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大文字

 今年の大文字は、家族三人で一緒に見ることができた。

 コロナ禍は一部のみの点火だったし、去年は夫が仕事、娘は寝ていたので私一人で見た。京都に引っ越してから、三人そろって見たのは初めてだった。

 今回は娘も起きていたので一緒にベランダに出たけど、大文字には興味がないようで、ヘリコプターばかり見ていた。

 静かに燃える炎を見て、父と祖母のことを思った。これで夏が一区切り。暑さはまだまだ続くだろうけど、入道雲が似合うような本当の夏はもう終わってしまう。

 お盆は私も娘も1週間のお休みだった。両方の実家で過ごし、いとこたちとたっぷり遊んだ。

 久しぶりに親族が大集合して、みんなでBBQをした。ビニールプールに手持ち花火、スーパーボール、シャボン玉、水風船。夏らしいものが全部詰まった1週間。

 足元で子供たちが走り回っている中で、声を張りながら大人同士で会話して、ちょっと静かにしてよ〜!って思うんだけど、子供たちの笑い声や泣き声(誰か一人はグズっている)を聞いていると、いかにも夏休み!って感じで心地よかった。子育てをしていると、子供のころの感覚を強烈に思い出す瞬間がたくさんある。

 子供のころ、毎年いとことお泊まり会をしていて、それが夏休みの一番の楽しみだった。他愛もない遊びで1日中、おなかが痛くなるほど笑った。あの頃の、夏が永遠に続きそうな感覚を久しぶりに味わった。

 今までは親戚で集まっても、娘は”赤ちゃん”という感じだったのが、今回は一人の子供として楽しんでいた。お兄さんお姉さんに遊んでもらったり、おもちゃを取り合ったり。毎日クタクタになるまで遊んで、夜は汗をかきながらぐっすり寝た。

 そして昨日は大文字。お盆休みも終わり、今日から仕事復帰だった。

 職場で同僚と、「子供のときは大文字を見ると、夏が終わっちゃう気がして寂しかったよねえ」という話で盛り上がった。
「そのあと地蔵盆があって、宿題やってないと焦るねん」
「そう! 地蔵盆が来たらもう夏休みは終わりでめちゃくちゃ悲しいねんなあ…」

 そんな話をしていると、毎年、地蔵盆までに宿題を終わらせるように母に何度も言われたこと、それでもできなかった私は地蔵盆を過ぎてからも絶望的な気持ちで宿題をやっていたことを思い出した。

 娘も、ギリギリまで宿題をため込むタイプだろうか…?

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