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匂いの思い出

1年前の今日、東京にいました。数日間の滞在で、いくつかあった目的のひとつが、FUEGUIAに行くことでした。

FUEGUIAは、ブエノスアイレス出身の調香師 ジュリアン・べデルによる香水店。彼が愛する芸術、音楽、自然、詩の世界観を、パタゴニアの天然原料だけで表現したものが、FUEGUIAの香りなのです。

ここの香水を使い始めてから、もう他の香水は使えなくなりました。香水なんかつけないという人の香水に対する概念も変えてしまうんじゃないかというぐらい、魅力的な香り。胸いっぱいに吸い込んでも、毎日つけても、苦しくならない、嫌味のない香り。誰かのためじゃなく、自分のためにつけたいと思える香りです。

六本木のグランドハイアットのロビーにある店舗は、博物館のような佇まい。それぞれの香水を吹き付けたフラスコが香水瓶に被せてあるので、そのフラスコを鼻に近づけ、ずらりと並んだ香りを1つずつ確認します。この方法なら、いくつも腕に試して鼻がイカれることもない。

いつも使っている1本に加え、見たことのなかった新作を試してみました。それは、人のフェロモンを模した香水、というもの。店員さんの話では、纏う人のパーソナリティを際立たせる香りで、つける人によって匂いが変わるとか。

試しに、友達と二人でつけて、お互いの匂いを嗅いでみたところ、本当に匂いが違うのです。そして、どちらもいい香り。外から香りをつけるというより、内側の香りを引き出すような、何とも言えない、うっとりする香り。二人ともすっかり気に入って購入しました。「めっちゃいい女になった気分」とウキウキしながら。

帰り際、店員さんが梅雨だけのサービスと言って、持っていた傘にイチジクの香りのする香水をふってくれました。

外はすごい雨。傘にボツボツと落ちる雨の匂いと、イチジクの香りが傘の中で混ざり、とても幸せな気分でした。

今年の梅雨も傘に香水をふってみようかな。



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