見出し画像

小説を書く。その2【BL小説】

「いらっしゃいませ〜」

 抑揚のない声で、俺は呟くように言う。
 大学の授業のない日、いつもの夜、いつものコンビニ。いつもの制服に身を包み、変わりない日常を過ごす。

 あー俺の毎日、こうやって過ぎていくのかな。せっかく勉強頑張って、今の大学入ったのにな。
 入ってみれば、なんてことない日々、なんてことない学生生活。こうやって彩りのない日々を四年間過ごすのか……。
 と、レジカウンターの奥でそっとため息をつく。
 そこへまた自動ドアの開閉音。
「いら……」
 彼を視界に入れた途端、俺の時間が止まった。
 周りの景色が急にグレーアウトして、遠ざかっていく。

 なんだ、これ。
 
 心臓がかつてないほど激しく鼓動を打つ。
 俺はコンビニの制服を鳩尾の辺りでぐっと握り込んだ。

 その日から俺の日常は、彼によってカラフルな日々へと塗り変えられていくのだった。

  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?