の課題だからこそ、学生側の知識不足の認識であったり、いわゆる気づきをリアルに与えることができるというコメントは至極ごもっとも。

同大の工学部は2020年に新設されたばかりで、気合も入っている。そして理事長は著名な経営者でもあり、「偏差値教育からの脱却」を掲げていらっしゃり、実学を学び早期に社会人での活躍を大学からリードしていくことを目標としている様子。また同大の工学部は少人数での運営を維持していて、対象学生数に対して教員を十分にあてがって細やかな指導を特徴にするといった戦略とのこと。これは換言すれば、教員と学生の間隔を密にして、ある意味同等な立場で研究開発を実施していくにはその方がベターだろうということ。今では先生という立場も昔と違って " 偉い先生 " ではなく、一緒に悩みながら学生と共に解決策を探るという態度がより求められているのだろうかと勝手に推測しつつ。

さて、最後の下り(段)が最も自分の関心をひいた箇所。同大工学部の授業は全て英語で執り行われているらしい。日本人の学生は2年生までに、会話、文法、計14の英語科目を履修するとある。大学での英語の習得はどこまで求めていったらいいのだろうか。外国人もいるようなので、英語でのコミュニケーションも必然ではあろうと思うので、機会或いは場の提供という意味ではある意味半強制的でもあるので意義がありそう。だいたいの意思疎通はできていたと評価するコメントもあって、その体験が大学だけで終わって欲しくはないなぁと思いつつ。

だからと言って外資系企業への就職を勧めるわけでもなく、ここで体験できた個人の知見は生涯に渡ってどう生かされていくのか?という問題だと思うけど、気になるプロジェクトだ。専門用語はだいぶ覚えられるだろうけど、時間的にはその時だけが密になって、その後記憶の希薄化が進むのかそれとも、どうやって維持・発展させていくのかまでケアできたらとも思う。きっと大学の在り方自体の密度も濃くなる筈だと思わせてくれる記事。

ふんわりしているけど、専門性とグローバル、そして自身の生涯への還元という大きなテーマに注目しているというまとめなのだろうか。

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