ひとりそたぶ537 自動販売機(3回目)

537回目は「自動販売機」です。3回目です。

何か単独公演のラストで20分位掛けてやるタイプのネタですね。

ではご覧下さい。

オーバーキャストポラリス
コント/全ては無に帰す

最上:(自販機を設置している)

北尾:おっ、おじさんが知らない自販機置いてるな。すいませーん。

最上:お客さんかい?丁度良かった新しい自販機試してみないかね?

北尾:変わった自販機探してたから丁度良いや。これは何を売ってるの?

最上:「無」だよ。

北尾:ワッツ?

最上:この自販機は「無」が売られてるんだよ。

北尾:この人関わっちゃいけないタイプのおじさんだった。

最上:「無」以外は何も無いよ。

北尾:あれよ。形のある何かしらはあれよ。

最上:おじさんが丹精込めて作った「無」があるよ。

北尾:無に丹精込めたらそれは最早、無じゃないぞ。

最上:千円で買えるよ。

北尾:何も無いのに千円も払えねえよ。他当たるわ。

最上:でも君はきっと欲しくなると思うよ。おじさんはいつでもここで待ってるからね。

北尾:自販機あるならお前要らんやろ。じゃあな。

   しっかし変なおじさんだったなー。千円出して何も無い物を買う馬鹿居ねえだろ。

   

   

   …………

      

   


   買います。てかマジで居たんだ。

最上:三日振りですね。きっと戻ってくると思いましたよ。

   さあ、自販機に千円をお入れなさい!!さすればきっと「無」が手に入りますぞ!!

北尾:(千円札を自販機に入れる)

   

   

   

   やっぱり何も出て来ねえなー。

最上:フフッ、君も直に分かりますよ……。

   

      

      

北尾:ウッ!?   

   

   
   

―――その刹那だった。

   激しい光が俺を襲い、目をこじ開けると闇に包まれた空間だった。

   隣に居た筈のおじさんも、目の前にあった自販機も、無くなっていた。

   歩いてみた。だが足は着地せず浮いているのか沈んでいくのかそれすらも分からない。

   

   

最上:聞こえるかね?

北尾:おじさん!?あんた一体何処に居るんだ!?

   それよりこれは一体何なんだ……!?

最上:これがおじさんが丹精込めて作った「無」だよ。

   

   
   

   此処で神になって君だけの世界を作り替える事が出来るのさ!!どんな世界も君の思いのままさ!!

   だけどまっさらな「無」から新しい世界を創る事など到底出来まい!!

   さあどうするかね!?

北尾:…………

   

   

   
   

   普通に面倒だからキャンセルで。おうち帰る。

最上:そんなあ……。

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