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【小説】あと82日で新型コロナウイルスは終わります。

~通夜・告別式は黒マスクが礼儀?~

「誰かいらない黒マスク余ってない⁉」

今朝、出勤すると受付スタッフがいろんなスタッフに聞いてまわっていた。

「どうしたのいきなり? 息子さん、黒マスク姿でお洒落したくなったの?」

アキナがそう聞くと、受付スタッフは首を横に振った。

「違うわよ。急に義理の伯父さんが亡くなったから、お通夜に出なくちゃならなくなったんだけど、黒マスクをするのが正しいマナーみたいなの。」

「ええっ⁉ そうなの?」

アキナは驚いた。

アキナは昼休憩中にスマホで検索したが、『通夜・告別式には、白マスクでも黒マスクでもどちらでも良い』とあった。それを、その受付スタッフに伝えると、

「私以外の親族がみんな黒マスク姿なのに、私だけ白マスクだったら、後々なにか言われるかもしれないから、仕事の帰りにいろんなお店をまわってみる。それでもなければ、黒いハンカチで手づくりしてみるわ。三人家族だから、3枚必要よ。こんなことなら、黒マスクを見かけたときに買っておくんだった。」

と言って、彼女はため息をついた。

コロナ禍では、冠婚葬祭マナーも混乱していた。

「三人で喪服に黒マスク姿で行くのね? 」

とアキナは念を押すと、その受付スタッフは、

「それだと全身真っ黒集団になっちゃうから、お通夜する場所までは白マスクで行って、親戚の半分以上が黒マスクだったら、そこで黒マスクに変えるわ。」

と言った。

まだまだ夏の暑さが厳しい中、喪服に黒ストッキングで出かけて、お香典や数珠や黒ネックレスや黒ネクタイや黒い靴を準備するだけでも大変だろうに。

「3密になっちゃうから、すぐに帰ってきちゃう予定だけどね。」

彼女はそういうと、スマホを取り出して、近くのお店に黒マスクが売ってないか、知り合いに余っている黒マスクを持っている人はいないかどうか、LINEで情報交換し始めた。

新型コロナウイルスが終わるまで、
あと82日。

これは、フィクションです。

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